76 夏休みの宿題
シュクダイナニソレオイシイノ?(・□・)
学校によって、担当教員によって夏休みの宿題が配られるタイミングはマチマチだろう。基本の5教科にプラスでいくつか。ウチの地方では都会よりも夏休み期間が比較的短く、量もさほど多くはない。さて、夏休み間近になるとそんな学生にとっての悪夢のような課題が出される訳だが……夏休みの宿題1つとっても、それぞれの性格はよく出る。
有名なのはやはり、夏休みの最後のギリギリで終わらせるか、最初に一気に終わらせるパターン。なかなか学生が計画的にやるのは難しいのでそんな風に偏るのは仕方ないことだ。
「夏休みはいいけど、宿題とか面倒だよなぁ……」
席替えで隣になった川藤がそんなことを呟く。まあ、学生の本音だろう。でも、俺は実はそこまで気にしてない。
「そうか?結構役立つぞ」
「は?役立つって……そんなガリ勉だったっけ?宿題好きなマゾ?」
「いんや、だって夏休みの宿題なんて、彼女と堂々と居られる体のいいアイテムだろ」
あんなもの半日も掛からずに終わらせられるが、琥珀と一緒にやるためにある程度は残しておく。まあ、宿題なんて面倒だと思うだろ?だがな、考えてみれば、部屋に入り浸れる口実にもなり得るのだ。まあ、基本俺の部屋だろうけど、それでも俺と琥珀のイチャイチャの足しにはなるだろう。
俺は琥珀には甘々だけど、宿題は自分でやらないと意味が無い。必要のないことなら俺がやってあげるが、琥珀は真面目なのでどんな事にも真剣になるだろう。だから、それをサポートして教えれれば好感度もますます上がるという魂胆だ。
浪川と会う時にやる可能性も無きにしも非ずだが……浪川は天才タイプで教えるのは下手な上にいつものことで俺を頼るのは明白だ。うん、いいねいいね。
「……なあ」
「出来ても写させないぞ?」
「まだ何も言ってないのに!」
「あの程度の量ならすぐに終わるだろ?俺は琥珀と一緒に居たいからゆっくりやるさ」
ちなみに昔の俺は、覚えてたたら前半にやって忘れていたら最後にやるパターンが多かった。川藤は始業式の朝に俺のやつを写して担任に叱られるパターンだったか?案外こいつの方がマゾな気がするが……
「はぁ……暁斗が冷たい……」
「そりゃ、川藤だもん」
「お前な……もう少し親友を助けてくれてもいいんじゃね?」
「仕方ない……なら、始業式の日に真っ先に俺が担任に告げ口しよう。川藤が宿題やってきてないと」
「裏切り者めぇ!」
何とでも言えばいい。俺は琥珀のためだけに動こうと決めてるしね。川藤なら、馬鹿キャラでも愛嬌があるだろうし。……まあ、俺には需要ないけど。