第27話 水の勇者の猛攻
「カタリナ嬢を盾にするなど、卑怯千万!」
水の勇者ランスロットは、カタリナのために涙を流さんばかりに叫んだ。
「いや、あんたが誤爆しただけでしょう。なんであたし達のせいにしてるのよ。確かにクーリエ候はあたしが殺させたけど、カタリナを殺したのは紛れもなく、あなたよ」
あきれたノアールはランスロットに向かって、冷静に状況を言って聞かせた。
「うるさい! 逆賊の甘言なんぞに耳を貸す私ではない!」
そう言って、ランスロットはノアールに襲いかかろうとした。
しかし、それを止めたのはカイルだった。
「あなたの相手は僕ですよ」
「おかしな鎧を身につけたからと言って、水の勇者である私に勝てると思うな!」
そう言って上段から剣を振り下ろした。
それを左手で受け止めるカイル。
「ランスロットさん、僕は怒っているのですよ。僕のノアールを殺そうとしたあなたに!」
カイルはランスロットにボディーブローを繰り出す。
「グッファ!」
土の勇者マイク同様、ランスロットの身体が吹き飛んだ。
それに追い打ちをかけるように、空中にいるランスロットに向けて光線銃を何発も撃ち込んだ。
「カイル! やったわね!」
その戦いを見たノアールが喜びの声を上げて、カイルに抱きつこうと近づいてきた。
それをカイルが止めた。
「まだです、ノアール」
カイルは警戒を解いていなかった。
「思ったよりもやるな。しかし、こんな物では私は倒せないぞ」
空中でランスロットが剣でレーザーをはじいているのをカイルは見逃さなかった。
さすがは水の勇者と言ったところだろう。
距離を取ったランスロットは、また、剣を水平に構えた。
流水双覇剣の構えだ。
しかし、それは先ほどカイルは受け止めた。
「お嬢様!」
「分かったわ。好きなだけ持って行きなさい。私の正義の源を!」
目に見えるほどの魔力の流出。
それがランスロットの七色の大剣に流れ込んでいた。
「極・流水双覇剣・改!」
ランスロットの大剣から大木ほどの水龍がカイルに襲いかかった。
それを左手で受け止める。
「ナビちゃん、吸収モードマックス!」
『了解です』
ランスロットの水龍が左手に吸い込まれ始めたとき、カイルは気がついた。
「もう一匹は!?」
流水双覇剣は二匹の水龍が襲いかかるスキル。
カイルの目の前にいたのは一匹だけだった。
影がカイルを覆った。
「上か!?」
カイルが空を仰いだとき、そこには大きな口を開けた水龍が襲いかかる所だった。
カイルはほとんど吸収し終わった一匹目の水龍を空の水龍にぶつけて、その牙を両手で掴んだ。
「これも止められるか!?」
小さな水龍に乗ったランスロットがカイルに向かって襲い掛かった。そしてその勢いのまま、全体重を乗せた突きを放つ。
神具による必殺の突き。
いくらコンバットスーツでも抑えきれない。
上空の水龍のせいで、受けることも避けることも出来ない。
絶体絶命のピンチ。
「カイル!!!」
ノアールの悲痛な叫びがカイルの耳に飛び込んだ。
さすがのノアールも、勇者同士の戦いに割って入るほどの実力は無かった。




