6th.魚雨
法堂は状況がいまいち理解できていなかった。
校舎には自分しかいないはずなのに、なぜ彼女達…G‐クラスのメンバーがいるのか?
それに、彼女達はそれぞれ武器のような物を持っている。
柏木因幡は銃口の部分が長い銃。
石崎潤はレイピアを持っている。
秋庭歌音は手榴弾。
御園数葉は槍を。
千野百合子は、お札のような物を持っている。
「先生、大丈夫?」
生徒会副会長・石崎潤は、法堂に近づいてそう言った。
「あっああ。」
法堂は何とか自分で立ち上がった。
潤は法堂の腕を掴んで、因幡達の後ろに誘導した。
『貴様ら…。よくもやってくれたな。』
少女はそう言いながら、何とか立ち上がろうとした。
「あの攻撃を受けといてまだくたばらないとは…。意外にしぶといんですのね。」
生徒会書記・秋庭歌音はお嬢様口調でそう言った。
「君達、あの女の子のことが見えるのか?」
法堂はG‐クラスのメンバーにそう聞いた。
「ええ、見えてますよ。今は。」
生徒会長・千野百合子は、法堂の問いに対してそう答えた。
今はって、どういうことだ。
「それって、どういう…。」
「ゴメン先生。訳はちゃんと後で話すから。」
生徒会会計・御園数葉は法堂にそう言った。
「それより今は、あれをなんとかしないと…。」
数葉は視線を法堂から少女に向けた。
法堂もそれにつられて少女の方を見た。
さっきまで倒れていた少女は、何とも無かったかのように、相変わらず下を俯いたまま立っていた。
『貴様ら、よくも邪魔してくれたな。まさか貴様らもそいつと同じか?』
「同じ?何言ってんのあんた。」
潤は少女の問いかけにそう答えた。
『同じ、なんだな。なら貴様らも同じだ。そいつ同様、全員まとめて殺してやる!!』
そう言うと、少女は包丁を持ってこちらへ向かって突進してきた。
「来た!!」
「あたしに任せな。」
潤はそう言うと、レイピアを持って少女の方へ突進していった。
「はぁぁぁぁっ!!」
カキンッと、刃物と刃物がぶつかり合う音がした。
少女が持っていた包丁は、手元を離れ、宙に回転しながら、少女の後ろへカシャンと落ちた。
『くそっ』
少女は包丁を拾おうと、潤に背を向けたが、潤は瞬時に反応して、少女が拾うより前に包丁を叩き切った。
かなりの威力があったのか、包丁は粉々に砕け散った。
「スッスゲー。」
その光景を見ていた法堂は、思わずそう呟いた。
「これならあたし達を襲うことはできないな。」
潤は勝ち誇った笑みを浮かべてそう言った。
『…くも。』
「えっ?」
『よくもやってくれたなァ!!』
突然少女は発狂し始めた。
近くにいた潤はビクッと肩を震わせると、発狂している少女から離れた。
『よくも…よくもォォ。』
少女は頭を抱えながら、ずっとそう叫び続けた。
「なっなんかヤバイんじゃ…。」
法堂たちのいる所へ戻った潤は、少女の行動を見てそう呟いた。
とその時、
『ウァァァァァー!!』
と少女が叫ぶと同時に、天井に無数の魚が出現した。
「キャアアーー。」
まるで魚雨のように、大量の魚は法堂達に降り注いだ。
「いやぁー、とても生臭いですわぁ。」
歌音は頭を庇いながらそう嘆いた。
「とにかく、校舎から出よう。」
法堂は因幡達にそう提案した。
「賛成。その方が何かとやりやすいし。」
因幡は法堂の提案に賛成すると、全員出口に向かって走り出した。