公爵令嬢に転生してしまったので、メンタル乙女な俺は、全力で女の子を楽しみます
【コミカライズ】公爵令嬢に転生してしまったので、メンタル乙女な俺は、全力で女の子を楽しみます
5歳の冬、ミランダ・ミランディール公爵令嬢は高熱を出し7日間も生死をさまよった。
ようやく熱が下がり、意識を取り戻した時、自分が転生者だと気が付いた。
前世では辛うじて魔法使い化を回避した程度のオッサンだった自分が、公爵令嬢だと?!
確かに、生前自分はいい年こいておきながら少女趣味ではあった。
女児向けアニメを嗜み、女児向けのゲームを遊び、お人形も好きだし、数が少ない女児向けのアクションゲームなどを遊んでいたものだが…
まさか、自分が、美幼女!!
驚愕だ、美しいプラチナブロンドの髪の毛、写真加工をしたんじゃないかと思うほど大きなエメラルドグリーンの瞳、白い肌。まぁまだ若いからかもしれないが…
とにかく美幼女だった。
多分、父親であろうイケオジと超絶美少女のようなご婦人に体調を心配されたので、たぶんこの二人がお父さんとお母さん、最大の問題は、このミランダちゃんの記憶がないこと。
(ごめん、ご両親の知っているミランダちゃんは死んでしまったんだと思うよ…)
自分がどう死んだのか、なんで今こんなことになっているのかは分からないが、病気の間につながりのある貴族や、何なら国王陛下からも見舞いの品がとどいていたようで、大量のお花と、大量のぬいぐるみが部屋に鎮座していた。
どれも大変可愛いらしい作りのぬいぐるみばかりで、日替わりで抱っこして寝ている。
ただ、知っている動物が、犬、猫、熊、兎、虎など多岐にわたる一方で、他にドラゴンとか、恐竜みたいなの、角が生えたウサギなんかが混ざっている。
女児向け趣味だが、動物だって詳しかったのでわかる。この世界普通の生態系していない。
確実に魔物がいそう。
魔法あるかな?
公爵令嬢なので、のほほんと少女趣味を続けるだけというわけにはいかなかった。
高熱による一時的な記憶喪失という扱いになったが、ちょうどこれから貴族としての勉強が本格化するというタイミングだったようで、そこだけは不幸中の幸いだった。
たぶん、小学5年生より賢いはずなので、初等の勉強は何とかなるだろう。何とかなった。
文字覚えるのに少し苦労したが。
6歳になった。
最近のお気に入りはお人形遊びだ。
着せ替えやごっこ遊びもそうだが、人形劇的に一人ブンドドをして遊んでいる。
この世界やっぱり魔法があった。
そのため、魔法騎士や魔法使いがこの世界にいる。なお、私にも魔力があるようで、いろんな魔法を教えてもらっている。
まだ攻撃魔法は教えてもらえない。
攻撃魔法は魔法学校に入ってからだそうだ。
てか、あるんだ…魔法学校…なんでも魔力を持つ貴族の義務だそうで12歳になったら行かないといけない。
そこはかとなく某小説サイト系乙女ゲーム臭がしてきたが、気にしないことにした。
ちなみに、今お気に入りの人形は、金髪碧眼の女性魔法剣士だ。
鎧や服、剣のデザインがやたら細かく、目の部分もグラスアイだった。
髪の毛もしっかりと植毛されていて、お誕生日にもらったのだが、明らかに前世の価値観で言えば10万円を軽く超えているお人形だ。
某ドールメーカーが威信をかけてファンに贈るデザイナーが、がっつり絡んでくるクラスのやつだ。
一緒にお出かけしてかっこいい写真を撮りまくりたい。
カメラないけど。
残念ながら、お屋敷の御庭ぐらいしか一緒にお出かけできないので、主に私の部屋でぬいぐるみのドラゴンなんかと戦ってもらっている。たのしい。
半分冗談でお父様に「魔法騎士になりたい!」といったらものすごく悲しそうな顔をされた。ごめんて。
公爵令嬢がなりたいとか言っていいもんじゃないのはわかる。
ちなみに、私には兄が二人いた。結構年が離れていて、一番上の兄は領地ですでに領地経営しているそう。
で、真ん中の兄が今は魔法騎士団にいる。
このお気に入りの女性魔法騎士人形は、真ん中の兄のプレゼントだったりする。
お兄様も結構なシスコンで、私にめちゃめちゃ優しいんだよね。
調子に乗ってわがままばかり言わないようにしよう。
7歳になった。
