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輝く彼女と星間飛行(スタートラベル)  作者: 鋼我
第一章 星の世界へ
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反撃の拳作戦

 ラヴェジャー船団に追いつかれるまでの七日間。乗員一同はあらゆる努力を惜しまなかった。使えるものがないか、制圧した船内を改めて捜索。現状あるものと、新しく作ったものを組み合わせて時間と資材を節約。時には予定が大きく狂ったり、計画を放棄しながらも準備を着々と進めた。


 カイトもまた、操縦訓練を必死で行った。地球にいた頃は自動車すら運転した事が無かった彼である。宇宙に出てバイクもどきのマシンを操作し始めたが、宇宙船のそれはやはり違うものだった。


 基礎的な操縦方法を学び終えた後は、教官であるガラスとひたすらドックファイト訓練だった。どうすれば相手に優位な位置に入れるのか。どうなれば危険なのか。その状態から逃れる機動とは。


 覚えることは山のようにあった。そして覚えただけでは足りず、無意識で操作できる状態になるまで反復練習した。そこまでやって、やっとスタートライン。途中からカメリアの作成した訓練エネミーも参戦して、多対一の宇宙戦闘をひたすら行った。


 ラヴェジャー基地で目覚めてから、最も濃密な時間だったと言えた。朝から晩まで、ひたすら訓練。もちろん休憩はあった。惰性でやって身に着くものではない。幸いなのは、知識と技術の習得が早かった事。


 カイトに才能があったとか、そういう話ではない。彼の身体に入り込んだ、頂点種の機械細胞。そしてアキラより与えられた光源水晶こうげんすいしょうが技術習得をサポートしていた。


 正直に言えば、それを薄気味悪く思った。生命維持に必要だから、この場でやっていくのに有用だからと使い続けた。その結果、かつての自分とのズレを違和感として感じている。


 今更な話だった。かつての自分にはもう戻れない。肉体的にも、生活的にも。新たな自分で、この世界で生きていかなくてはいけないのだ。無傷ではいられないし、努力なしもありえない。


 覚悟が決まり切っていなかったことを、カイトは恥じた。そして、様々なものを振り払うように訓練に没頭した。


 その間、偵察機は戦闘機としての改造が進んでいた。改造という言葉は、大いに語弊があった。最終的に残ったのはフレームのみ。燃料槽などの一般的な装置はプリンターで作成。残りは全て暴乱細胞レイジセルによって形作られた。


 その分、性能については本職であるガラスがこう評した。


「バケモノ、あるいは星間を行く反則だ。短時間ながら、ドラゴンシェルと渡り合えるってのも納得だ」


 まず、最大の特徴として機体が軽い。生命維持装置以外は全て戦闘に係る装備のみ。コンパクトであることは速度、転進、被弾面積などにメリットがある。


 それでいて、様々な高性能装備が搭載されている。推進器、姿勢制御スラスター、バリアー発生器、各種センサー。カメリアが暴乱細胞から抽出したデータをもとに、この機体の為に再構築した。どれもこれも、攻撃機の標準から見れば破格の性能。


 そして、慣性制御機関ベクトルコントローラーも搭載された。これ無しではドラゴンシェルと渡り合うのは不可能であるとカメリアは試算した。ガラスが反則と評した理由である。軽ければ、慣性制御に必要なエネルギーも減る。


 移動、攻撃、回避。あらゆる面でこの装置を使用していけるというのは、極めて大きなアドバンテージだった。


 武装は、機体下部に荷電粒子砲一門。翼を挟むようにレーザー砲塔が上下に一門ずつ、左右合わせて四門搭載。実弾兵器は重量の問題から搭載を断念した。


 こうして完成したカイト用攻撃機。シミュレーターでの成績は、関係者の顔をひきつらせた。喜ぶを通り越した。これはひどい、反則過ぎる、悪夢だ。船を飛ばした経験のある者たちはしばしそう悪態をついた後、最後にこう感想を入れた。


