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90 観覧車

.°( *´꒳))ω`,,)ギュッ♡

その後も、色んなアトラクションを巡っていると、すっかり夕方になってきてしまった。最後に俺達は観覧車に乗ったのだが、景色が素晴らしいものだった。


「わぁ……!綺麗だねぇ」

「そうだね」


君の方が綺麗だよ。なんて言いたいが、今は可愛い方が強い琥珀たんなのでもう少し大人になってから言うつもりだ。ちなみに、このゴンドラには俺と琥珀しか居ない。案の定夫婦はさっさと自分達だけで乗ったので仕方ないが、むしろ有難いかもしれない。


「琥珀、遊園地楽しかった?」

「うん!あっくんのお陰だよ」

「俺?」

「あっくんが居なかったらこんなに楽しくなかったと思うんだ……だからね、ありがとう」


そんな風に無邪気な笑顔で俺にお礼を言う琥珀。違う、違うんだ。それは俺の方で……


「あっくん」


こちらに、歩いてきてから、俺を優しく抱きしめる琥珀。あまりに唐突な行動に驚いていると琥珀は優しく言った。


「今日ね、ううん、昨日から少し難しい顔してたから、心配だったんだ。あっくん、いつも私のために無理しちゃうから……」


それは、きっと琥珀の親戚の件とかだろう。知らず知らずのうちに顔に出ていたのかもしれない。それでも、隠せてたと思ったが……そんな痩せ我慢はすぐにバレるらしい。やっぱり琥珀には敵わないな……


「あっくん、私、凄く泣き虫で、弱くて、何も出来ないけどね……あっくんには笑ってて欲しいんだ」

「……俺もだよ。こうやって、いつでも琥珀に助けられてばっかりだけど、琥珀にずっと隣で笑ってて欲しいんだ」

「……うん」


優しく俺を抱きしめて頭を撫でる琥珀。あまりにも温かい温もりに俺は救われた気持ちになってくる。きっと、琥珀はこうして定期的に俺の拭えない過去の想いを和らげてくれるのだろう。決して消えることはない俺の許されない過去。いや、無かったことにしてはいけない、絶対に忘れることは許されない過去か。


「琥珀」

「なあに?」

「大好きだよ」

「……うん、私も」


そうだ、今度こそ俺はこの子を守り抜いてみせるんだ。もう二度と失いたくない。もう二度と手離したくない。ずっとずっと側で笑ってて欲しい大切な女の子。


1度はその手を離してしまった。そのサインに気づけなかった。今度は絶対に見逃さない。今度は絶対に離さない。何があっても俺は守ってみせる。


ゴンドラが1周するまでの間、俺はずっと琥珀に抱きしめられていた。きっと、男としては情けない姿だろうけど、そんな俺を琥珀は何も言わず優しく抱きしめていてくれた。この日、ますます俺は琥珀に惚れ直したのは言うまでもないだろう。





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