公爵令嬢として初めてお母様とお茶会に出ることになった。
公式に王家が開いているお茶会だそうで、第一王子の婚約者候補の顔合わせでもあるらしい。
我が家はすでにお兄様が跡を継ぐことになっているので、私は嫁に出されることが決定している。
で、このお茶会に呼ばれるということは公爵令嬢というのもあるが、要は王家も嫁ぎ先ということだろう。
うーむ、自分が男と子作りすることが想像できない。女の子が主に好むものが好きだったが、恋愛対象が男だったわけじゃないのだーよ。
ちなみに最近は占いにはまっております。
タロットから始まり、現在は占星術に手を出しておりますわよ。
占いは淑女の話題にもなるので、両親からも止められておりません。
なんなら、両親の今日の運勢を占ったりして遊んでいる。
ちなみに、占星術に手を出したせいで、やたらと天文学に強くなった。
どうもこの世界、いまだに天動説らしくって、もともとの天文学の知識もある私からすると、最新の論文を出している先生の本が楽しかったりする。
さて、お茶会会場に行くと、ほかの侯爵家や公爵家のお嬢様方がいらしておられた。
確か第一王子、現在9歳、そういう意味だと、私は少し遅めの生まれだったりする。
ほかの女の子たちみんな私より発育がいいので、多分年齢が違う。
そらー王子と同い年になるように合わせるよね。うち何で出遅れたのかな?娘作る気なかったのかな?
「第一王子、ドッティール様と王妃エクシェシオール様のおなりです」
ほかの令嬢たちとあいさつをして紅茶をいただいていたところで王族の方がお見えになったのだが、名前で吹き出しそうになった。どこのカフェだ。
そういえば家庭教師も王子殿下、王妃陛下としかしか呼ばないから本名知らんかったわ。うかつだ!
王妃様はお母様たちの方へむかい、こちらには王子殿下がやってきた。
声を出さずともわかる、明らかに黄色い歓声が上がりそうな状態だ。
きらめく金髪をなでつけた大人びた雰囲気、私よりも深い緑色の瞳、整った顔立ち。
イケメンであらせられる。
くそ~私よりお人形みたいじゃないか…何で競っている私。
すると王子様はこちらにやってきた。
しまったこの席順だと一応私が一番爵位が上なんだ。ほかにも公爵家は2家あって御三家とよばれているのだけれど、我がミランディールは初代国王の弟君の直系なので最も爵位が上なんだと習ったわ。
「ご機嫌麗しゅう王子殿下、私、ミランディール公爵の娘、ミランダにございます」
サッと席を立ちカーテシーを決める。
「うん、よろしく」
さらっと挨拶が終わって王子は次の令嬢にあいさつを受ける。
ふむ、まぁこんなもんなんだろう。
これで王子の婚約者になんてなった日には、悪役令嬢転生とか疑わないといけないところだ。
その後もつつがなく挨拶が進んで、ドッティール王子は戻ってきた。
え、私の隣に座るのかよ。まぁ爵位順だとそうなるのか。
「みな、楽にしてくれ。これはあくまでも顔合わせのお茶会だからね、先日は同じ年の令息たちとお茶会も行ったよ」
そっちは側近候補の選定ですね分かります。
「ところで、ミランディール嬢はいくつかな?少々幼く見えるが」
「今年で7歳になりました。ほかの方々より2~3歳ほど年下ではないかと」
「そうなのだね、ところで最近ハマっていることは何かあるかい?」
「いまはー…占いに目覚めまして、占星術をたしなんでおります」
「占星術?」
「天文学の一種でございますわね、それを占いに紐づけるのです。明日の天気から、数千年後の未来までわかりますわよ」
「そうなのかい?天文学というと最近出てきた学説はしっているかな?」
「地動説ですかね。私は賛同者です」
「その根拠は?」
「惑星の動きに説明が付きますので、本当であれば、ものすごい高さからこの地を観察すれば物理的にわかる話ではあるのですけれど、それに5年後にはこの地が動いているがために、この王国で太陽を月が隠す現象がみられるはずですわ」
王子が目を細められる。
「君はなかなか面白い視点でものを見ているようだね」
「おそれいります」
「さて、そちらのアークレイ嬢は最近何をたしなんでおられるかな?」
うーん、王子の気をひいちまったかなぁ?