 これならいける、と。


 そして、すべての準備が整った。限界まで働いたものは倒れるように眠り、ほかのものに後を託した。休んでいた者たちは、作戦の為に気合をみなぎらせた。


 臨時指令所、作戦テーブル前のお立ち台。アキラが拳を振り上げた。


「反撃の拳作戦、第一フェーズ! スターダストアタック、スタート!」


 彼女らの船が潜伏している星系の恒星。これの重力を利用して加速させた岩石が、アキラの超能力によって空間跳躍テレポーテーションした。目標は言うまでもなく、ラヴェジャー船団である。


 アキラ達を捕縛するための最後の休憩に入っていた船団は、無数の質量攻撃にさらされた。この攻撃、厳密な調整が必要だった。下手に大きな岩を使用すると、船団を壊滅させてしまうから。


 ドラゴンシェルの捕縛を目的とするアキラ達にとっては、それは不味い。故に速度もサイズも調整し、シールドダウンさせることを目的とした。


 効果を確認できるのは、遠視クレヤボヤンスをもつアキラだけ。指令所に集まった者達の視線は、彼女に集まり続けた。


 両腕を胸の前で組み目を閉じて、眉間にしわを寄せる。そのポーズのまま、数分沈黙を続けたアキラは唐突に目を見開いた。


「カメリア、ちょっといい?」

「はい、アキラ様。何か問題が?」


 乗員たちがどよめく。何か問題が発生したのか。そんな不安の視線を受けながら、頂点種は困り顔で従者に聞いた。


「えっとね? なんか想定以上にダメージ入っちゃったんだけど。シールド落とすだけのはずだったのに、岩石がそのまま当たって船に穴が開いてるのが……八隻ぐらいいるの。なんで?」

「シールドの出力が、こちらの予測より小さかったのでしょう。連中の船に万全の整備を求めることは難しいので。撃沈した船はありますか?」

「ないよ。それは大丈夫」

「では、フェーズ1は成功としてよいでしょう。続けてフェーズ2への移行を」

「……よし。フェーズ2、開始!」


 再び、頂点種の権能が発動する。大型船は、船団の上方に船首を向けて現れた。同時に、船体外部に突貫で設置された発射装置が作動する。大型魚雷、ミサイル、推進器を接続された機雷。これらがシールドを失った船に襲い掛かる。


 ラヴェジャー船団は、これに対応できなかった。至近距離に狙いすまして転移しての奇襲。この宇宙では頂点種を除くと実行できるものはごくわずか。光輝宝珠こうきほうじゅを敵に回しているのだから想定しているべきだったが、ラヴェジャーには出来なかった。


 彼らは自分たちが襲う側、主導権を握っていると考えていたからだ。


「大型魚雷、命中! 旗艦の推進部に損害確認!」

「ミサイル群、命中78%! 推進部を破損した敵船、予定の7割!」

「機動機雷、命中30%! やっぱり無理がありました!」


 次々に入ってくる報告に、アキラは強く頷いた。


「順調。奇襲の目的は達成だね」


 これで、船団の移動力は大きく減衰した。修理を完了するまで、アキラたちを追う事は不可能。仮に追いつても、戦闘力もまた落ちているのだから今までより対処は楽になるはずだ。一発入れる、という目的はこの時点で達成である。


「あとはカイト様次第。こちらも準備を開始します」


 転移直後、カイトは放たれるミサイル群と一緒に船団に向けて突進していた。推進器を最大に吹かし、矢のように飛び込んだ。そして次々とミサイルが爆発する中、船に向けて攻撃を開始した。攻撃目標は、敵船の砲塔である。


 撤退するには、相手の攻撃は少ない方がいい。ここで火力を落としておくは、先の為にも今の為にも必要だった。


 攻撃機が敵船の上、至近距離を飛ぶ。レーザー砲塔が旋回し、シールドを失ってむき出しの砲塔を撃ち抜いていく。これが正式な戦闘艦であったなら、分厚い装甲により守られもしただろう。


