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しにんにくちなし  作者: ぷくぷく
4/6

あだうち

「? 今日はなんだか騒がしいね」


祭りでもやってるのかな、と呑気に話すドラッグをよそに外の戦闘は激化している。


ここら辺はPKギルドの巣窟だから、月に3回ほど起こるのだ。


弔い合戦が。



「てめぇ! この前はよくも殺しやがったな!」

「囲め、囲め」

「ヒャッハー!! 惨殺してやんよ!!」



ヤクザの事務所に突撃する警察官みたいな怒号を上げて、どったんバッタン大騒ぎをしている。


あ、ミルルが大勢の男に追われている。酷い絵面だ。



「全く、無闇矢鱈にPKをするからこんなことになるんだよ。自業自得だね。あ、そう言えばこの前あげたポーションの効果どうだった?」


無視無視。ツッコんだら負けなんだよ。




「失礼する」


二人でのんびりと災害が過ぎるのを待っていると、見覚えのある顔が入ってきた。


今週に入って3度目。

毎度毎度律儀に弔い合戦をしてくるギルド、『バウンティ』のギルドマスターのギムレット、奴らの親玉だ。


その猛禽類の如く険しい目は鋭く、象のようにでかい体躯に、カンガルーみたいに立派な足腰。



新種のオーズみたいな怪物は開口一番、こう尋ねた。


「鎌鼬の噂を知っているか?」



俺は知らないと答えた。ドラッグも知らないと答えた。

カタリナも無言で首を振った。


その返答に対し、『そうか』と短く一言答え、肩を落とし店を出て行った。




「カタリナ。お前、あいつを殺しでもしたのかよ」


いつのまにか真横で寛いでいた鎌鼬さんに、そう尋ねるも


「知らない」


予想通りの返答しか返ってこなかった。




改めて外を見る。


悲しみを隠すように、手にした身の丈ほどある片手斧を振り回し、虐殺の限りを尽くしている。


その姿はまさしく『鬼神』と呼ばれるに相応しい。



「ま、あの筋肉ダルマを殺すなんて不可能か」


身内が恨みを買っていたのではと不安に思ったが、杞憂だったな。



ハハハッと笑っていると、鬼神の首が滑るように地面に落ちる光景が目に入る。


血に濡れた刃を手に不思議そうにしている彼女の横で、ハハハッと乾いた笑いをあげることしか出来なかった。

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