女に生まれたからにはどっかに嫁いで子供をなさねばならんのは分かっているんだが、まだこの年で男とくっつけられるのは嫌なんだよなぁー。
その後、お隣にいた侯爵家のご令嬢も占いにはまっているらしくて、占い話で盛り上がり王子をそっちのけにしていたことを帰ってきてからお母様に怒られることになった。
8歳になりました。
王家のお茶会で知り合ったサンジルジュ侯爵の娘さんで2個年上のカーシャ様とお友達となり、お宅訪問とかができるようになった。
カーシャ様にお部屋に来ていただいたときは、そのぬいぐるみの数に驚かれたけど。
別に私がねだって買ったものじゃないです。
そして、残念ながら私が王子様の婚約者になりました。ゲボー
私の何が気に入ったんだ王子様。おかげで王妃教育が開始されました。
それでも女児趣味はあきらめない!!
私は可愛いもので遊ぶんだ!
最近は占いとは別にドールハウスを始めました。
お人形遊びの派生だね!
といっても現代社会みたいに既製品があるわけじゃないので、自分で作らないといけないわけ。
でもねぇお人形さんたち用の家具を作り始めたら止まらなくなってきてしまったのよ。
おうちの庭師のおじいさんに木片とか分けてもらって、ナイフや彫刻刀を使ってちまちま家具や部屋をつくりはじめ、気が付いたら客間一つ埋め尽くす公爵家別邸(王都邸)の模型が出来上がってきている。
防犯上大丈夫だろうかこのドールハウス。
あと、天文学もまだたしなんでおりますわよ。
占いというよりは、天体観測ですが。
この世界では、まだ木星に当たる惑星までしか見つかっていないので、さらなる惑星を発見してやる。
何とか望遠鏡のレベルアップをしてもらえないだろうか?レンズデカくすればいいんだっけ?
それはともかくとして、王妃教育で淑女レベルが増しております。
あぁメンタル乙女がただの乙女になっていっている気がいたしますわ。
週に1回、婚約者であるドッティール殿下とお茶会をしておるのですが、殿下は随分と星の話に食いつきが良いのですよ。
でも、分かるわ。未知との遭遇は大変興味深いですわよね。
それと、もともと男だったことも災いしてか、王子の話が興味深い。
国王は我が国軍の最高司令官様ですからね、そういった話は好きなのよ。
思わずぶしつけながら意見してしまったが、機嫌を損ねた感じもないので良しとしましょう。
9歳になりました
王妃教育に明け暮れる日々でございます。
ですが、まだドールハウスに凝っております。
最近は家具の作る腕も増してきまして、当初作った私の部屋の改築を行ったほどでございます。
また、ドールハウス作りの影響で刺繍や裁縫もたしなんでおりまして、カーテンや絨毯なども自分で作り始めております。
流石に陶器まではできませんので、お父様に頼んで発注しております。
また、カーシャ様のほかに、アークレイ公爵家のトラスティーナ様もご興味を持ってくださって、3人でドールハウスを作っては見せ合っております。
私の場合は、小さな家というより、公爵家内のお部屋になるので規模がデカすぎますが。
作ったお部屋を重ねてつなげて増築している状態です。
執事のセバスチャンが言っておりましたが、私が作っているドールハウスは偶然にも公爵家の増築の歴史と被っている部分があるらしく、いろいろ過去の図面など見せてもらっていてかなりはかどっております。
しかも、私が作るドールハウスを見て、他のご令嬢も欲しいという方が増えており、お父様が商売になると思ったのか、家具職人の内職としてあっせんを始めているようです。
そのうち動物家族系とか、木のお家系の物が生まれないかなと思う次第です。
順調に年を重ねておりますが、まだ自分の発育が悪いように感じます。
カーシャ様やトラスティーナ様はもう11歳で来年から魔法学校に入学されますので、だいぶ女性らしい体つきになってこられているのですが、私まだ、つるーん・ぺたーん、なのですよ。
9歳だとこんなもんでしょうかね?