 しかしラヴェジャーの船団の多くは、輸送船に武装が施された安価品。こういった船はこの宇宙に多い。攻撃には有効だがシールドを失った際の防御力は低かった。


 カイトの攻撃は一方的だった。次々と、船に小さな爆発が起きる。迎撃の機関砲やレーザー砲塔が動くが、彼を捕らえることができない。小さく、小回りの利く攻撃機に命中弾を当てるのは至難の業だ。要所で慣性制御機関を使用されては、運任せでばら撒くしかできない。


 そのように一方的な打撃を与えているカイトの胸中は、焦りと緊張に埋め尽くされていた。一隻でも多く、一門でも多く。当てれば当てるほど仲間の安全が保障される。例え脳裏に、捕虜となっている人々の被害がよぎっても手は止めない。


 特訓中、何度も悩んだのだ。もし、自分の攻撃でラヴェジャー以外の命を奪ってしまったら? と。カメリアに、法律的な話を聞いてみた。


 電子知性曰く、ラヴェジャーおよび海賊に連れ去られた時点でその人物は死亡したものと扱われる。船を撃沈しても殺人に問われたりはしない。聞いた時にはひどい話だと思った。


 しかし、どうしようもない実情がある。捕虜が乗っている船を撃沈できなかったら、民間船及び軍艦は一方的に攻撃されるだけである。敵船に接舷して捕虜救出などというのは、周囲の戦闘が終わってからでなければできたものではない。敵の増援の可能性だってある。そのような危険を毎回侵していていられるほど、宇宙は生ぬるい場所ではない。


 治安維持側の損害は、多くの人々を苦しめることになる。大を活かすために小を殺す。理解はできたが、簡単に飲み込めはしなかった。本人の意識としてはつい最近まで、日本の一般人高校生だったのだ。環境が激変したとはいえ、すぐに適応できるものではない。


 結局、カイトが覚悟を決めたのはアキラの言葉だった。


『大丈夫? 無理してない?』


 心配そうにそう尋ねられた。カイトは男である。情もあれば恩義もある女の子にこう聞かれて、情けない姿を見せるわけにはいかなかった。


「大丈夫。全然平気さ」


 その時と同じ言葉をつぶやきながら、彼はさらにトリガーを絞った。また一つ、船の主砲が破損した。その時、センサーが新しい反応を検知した。それも複数だ。


『攻撃船が発進しました。ご注意ください』

『全部ラヴェジャーだよ! がんばって!』


 通信で、カメリアとアキラの声が届く。悩みと焦り、両方を心の棚の放り込んだ。代わりに、怒りを引っ張り出す。燃え上がるソレが胸に広がり、脳にまで回りそうなのを押さえて笑う。


「了解。フェーズ3、順調に進行中」


 荷電粒子砲、チャージ開始。慣性制御機関を起動。速度を保ったまま、180度旋回する。フレームへの負荷なし。エネルギーの消耗、許容範囲。狙い通り、発進したばかりの攻撃船に向けて荷電粒子砲の狙いを定める。


「目標捕捉。発射ッ!」


 攻撃機にあるまじき強烈なビームが、目標に命中。柔なシールドをダウンさせ、船体に命中。小爆発が確認できるが、止めにレーザー四門を浴びせる。爆発するそれを置き去りにして、カイトは船団の中を飛ぶ。


 一方的な攻撃ができたのはここまでだった。四方八方から、実体弾、ミサイル、レーザー、荷電粒子砲と多種多様な攻撃がカイトの機体に襲い掛かった。ロックオンアラームを聞いて、即座に軌道変更。フレームへの負荷がカウントされ始める。


 完全回避とはいかず、シールドが減衰する。コンデンサーからエネルギーが供給され、リチャージが始まるがすぐには回復しきらない。敵の船体の影に機体を滑り込ませる。


 船団の中に飛び込んだ理由がこれだった。敵を障害物として利用する。遮蔽物があれば、完全に囲まれることはない。もちろん、その場に足を止めるなどという事はしない。袋叩きされるのを待つなどという愚かな事はしない。


