79 通知表
( 'ω' و(و"♪
一学期の終業式が終わった。校長の無駄に長い話が終わると生徒達はどこかホッとして夏休みモードに入る。
「んじゃ、通知表配るぞー」
この言葉を聞くまでは。返される通知表を覗いては絶望の表情を浮かべる生徒達(主に男子)だが、俺は特に気負うことなく受け取った。
「あー、今泉。お前はまあ、あれだ。もう少し自重しろな」
そんな担任からのありがたいお言葉。多分だが、琥珀の邪魔になる琥珀のクラスの女子生徒3人を処分した件だろう。これでも大分自重したが……まあ、仕方ない。
席に戻って通知表を開く。中学の通知表は5段階評価で、5教科については俺はオール5を叩き出していた。それ以外の科目は、体育は5、音楽と家庭科は4、美術は2と美術が絶望的だった。
家庭科については料理とテストはそこそこ大丈夫だったが、縫ったりとかそっちが微妙だったのだろう。
音楽はまあ、こんなものかな?
そして、美術に関してはまあ……絵がどうしても下手すぎてねぇ……うん、絶対これ母さんとかに笑われそう。
「暁斗ー、どうだった?」
川藤が覗きにくる。俺も川藤の方を見るが、体育以外ほとんどオール3なのは流石だと思った。体育は俺と同じく5なのは川藤なら当然だろう。
まあ、担任からのコメントに『年頃らしく異性への興味が強いのは分かりますが、もう少し紳士になりましょう』とか書かれてるのはなんか笑えるけど。
ちなみに俺は『もう少し年頃らしくしてもいいと思います』と書かれていた。何故?
「ぷっ、お前、美術絶望的だなぁ。相変わらず絵下手だもんなぁ」
「卒業までに3になれればマシだろうねぇ」
「あれ?あんま気にしてないのな」
「ん?まあね、絵は琥珀が上手いから教わること出来るし」
完璧超人を演じるのは難しいし、やっぱり少しくらいダメなところも無いとね。とはいえ、いずれは克服する予定だ。生まれてきた俺と琥珀の子供が見てそこそこ上手いと思えるレベルを目指す。
絵が上手い父親って俺的にカッコイイからねぇ。ちなみに俺の父親はそこそこ絵が上手い。手先が器用なようで、そこは見習いたいところだ。
「ふーん。まあ、お前らしいか」
「川藤はそのオール2とかじゃなくて良かったね」
「それは確実に母ちゃんが怒るからなぁ……」
川藤の母親は怒るとガチで怖いから、川藤なりに頑張ったのだろう。まあ、それで水泳の授業覗こうとした前科は消えないけど。
「夏休み、時間あったら遊ぼうぜ」
「予定空いてたらいいよ」
「おう!」
琥珀優先なので確約は出来ないけどそう答えて一学期最後のホームルームは終わるのだった。