73 体育の暇つぶし
((((((っ´・ω・`)っ
「うぅ……酷ぇよ暁斗……見捨てるなんてさぁ……」
「自業自得だろ?」
午前中だったこともあり、馬鹿な男子はこってり絞られてから、色々罰を科せられたようだ。昼休みも散々説教を受けていたようだけど、俺は琥珀と楽しく過ごしていたから知らない。
俺たちのクラスも午後は体育があったのだが……男子は夏らしくなってきたうだるような暑さの中で走っており、女子はプールで水泳とちゃんと授業内容が分かれている。本来なら、俺たちはサッカーなのだが……男子の体育教師が諸事情あり、こうして暑いのに頑張って走っている。
まあ、大体の生徒はダルそうにしているが……頑張ってるのは俺たちを含めて数名の運動部系の生徒だろうか?そんな中で、俺は先頭を余裕で走っているのだが、その俺に並走しているのが少しお馬鹿な友人の川藤だった。そういう所はやっぱりスペック高いんだよなぁ……
「はぁ……にしてもさ、理不尽じゃね?女子だけ水泳って」
「仕方ないっての。まあ、それに俺はサッカー得意じゃないから走ってる方がいいかな」
体力もつくしね。汗の匂いを誤魔化すのは大変だけど。あ、さっき昼休みにどさくさで抱きついた時の琥珀のいい匂いと塩素の香りがこれまた絶妙でなかなか素晴らしかったなぁ。
「これ以上化け物になってどうするんだ?体力お化けか?」
「いや、普通だから。体力お化けとか……まあ、確かにいざって時のために体力は欲しいけど」
「お、エロい話か?」
「いいけど、実体験だから生々しいよ?」
「くたばれリア充!」
まあ、まだ琥珀には手を出してないけどね。
「あー、くそー……俺も誰でもいいから早く彼女作ろうかなぁ……」
「別に焦ることないでしょ」
「とは言うがな、お前がイチャイチャしてるの見てるとなんかなぁ……」
そんなことを言うが、前回の時もモテたいとか言ってたので俺に影響されてではないのだろう。まあ、男が女を求めるのは本能だし仕方ないけど。
「俺と琥珀は幼なじみで両想いだったからね。そりゃ、そういう関係にもなるって」
「ってか、桐生ってそんなにお前にとって大切なん?」
「まあね。その価値に気づいた奴は……」
「奴は?」
「翌日には新しく建てる家のコンクリートに埋まってるかも」
「ホラーかよ!」
そこはほら、浪川の家からやり方教わってね。生き埋めにするとしても声帯は切らないと面倒になるか。
「……ところで、川藤。明日建設現場に見学に来ない?」
「行かねぇぞ!俺は生き埋めにはならないから!」
琥珀の居ない時間の暇つぶしにはもってこいの男だよなぁ……まあ、琥珀と会えない時間で自分磨きの片手間に友人とバカ話するのもたまにはいいか。