 この状況は、シミュレーターで何度もやっているのだ。だからこそ、カイトもこうして戦えている。対して相手はこれを想定していなかったようだ。連携が甘い。不用意に接近してきた敵に対して火力を集中。二機目を落としてその場を離脱する。


 基本はこの繰り返しだ。移動し、孤立した敵に狙いを定め、撃破する。そしてまた次の遮蔽に移動する。多対一を散々練習したカイトは学んでいた。相手に数の優位を与えない。一対一の状況を作れば勝ちはこちらのものであると。


 とはいえ、敵もただ射的のマトでいてはくれない。火力が集中する機会はあるし、時には大型砲がカイトに向けて放たれることもあった。いかにレリックの性能が高くとも、それに当たってはまずい。回避の代償は、フレームの負荷という形で少しづつ蓄積していた。


 そしてついに、フェーズ3最終目的が姿を現す。ラヴェジャー船団の旗艦から、ゆっくりとドラゴンシェルが発進する。そのコックピットの中で、パイロットであるフィオレは気を失いそうなほどに追い詰められていた。


 前回アキラ達を取りのがしたことで、ひどく折檻を受けた。首輪による電撃だけでなく、ヒトとしての尊厳を奪われ家畜のような扱いを受けた。今までもあったので、辛くはあったがそれはなんとか耐えられた。


 ラヴェジャーにカイト達と接触した秘密を守ることも苦ではなかった。もしかしたらという、淡い期待すら抱けた。しかし、その後がいけなかった。だれがどんな知恵を吹き込んだのか、世話係は彼女に故郷で放映された映像を見せたのだ。


 イグニシオンでは、葬儀が行われていた。弔われていたのは、彼女だった。国葬ではなく密葬でもなく。淡々と、彼女は過去の人物として処理されていった。ラヴェジャーに攫われた者の末路、死者としての扱い。


 そして、続いて見せられたのは指名手配の情報。ラヴェジャー船団に所属するドラゴンシェルへの撃墜、およびレリックの回収に母国は法外な賞金を懸けた。パイロットは生死問わず。家名はなく、ただ彼女の名と画像が犯罪者の情報として登録されていた。


 分かっていた事だった。罪なき人々を、ラヴェジャーの命令で襲った。罪を犯した。裁かれるのは当然だ。それでも故郷に、家族に切り捨てられたのはことのほかこたえた。目の前が真っ暗になった。


 いま彼女を支えているのは、ドラゴンシェルの動力が伝えてくるわずかな振動。操縦桿の硬さ、フットペダルの感触。すなわち、幼いころから鍛え上げられて培ったパイロットとしての技術と矜持。


 意気はなく、惰性だけで操縦を開始する。全盛の彼女に比べれば、明らかに精彩を欠いた動き。それなのに、カイトは即座に捕捉された。


「ドラゴンシェル、確、認っ!」


 荷電粒子砲二門が、容赦なくシールドを削る。直撃したのは短時間、一秒かそこら。そのわずかな攻撃で、シールドが50%を切った。カイトは最大加速と慣性制御機関を併用し、大型輸送船の影に飛び込む。素直に背後を取ろうとする相手に対し、180度反転&再加速。真逆の方向へ逃げ込むが、相手も同じ軌道で追ってくる。


「機体性能は高いようですが、素人」


 すれ違いざまに、そして背面につかれるたびにレーザーを浴びせるがフィオレは怯まない。ドラゴンシェルのシールドは80%以上を保っている。カイトの機体は、70から50を行ったり来たり。時折大きく貰ってしまい、30%割る場合も出始めた。


 ドラゴンシェルに追われながら、船団の中を飛び回る。そして正面に捕らえた攻撃船を確実に落としてく。シールド、エネルギー、フレーム。命を守るこれらが、確実に削られていく。


