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15th.未練

「浮気相手が実は男だったんだよ。」


「えーーーーーーーーー。」


全員驚きの真実に口をパクパクさせていた。


「そっそうだったの?」


因幡は女に確認を取った。


『そう。その女の子の言うとおりよ。ひっく。』


その言葉に、全員夫…本条紀斗にドン引きしていた。


『あの日、たまたま街へ買い物に出かけたの。そしたら、夫が相手の男の人と話してるのが見えて…。

最初はお友達かなと思ったんだけど、その後の行動で、二人が、二人が…。』


女…本条佳子は今にも錯乱しそうな勢いである。


『あー、思い出しただけで悔しい!!』


その後の行動というのが気になるが、余計錯乱しそうなので聞くのは止めとこう。


法堂は気の抜けた笑い方をしながらそう思った。


『なんで…なんで女の私より、男を選ぶのよーーー。』


ウワーンと泣き声を上げて、大量の血の涙を流した。


「…もしかして、白石さんの言ってた血の海って…。」


「血の涙のことだったんだろうな。」


数葉と法堂は呆れた眼差しを佳子に送りながらそう言った。


『ホントに…ホントに悔しくて…だから私…この部屋でずっと泣いてたの…。愛してた人が、私じゃなくて男を選ぶし、おまけに無理心中を図るなんて…。もう何がなんだか分からなくなって、とりあえずここで泣き続けたの。』


佳子は血の涙を流しながら、ここにとどまってた訳を話した。


「なあ、あれどうする?」


潤は隣にいる因幡にそう尋ねた。


「どうするって、別に悪霊じゃないみたいだし、普通に成仏させたほうがいいんじゃない?」


因幡は未だに血の涙を流している佳子を見ながらそう答えた。


「だよな…。先生、成仏ってどうやってすんの?」


潤は後ろにいる法堂にそう尋ねた。


「成仏ってのは、もうこの世に未練が無くなったら自然とするもんだから、彼女の未練を断ち切ればいいと思う。」


「未練…ねぇ。」


潤は横目でちらりと佳子を見た。


「あのまま泣かせてりゃ未練なんて断ち切れるんじゃないか?」


「いや、ああしてずっと泣いてた訳だから、そう簡単に断ち切れないと思う。」


「じゃあどうすれば…。」


うーんと潤は考え込んだ。


すると法堂は佳子の方へと近づいていった。


「佳子さん。あなたは旦那さんのことを愛していたんですよね。」


『ええ、そうよ。だから、私じゃない人に移ったあの人が恨めしくて、ここでこうして泣いてるの。』


「それは、今は愛してないってことですか?」


そう聞くと、佳子はブンブンッと首を横に振った。


『それは違うわ。わたし、夫に浮気された訳だけど、でも、今でもとても愛してるの。そりゃ悔しいし恨めしいけど、それでも夫を愛してる!!』


「だったら、ここで泣いてないで、旦那さんのそばにいてあげるべきでは?」


『えっ!?』


「今度は、旦那さんが他に目移りしないほど、あなたがたくさんその愛を注いでやるべきだと、俺は思いますけど。」


その言葉に、佳子は泣くのを止めた。


『確かに、あなたの言うとおりね。私ったら、馬鹿みたい。』


すると、佳子の体から、光の玉が出てきた。


「石崎、この玉を切ってくれ。これが未練の塊だ。」


法堂は潤に向かってそう叫んだ。


「了解!!」


そう返事をすると、潤は光の玉に近づき、そして玉を真っ二つに切り裂いた。


すると、佳子の体が段々と消えていった。


『今度は、私があの人を愛す番。あなたたちには、心から感謝するわ。』


そう言って、佳子はありがとうと言うと、法堂たちの前から姿が消えた。


「ふう。終わったぁー。」


潤は伸びーとしながらそう言った。


「今回は悪霊ではなかったので、守護神にはなりませんでしたわね。」


歌音はやっと終わったという顔をしてそう言った。


「まあ、いいんじゃない。」


「そうそう!!」


因幡と数葉はそう言った。


「先生、今日はありがとうございました。」


百合子は法堂に礼を言った。


「えっ、いやっ、別に俺は何もしてないし…。」


百合子に礼を言われたので、法堂はついついかしこまってしまった。


「何もしてないってことはないだろ。先生がいなかったら、レイピアは変わらなかったし、あの泣き声を止めるのも不可能だった。」


潤は法堂をフォローするかのようにそう言った。


「そうそう。最後にあの人が成仏できたのだって、結局先生が恥ずかしい台詞言ってくれたおかげだし。」


因幡は潤に続いてそう言った。


そこに、数葉が法堂の前に来た。


「先生、力になれないなんて、自分で決めるもんじゃないと思うよ。私たち、前の魚の時だって、先生にはすごく助けてもらったんだもん。私、先生が協力してくれるの、大歓迎だよ。」


そう言うと、数葉はニコッと微笑んだ。


「御園…。」


「あたしも、数葉に一票。」


潤はレイピアを持っていない方の手で、人差し指で“1”を示した。


「先生がいないと、霊退治の時困るじゃない。」


「因幡ったら、素直じゃないんだから。」


百合子は因幡を見てそう言った。


「先生は霊に関して詳しいようですから、仕事をするときに何かと楽ですわ。」


歌音もクールにそう言った。


「君たち…。」


法堂はG-クラスのメンバーの言葉に温かさを感じた。


そして、法堂は薄ら笑いを浮かべた。


「俺がどれだけ君たちの力になれるかは分からないけど、それでもいいかな?」


「もちろん!!」


「それじゃ、よろしく。G-クラス。」


「これからもよろしく、法堂先生!!」


こうして法堂は、G-クラスに正式に協力することとなった。



とりあえず、これで呪いの洋館編は終わりです。

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