それに淑女教育の影響か、だいぶ女性らしくなってきたんじゃないかと思うのです。
王子殿下もかなり美形ですので、11歳になられても割かし女顔なのですよ。
国王陛下は結構厳ついのに、王妃様の血を多く継いだのでしょうかね?
これなら受けでも攻めでも大丈夫な気がしてきております。何についてかは言いませんが。
あと、私の魔力量は結構多いそうです。
攻撃魔法は教えてもらえませんし、詮索しようとも思いませんが、防御魔法は教えてもらえましたので、試してみたところ、物理的強度がすごいとほめられました。
防御魔法でシールドを張った状態で、相手を壁に向かって押すことができるレベルです。
ふふふ、ペシャンコですわよ…シールドは透明なので、大変なことになりそうなのでやりませんが。
あと、私属性が風が得意なようです。
防御魔法など今教わっている魔法は無属性と呼ばれていて、ある程度誰にでも使えるそうですが、攻撃魔法となると、属性魔法になるそうです。
風は水に強く、火に弱い、火は水に弱い、3属性の三竦みですわね。
風属性ということは空とか飛べませんかしら?ドレスで飛ぶのははばかられるとは思いますけれども…
10歳になりましたわ
王妃教育がいったん終了いたしました。
これ以降は成人してからとのことで、きっと夜枷とかそういう話でございましょう。
耳年増で申し訳ないと思いますわ。
それと、私成長し始めましたの!
めざせモデル体型ですわ。
最近ではきっちりと運動も始めましたの。
厳密には柔軟であったりダンスであったりですが。
特にこの国のダンスはあまり男女がくっついて踊ることがない社交ダンスなのですけれど、意外と体力を使いますのね。
それと、ドールハウスとは別に、宝石の趣味を始めましたわ。
別にネックレスや髪留めをばかみたいに買うわけじゃございませんの。
原石を買ってきて磨くのですわ。自分で。
楽しいんですのよ?
こないだは石だけでは飽き足らず、結晶系にも手を出しましたの。
ビスマスが見つかったおかげで、ビスマス結晶で遊んでおります。融解温度も低いので簡単に四角い結晶が連なるものができますの。
うまいことそこに宝石をはめると、独特なアクセサリーができますのよ?
そのままでも虹色に輝くのでとても綺麗です。
おかげで、鉱物資源にも精通し始めましたわ。
ビスマスの特性なんて覚えてませんもの、こんな結晶物がないかと国中に問い合わせをしたほどです。
お母様もビスマス結晶をお気に召してくださって、夜会などにつけていってくださったおかげで、ビスマス需要が上がっておりますわ。
運よくカーシャ様のご実家の領地で取れるものですから、こないだお礼を言われてしまいました。
私が王国内の各鉱山の情報を集めていたら、ドッティール殿下も興味がわいたようで、一緒に探してくださりました。
最近では仲が良いと周りでも思われているようで、良きことかなと思います。
11歳になりましたわ
当初の目標であるおおよそ少女向けと呼ばれる趣味に興じながら、この世界での生活にどっぷり慣れてしまったミランダでございます。
前世記憶もだいぶ薄くなってまいりました。
今では立派な淑女でございます。
が、なんだか成長が止まってきたような気がいたします。
仮に私が悪役令嬢であるならば、ボンキュッボンで高慢な感じなんかになるのかと思っていたのですが、どちらかといえばそちらに該当するのは、トラスティーナ様ですわね。
見事なグラビア体形ですわね。
私はかなりモデル体型です。大丈夫かしらと思うほど線が細くて薄いんですのよ。
