1:出過ぎた魔法少女
「リリアごめん……。私、やっぱ田舎に帰って畑仕事を手伝うことにするね」
……。
魔法少女の変身を解き、地味なオリーブ色のローブで身を包む。
目の前には、一撃で倒したブリザードドラゴン。
後ろから聞こえた彼女の言葉に、私は振り返ることができなかった。
ギルドへ戻り、受付けの人にパーティ解散を告げた。
最後まで残ってくれた彼女も結局、私が強いばかりに最後まで何もすることがなかったのだ。
それは先に抜けた四人のパーティメンバーも同じ。
誰だって、自分の存在意義を感じない所にはいられない。
私だってそうだ。
だから私は冒険者パーティを組んだ時に、みんなの足を引っ張らないようにと修行した。
子供ながらに、劣った人間は排除されるのが世の常であることは学んでいたからだ。
手加減なんかできないと一人、頑張って頑張って頑張って……。足を引っ張らないぐらい強くなったはずなのに。
強すぎると、孤独になるなんて思わなかった。
村を救ったあの冒険者パーティのような凄いチームワークで魔獣を倒す姿に、そんな仲間たちとの冒険に心躍って強くなったのに。私が魔法少女に変身して、魔法を使えば一撃って……。
チームワークもクソもないじゃん……。
解散の手続き書に名前を書いているときだった。
「お前、つぎ手加減して戦ったら許さねえからな」
ギルドに入ってきた冒険者の声で閃いた。
……そうか。
手加減すればいいじゃん。
魔法少女には変身しないで、いい塩梅でみんなに合わせれば!
あの日みた、冒険者たちのようなチームワークで戦える!
であれば、今の肩書きなんて足枷に過ぎない。
「あのッ、冒険者登録の解約と新規登録もお願いします!」
受付けの女の人は、目をぱちくりさせた。
「お言葉ですが、最高ランクから『駆出し冒険者』になるメリットは何もないと思うのですが……」
「いいんです! 私はみんなと冒険がしたいんです! 今は……一人ですけど」
だが、この時まだ知らなかった。
強くなり過ぎた私が手加減すると……駆出し冒険者よりも雑魚い魔法使いになってしまうことを。




