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第31話 ビーエン湖の戦い

 ワイバーンに乗った三人はアマデウスの拠点のビーエン湖上空に来ていた。

 上空から見ても分かるほど、毒々しい紫色が大きな湖の半分以上に広がっており、魚が腹を向けて無数に浮かんでいた。

 そしてその巨大な湖のあちらこちらには、人間の兵士が簡易の橋を架けていた。

 王国軍は、大きな街が三つは入りそうな大きな湖にいる人魚族を根絶やしにするために、橋と数艘の戦船(いくさぶね)を使い、人魚達を追い込もうとしていたのだった。


「しかし、国王軍は何を考えているのかしら? ビーエン湖は魔王軍だけでなく、王国にとっても大事な水源のはずなのに、そこに毒をまくなんて……あれ、アマデウスちゃんじゃない?」


 毒から逃れるように、水面に人魚が上がってきた。

 そこを待ち受けていたかのように兵士達が無数の弓矢を放つと、人魚は慌てて水中に潜っていった。


「ああ! あいつら、かわいいアマデウスちゃんになんてことするの! 許せない!」

「ノアール、とりあえず、あの戦船を全て沈めよう」


 感情的に怒るノアールに対して静かに怒ったカイルはコンバットスーツを身に着けると、光線銃(レーザーガン)を抜いた。


「そんなんじゃ、船は沈められないニャ」

「大丈夫。ナビちゃん、擲弾発射器(ロケットランチャー)モード」


 カイルの指示で、ハンドガンから単段式のロケットランチャーに切り替わった。

 

「それは、なんニャ!?」

「まあ、見ててください」


 カイルはそう言うと一艘の船に向けて引き金を引いた。

 音もなく発射されたロケット弾は、風を切りながら船へと吸い込まれて爆発を巻き起こした。

 船の横っ腹は大きな穴が開き、湖水が流れ込み、爆発によって船は燃え始めた。

 悲鳴や怒号をあげながら兵士たちは火を消そうとするするが、どう見ても手遅れだった。

 沈みかかる戦船を助けようと別の船が近づいてくる。


「次弾装填」

『了解』


 カイルはその様子を見て、またロケット弾を発射すると、同じように船は爆発する。

 大きな声でカイルたちを指さす兵士が出てきた。どうやらカイルたちが発見されたようだった。


「カイル! すごいニャ!」

「戦船は全て落とします。ネーラ、ワイバーンを船に寄せてください」


 ネーラはワイバーンを操り、カイルが次々と戦船を落としていく。

 湖に落ちた兵士たちは自らまいたバジリスクの毒によって、次々に湖に浮かんでいった。

 突然、上空から狙い撃ちされる王国軍。

 橋を架けていた工作兵は逃げ始め、橋から一方的に人魚たちを狙い撃ちしていた弓兵は、カイルたちが乗っているワイバーンを狙い始めた。

 しかし、空高く舞うワイバーンには矢は届かない。

 次々に沈む船の中、ひときわ大きい戦船が現れた。

 その甲板で、一人の男が叫んだ。


「貴様ら! この残虐毒将軍に逆らうとはいい度胸だ! 降りてこい」


 革の胸当てのみつけた将軍が叫んでした。


「人間の間で残虐ってつけるのが流行っているのかニャ? じゃあ、ノアールは残虐がさつ姫ニャ」

「軽口たたいてる暇があったら、しっかりワイバーンを操りなさい!」

「ネーラ、あれが旗艦(きかん)だ。落とすよ」

「はいニャ」


 ネーラは地上から放たれる弓矢に当たらないようにしながら、カイルが残虐毒将軍を狙えるようにワイバーンを操る。


「な、なにをする! やめろ! こちらの攻撃の届かないところから一方的に攻撃するなど、騎士の片隅にも置けない! 地上に降りてきて戦え! 降伏しろ! 助けてくれ!」

「アマデウスちゃんたちの湖に毒をまいて、一方的に弓矢で攻撃しているお前が言うな!!! カイル、やっておしまい!」


 ノアールの言葉にカイルは狙いを定めて、ロケット弾を放ったのだった。 

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