でもいくら食べても太らないし若いって怖いわよね。
ちなみに、髪の毛を束ねてみると、辛うじて男としても通じる感じの中性的な雰囲気が醸し出るのです。
体形のせいかもしれませんが、前世のファッションモデルの方たちも髪型やメイクで性別を超越しておりましたしそういうことなのでしょう。
最近のドッティール殿下は私に激アマです。
殿下も学校に通われておりますので、来年1年間だけが一緒に学校に通う年となりますので今から楽しみです。
公爵家の私の部屋はそれなりの大きさがあるのですが、その部屋の半分がぬいぐるみとお人形で埋まっていた状態で、さすがに翌年から学校に通うのに、この状態はまずいと思い、公爵家で使われていなかった小屋を改修していただき、そちらに置くことにいたしました。
週に1回はお掃除に伺いますのよ。
特に人形たちは着せ替え用の衣装もありますので、季節によって衣替えをして愛でております。
流石にブンドドはもう致しませんけれど、こうして季節感を楽しむのは良いですわね。
お友達からもこの部屋、お人形御殿とかぬいぐるみ御殿とか呼ばれているのですけれど、淑女教育上学校に通うようになると、表向きこういったものにふれられませんから、たまに遊びに来てたっぷり充電して帰られていきます。
見た目グラビアなトランスティーナ様なんて、こないだぬいぐるみの海に沈んでおりましたのよ?
一瞬本当に何らかの事故ではないかと肝が冷えましたが、ドラゴンのぬいぐるみを抱きしめてよい顔で寝ておられました。
ストレスが溜まっておられそうで心配です。よく婚約者の愚痴も聞きますし大丈夫でしょうか?
トランスティーナ様、ざまぁされないでくださいましね?
あと、カーシャ様は同じ爵位の侯爵家の長男と婚約されたとか。
たしか宰相のご嫡男だったはず。長身ですらっとしていてイケメンでしたわね。
ゲームなら明らかに攻略対象でございましょう。
ただ、お二人とも大変仲がよろしいようなので心配はなさそうです。
トランスティーナ様本当に大丈夫でしょうか?もう一つの公爵家であるサジタリウス家の次男が婚約者なのですが、結構腰が軽いそうで、トランスティーナ様はやきもきされておられます。
直接サジタリウス公爵様に訴えられたほうがようございますわよ?
12歳になりましたわ
魔法学校1年生ですの。
無駄に爵位が高いせいもあり、入学試験の点数もよく、私が新入生代表としてあいさつすることになってしまいました。
で、3年生であるドッティール殿下が在校生代表であいさつされましたわ。
まぁ殿下の成績も学年トップで、生徒会長だそうなので当然ですわね。
壇上に登って皆様のほうを見て話していると、ピンク髪の女性がやたらと目につきました。
そういえば、最近男爵家に引き取られた魔力量が多い女の子が今年入学すると聞いておりましたわね。
完全にそういうフラグな気がしますけれど、彼女も転生者だったりするのでしょうか?
ただ、別に睨みつけられたりとかもなく、期待に胸躍る感じの表情をされていたので、とりあえずは安心しておりました。
が!同じクラスでしたわ!!
つい1年前まで平民でいらしたそうなのに、勉強がとてもできる方でしたの。
学年順位で私の1個下でしたのよ?すごいですわね。
思わず声を掛けたら、ものすごく恐縮されてしまいましたわ。
別に威圧したわけではないのですけれど。この世界では褒められれば素直に受け止めて礼を述べるのが普通ですのに、平民だったとはいえそんなに謙虚にされると、逆に怪しいですわ。
感覚としては日本人的な…転生者かコイツ?!
