65 手作りのお守り
(・д・)/
「うぅん……あっくん……?」
しばらく琥珀の寝顔を見つめていると、ようやく起きたようだ。寝ぼけてて可愛いので思わず微笑んでしまう。
「おはよう琥珀」
「おはよう……私寝ちゃってたんだ……あっくん、ごめんね」
「いいよ。毎日頑張ってるから仕方ないよ。それで何か用事があったんじゃないの?」
そう聞くと思い出したように琥珀はずっと握っていたものをモジモジしながら差し出してきた。
「あのね……これ、良かったら……」
なんかラブレター貰ってるみたいな錯覚に陥るけど、可愛いので良しとしよう。琥珀から渡されたのは手作りと思われるお守りだった。『あっくん必勝』と書かれたそれは神様からの効力は無いだろうけど、琥珀という天使か女神からの祝福は詰まってそうだ。
「あんまり上手じゃないけど……あっくんの力に少しでもなりたくて」
そんな健気なことを言われてしまっては頑張るしかない。別に大会に関しては全くモチベーションは高くなかったが……可愛い彼女がここまで期待してくれてるなら少し頑張ってみるとするか。
「ありがとう、大切にするよ」
「えへへ……」
優しく頭を撫でると嬉しそうに笑う琥珀たん。琥珀のサラサラな髪が物凄く手に馴染む。しかし、これでは足りないな。何か琥珀に今すぐお礼出来る方法は……あれだな。
「琥珀、隣座って」
「……?うん」
何の迷いもなく俺の隣に座る琥珀。俺はそっと琥珀をこちらに倒すと優しく膝の上で受け止める……まあ、簡単に言えば膝枕してあげたのだ。
「……ふぇ!?あ、あっくん……?」
「嫌だった?」
「そうじゃなくて……はぅ……」
真っ赤になる琥珀。でも、恥ずかしいよりも、多分『前からやって欲しくて嬉しいけど、あっくんの膝の上……(ドキドキ)』的な感じなのだろう。まあ、男の膝枕って硬いだけな気がするけど、それでも好きな人なら嬉しいのかもしれない。
かくいう俺も琥珀の膝枕を虎視眈々と狙っている。まあ、琥珀たんの場合成長中の胸が顔に当たるという副作用ラッキスケベ的な展開も有り得そうだけど……想像すると色々ヤバいので我慢我慢。
そっと琥珀の頭を撫でる。
「琥珀の髪は柔らかいね……それに綺麗だ」
ぼふんっ!そんな音が聞こえそうなほどに顔を赤くする琥珀。琥珀に甘やかされるのもいいけど、琥珀を甘やかすのも楽しい。エロい事を考えない訳じゃないけど、こういう何気ない触れ合いって大切だし愛おしいと思うんだ。
そうして、夕飯を呼びに来た母さんがこの現場を目撃して写真を撮ってから父さんに報告に行くまでは平和に過ごすのだった。にしても、母さんめ。後で写真を没収しないとな。琥珀の可愛い写真は持ってて損がないからね。