「うぐ、ぐ、ぐ、ぐっ!」


 そしてカイトの身体も、加速の負荷と集中し続ける疲労に蝕まれていた。骨は軋み、内臓は圧迫され、視力は落ち、呼吸は荒い。黒い機械細胞は身体中を駆け巡り、肉体を持たせようと奔走する。足りない分は外部から供給され、彼の肉体をまた一歩地球人とは違うものに変貌させる。


 それを知らず、無意識に受け入れて操縦に集中する。目を使用せずに画像を認識する能力はすでにある。基地から脱出するまで、それで外を見ていたのだから。手が動かなくとも、脚が動かなくとも操縦することはできる。戦闘機は暴乱細胞レイジセルで構成されているのだ。


 己の身体の一部のように、とはいかないが。光源水晶こうげんすいしょうの演算力が助けとなる。そして唐突に閃く。


「!」


 うめき声しか出なくとも、気合は入れられる。カイトを撃ち落すべく速度をあげていた一隻の攻撃船にむかって真っすぐ飛ぶ。正面衝突上等、相手のレーザーがシールドを削っても進路を変えない。


「しょ、正気じゃないっ! ぶつかるっ!」


 仕掛けられたラヴェジャーは悲鳴を上げて進路を変えようとした。そして、己の機体の自由が利かない事に気づいた。分かるはずもない。カイトが自機に搭載された慣性制御機関をフル稼働させ、この攻撃船の動きをコントロールしたなどと。


 常識的に言えば、あり得ぬ話だった。相手の船と目と鼻の先まで接近した、搭載されていた機関の性能が飛びぬけていた、エネルギーの残量が十分だった。様々な要因が重なってできた、無茶だった。


 移動ベクトルをコントロールされた攻撃船は、カイトの戦闘機の背面へ投げられた。その先にあったのは、彼の船を追い回していたドラゴンシェルだった。


「避け、避けろおおおお!」

「な、あ!?」


 ラヴェジャーの願いは叶わなかった。いかにレリックといえども、攻撃船一隻の質量を受けては無事では済まない。寸でのところで慣性制御機関を起動し、直進の動きを逸らしたとはいえ、シールドは大きく減衰しカイトとの距離を離された。


「……一杯食わされた……私が?」


 いくつかのエラーが表示されるコックピットの中で、フィオレは呆然とつぶやいた。彼女は、相手のパイロットを取るに足りない相手だと思っていた。高い機体性能でどうにかこの場をかき回しているが、自分が追いかければ落とせるとそう確信していた。


 なのに、不意打ちを貰ってしまった。その事実が、トラウマをひどく刺激する。油断からの敗北。それはこの状況に陥った原因。油断さえしなければ、ラヴェジャーに囚われる事もなかった。こんなに苦しい目に遭う事も無かった。故郷に見捨てられる事もなかった。恥辱に悶える事もなかった。


 唯一の支えであったパイロットの矜持に、今再び泥が塗られた。相手が上回ったのではない、己の油断でそうなった。


 限界まで追い詰められていた。たった一つの支えを己のミスで傷つけた。罪人になった。帰る場所を失った。解放の希望が近くにある。これらが混ざり合い、ついに彼女は限界を迎えた。


「う、ああ、ああああああっ!」

「ゴォアアアアアアアアアッ!」


 吠えた。フィオレと同時に、ドラゴンシェルも。鬱屈した思いが爆発し、はけ口を求めた。その相手は、たった今自分に一撃をくれた戦闘機。


 カイトに対して、八つ当たりを開始した。そうしなければ、彼女は壊れてしまうから。


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[気になる点] 暴乱細胞に意思がないのなら、カイトの変容は新しい暴乱城塞を造ってることになりませんか? [一言] 機雷は設置して使うもの、3割もよく当てましたね。
[一言] 懸念事項が一つ減ったな。 さすがに撃墜した場合のドラゴンシェルは要返却か
[良い点] 続きが楽しみすぎる
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