しかし、どうやってそれを確かめようかしら、いきなり「貴女、日本ってごぞんじかしら?」などと聞くのもおかしな話ですし…どうしたものかしら。
さて、そんな感じで始まった学校なのですが、ようやく攻撃魔法を教えてもらえるようになりました。
風魔法の初級魔法は、単体攻撃のエアカッターから、見た目的にはかまいたちね。
同級生は全部で60人ほど。一クラス20名、A~Cまであって、Aが学力トップ、Bが普通、Cは聞いてはいけません。
で、クラスごとに魔法の実技があるのだけれど、ピンク髪の少女、もといマッケンジー男爵のクリスちゃん属性無しなのだそう。
魔力を持つ人は必ず何らかの属性を持っていることが一般的なので、属性無しはかなり珍しい存在。
それでも記録がないわけではなく、20年に一人ぐらいそういう人がいるとか。
で、無属性だと攻撃魔法が使えない。
その代わりに最近生み出されつつある魔道具の作成に最も適した属性だそう。
魔道具は属性を与えちゃうと、その属性を持つ人しか使えなくなるという弊害があるから、どんな職人も魔導具を作るときは無属性を意識するんだとか。
それでも、魔道具師の属性影響があるらしくて、我が家も含め貴族ではお抱えの魔道具師を持っていたりします。
家系で得意な魔法属性がある程度決まっているからね。
ふむ、聖属性みたいな伝説の存在的な形の物語のヒロインってわけじゃないけれど、その存在価値たるや無限大。
男爵良い娘を引き取ったわね。うまくいけば上位貴族とか王家ともよろしくなるわよ。
でも、少し安心したことがある。
Aクラスは学力トップが集うクラスなので、男爵令嬢だとか元平民だからと身分でいじめとかしない。
他のクラスはしらんけど、実力がものをいう感じ。
なので、学力2位のクリスちゃんは結構周りからもちやほやされている。よきかな。
それと、このクリスちゃん、特にイケメンを攻略しに行くとかそういったムーブはしていないよう。
誰とでも仲良くなれる性格なようだけど、貴族としての上下とかはちゃんと身の程をわきまえている感じ。
ふむ、よかった。乙女ゲームとかではなかったのね。
さて、学校に来るようになったので、さすがにいつまでもお人形遊びもぬいぐるみ遊びも出来ず、今ではアクセサリーを自分で作ることを趣味にしている。
だけどたまにはぬいぐるみにダイブしたいし、お人形も着せ替えたい。
そのため、毎週末のミランディール公爵家の離れの小屋は、ある意味カオスっている状態だ。
私も癒しを求めて入り浸る始末、さらにはカーシャ様やトランスティーナ様から連なるご令嬢たちが入れ替わり訪れる状態になっていたりする。
その状態に、我が家黙認である。
絶対に他人には見せられない恍惚な表情で、ぬいぐるみを抱きしめてお昼寝したり、お人形着せ替えたりして童心に帰っている。
みんな親御さんには公爵令嬢のお茶会に行くといっているようで、完全にアリバイ作りに使われている。
まぁいい。可愛い女の子たちと遊んでお昼寝して、申し訳程度にお茶を飲んでみんな帰っていく。
WIN-WINな関係だし、仮に私はばらされてもよいのだが、みんなが暗黙の了解と協定によって、このことは秘密にされているらしい。
なお、メイド長の話では、たまにお母様も入り浸っているらしい。お母様…
普段は非の打ちどころのない公爵夫人なんだけど、ストレスたまっているのかな…
15歳になりましたわ
飛んで申し訳ないのだけれど、特にこの間事件らしいものも無く普通に学園生活を楽しんだのよ。
1年目の文化祭では、私のドールハウスに目を付けられて、学校のミニチュアをみんなで作成したの。
クリスちゃんが、ものすごく手先が器用でかなり精巧に作り込めたわ。
魔道具作成にも通じるので、こういう作業は楽しいとのこと。
ちゃんと将来のことを考えていて偉いわよね。私とも仲良くなってくれたわ。
それと、学年首位争いは私とクリスちゃんのデッドヒートが3年間続いたの。
学問についてはね。
3年生になると共通科目だけじゃなくて専門科目もあって、私は歴史を選択したの。
目指せ歴女よ!もともと歴史とか大好きですのよ。
