75 囲い込み作戦の一端
(っ*´꒳`)っ
帰り道、なんだか少し考え込んでる琥珀に俺は踏み込んで聞いてみた。
「あまり乗り気じゃない?」
「え?」
「夏休みの予定話してから、少し気になってさ」
本当に些細な様子だったので気づけて良かった。あの時に一瞬そんな気がしたのだ。もしかして家族のこと……あの実家に関して悩んでいるのかと思ったが、どうにも違うようだ。
全く気にしてない訳ではなさそうだが、琥珀としてはあまり元の家族への執着は低いようだ。ただ、それでも家族なので健気に心配してそうではあったが……今のところは俺のフォローでなんとかなってる。
まあ、恐怖の方が強いのかもだけど……あの家族が琥珀にしたことを考えると。……そう考えると今すぐ滅ぼしたくなってくるので我慢だ。自滅するか最悪浪川にでも協力して貰えば問題ないだろう。
「あのね……」
「うん」
さて、どんな内容なのだろうと思ったら、琥珀は予想外のことを言った。
「あっくんが実家に帰ってる間、1人は寂しい……なんて……」
……あー、説明不足だった俺のミスだ。なるほど、それでか。
「いや、琥珀が嫌じゃなければ一緒に本家に来て欲しいかな」
「え……?いいの……?」
「うん、親戚が集まるけど、女の子ばっかりだし琥珀のこと自慢したいんだよ。俺の彼女で婚約者だって」
「こ、婚約者……!」
まあ、婚約者というか逃がす気はサラサラないが……
「琥珀のことちゃんと親戚にも話したいんだ。だから、嫌じゃなければ……どうかな?」
「うん……」
「いいんだね?」
「あっくんと一緒に居たいから……」
照れながらそんなことを言うのでますまさ可愛くて愛でたくなる。本当この可愛い彼女はどれだけ俺をたらしこめば気が済むのだろう?
彼女の段階で親戚に会わせる……祖父母に会わせるというのは、少しどころかベリーヘビーだろうが、そんなことよりも徐々に囲っていかないとね。幸い琥珀を奪いそうな不埒な輩は親戚には居ないことだし……それに、近い年頃というか、全体的に女の子が多すぎて俺や父さん、男性陣の居心地の悪さはなかなかのものだ。そんな中なので琥珀を連れていくのには全く問題はないわけで。
というか、1人で家に残してもしものことがあるといけない。俺が残ろうにも、祖父母が絶対うるさいだろうし、なら囲い込みも含めて連れていくのがベストな選択。琥珀と一緒に居られて、囲い込みも出来るのだ。こんなに素晴らしいプランもそうそうないだろう。まあ、琥珀が嫌がるなら無理強いしないで俺は残るつもりだったが……琥珀は基本的にいい子なので断らないだろうと思っていた。
聖母琥珀たん(キリッ)