69 ナンパは慎重に
ヾ(・∀・`o)ネェネェ
「次はどこに行こうか」
「ねえねえ、君たち」
2人で楽しくショッピングをしていると、後ろから声をかけられる。振り向くとえらくチャラい2人組の男がいた。年齢は20歳くらいだろうか?下心丸出しの顔に黒華は若干げんなりする。
「何か?」
「可愛いね。学生さんかな?俺たちと遊ばない?」
またかと、黒華はため息をつく。黒華は見た目が人より少し大人びてるせいか時々こんな風に馬鹿にナンパされることがあったのだ。琥珀も突然のことに驚くが、そんな琥珀を庇って黒華は言った。
「間に合ってますから」
「いいじゃん、少しくらい」
「未成年ナンパして楽しいんですか?」
「お、やっぱり未成年なんだ。ラッキー」
そう言って怯える琥珀に手を出そうとして――ガシッとその手を掴まれる。
「あっくん!」
その人物は紛れもなく琥珀の王子様である暁斗だった。琥珀に一瞬微笑んでから、暁斗は冷たい視線を男に向ける。
「俺の彼女に何か用事ですか?」
「はぁ?何彼氏いたの?こんなのより俺らの方がカッコよくね?」
そう2人に問いかける。すると、琥珀はムスッとして言った。
「あっくんの方がずっとずっとかっこいいもん!」
「未成年に発情する変態よりは腹黒の方がマシってね」
「んだと?この糞ガキが………って、いっていって!」
琥珀の返答に嬉しくなりつつも、ますますナンパした男が許せなくなったように握る手の力を込める暁斗。その行動にもう1人が暁斗に手を出すが、ささっと避けてから同じように両手で2人を抑えつける。大の大人2人をあしらうその行動に周りも唖然としていたが、しばらくすると、何人かの黒服がやって来て男2人を連れて行った。
「じゃ、俺はこれで。琥珀」
「ふぇ?」
友達同士で遊んでいるのに無粋な真似は出来ないと立ち去ろうとする暁斗はその前に琥珀を1度抱きしめてから耳元で囁いた。
「無事で良かった。さっきの言葉嬉しかったよ」
そう言って去っていく暁斗をボーッ赤くなって見つめる琥珀。そんな2人に黒華はやれやれと思ってしまう。
(ま、あのタイミングは絶対どこかで見てたんだろうけど……言わない方がいいか)
いつもはナンパされても自分で適当にあしらうが、琥珀がいる今日は少し難しいかった。なので、ベストタイミングではあったが、やはり腹黒で計算してるようなのであまり好きにはなれなかった。
(助けられたお姫様がこれじゃ、文句は言えないしね)
こんな風に助けられれば絶対に琥珀は暁斗をますます好きになってしまう。どこまで計算なのか分からないが、それでも琥珀はそれさえもかっこいいと思うだろう。恋は盲目、いや、多分どんな暁斗だろうと琥珀はベタ惚れだったのだろうと他人事ながら思うのだった。