古代なんちゃら文明とか燃えるわ。
あと、天文学も継続中。
学校に地動説を唱えた先生がいらっしゃって、一緒にそれが正しいことを証明してやろうと躍起よ。
別に宗教的に弾圧されているわけじゃないのだけれど、なかなか目で見て観察できないものを信じろというのは難しいものね。
いっそロケットを飛ばしてみたい。
他には、魔法実技の授業ね。
風魔法に関しては最上位魔法まで使えるようになったわ。
おかげで今では応用して空を飛べるの。
ドッティール殿下にドレスのまま空を飛んで、しこたま怒られたのはいい思い出よ。
仕方がないじゃない。人間が空を飛ぶのは夢なのよ。抑えきれなかったの。
でも、確かに淑女のすることじゃないわよね。ごめんて。
この3年間で、私がやったことと言えば、公爵領でアクセサリーなどの加工を盛んにしたことぐらい。
私がいろんな鉱石をアクセサリーにするもんだから、その加工職人が集まってきたようで、結果的に公爵領の特産の一つになったわ。お父様にも褒められたの。うれしかったわ。
今日は卒業式のあと、卒業パーティーが行われるの。
ちゃんとドッティール殿下から、ドレスが届いたわ。
あんまりゴテゴテしているのが好きじゃないのをわかってくれていて、シンプルながら布が、布の手触りがすごく良いの。あんまり値段を聞きたくないわ。
公爵令嬢だけど、ぜいたくは好きじゃないのよ。
その辺もドッティール殿下と気が合うようで、殿下もいざという時以外お金をあまり使おうとしない。
例外として、国の為にはためらいなく使おうとすることだけど。
あと、なんだか私の功績みたいになっている、軍部再編計画があるのだけれど、それは見ないことにしている。
やめてください、近現代軍の組織編制の知識があっただけです。そういうの好きなんです。
なんですでに我が国は空軍があるんですかね。私そこまで余計なこと言った記憶ないんですが。
しかも参謀本部まで。大丈夫かシュリーフェンプランとか立ててないですよね?
さて、この国では卒業記念パーティー=貴族の社交界入り=成人式なわけでございます。
えぇ、私もいよいよ成人女性として扱われます。
明日から王妃教育も再開です。きっとエチエチなことでしょう。
で、明日からは正式に私は王太子妃となります。
すでにドッティール殿下は立太子されたのですが、私成人前なので婚約者のままでございました。
明日から王太子妃扱いになって、翌月には挙式です。
はえーって。
まぁ王太子殿下になら抱かれてもよいかなと思っております。
成人されて2年たちましたが、いまだに中性的な女顔でいらっしゃる。
ぜんぜん抱けます。やめて卵投げないで。
いまも、カーシャ様やトランスティーナ様とは仲良くさせていただいておりますが、私が王太子妃になると、さすがに公爵家に遊びに行く口実ができなくなる為、とても悲しんでおられましたわ。
君たちしょっちゅう我が家に来て癒されてたもんね。
特にトランスティーナ様がぬいぐるみに埋もれているのを見ると何とも言えない気持ちになったものです。
見た目が見た目なので。
もういっそ、城の離宮にそういう部屋を作ってやろうかと画策しております。
ちなみに、女王陛下にこっそり相談してみたところ、割と乗り気だったので実現するかもしれません。
はー結局普通に女の子になっちゃったなーまぁいいか。
ミランダ・ミランディール公爵令嬢→ミランダ王太子妃→ミランダ王妃は、後年軍事改革を行った王妃として名をとどろかせ、それとは別に少女王という言名を持つ。
城の離宮に少女趣味全開の部屋をもち、たびたび旧友たちを呼んではお茶会をしていたことが、子供たちの日記に残っており、特にミランダの娘である第一王女のミシェル王女は、一時趣味部屋から出てこなくなったことが有名である。
また、産業振興にも尽力したとされ、王国の細工師の腕は世界一といわれている。
今では魔道具だけでなく、魔導機械人形の製造・販売を行っており、裏では機械人形兵が一軍を担っているといわれていたりする。
面白かったと思われましたら評価いただければと。
評価してもらえたら頑張って連載を始めております