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62 怖いもの

:(´◦ω◦`):ガクブル

「こちらでございます」


黒服さんに案内された部屋に入ると、偉く豪華な造りで少しびっくりする。そして、その中心にいるガチもんにしか見えないイカついヤクザ顔の顔にいくつもの傷跡がある男性がいたので俺は挨拶をする。


「初めまして。浪川黒華さんの親友の桐生琥珀の彼氏の今泉暁斗と申します。浪川さんのお父様ですね?」


その挨拶に一瞬その人はキョトンとしてからイカつい顔を緩ませて言った。


「なんでい、俺の見た目にビビらずに普通に挨拶出来るとは、わけぇのに肝が座ってやがるな」

「俺にはもっと怖いものがあるので」

「ほぅ」


琥珀を失うことに比べたらただの強面なんて特に怖くない。まあ、基本的に興味も無いけどね。


「まあ、いいさ。でだ、うちの愛娘の件では世話になったな」

「こちらもご協力に感謝します。お陰で大切な人を守れました」

「大切な人ねぇ……お前さん、うちの愛娘のことどう思ってるんだ?」


ギロっという圧のある視線を向けてくる浪川の親父さん。本来なら腰を抜かしてビビるだろうけど……琥珀を失う怖さに比べると全くと言っていいほど怖くは無かった。


「特に何も。俺の大切な人の親友でしかないですから」

「黒華は可愛くないと?」

「世間的に言えば美少女でしょうが……生憎と俺には心に決めた人がいまして。残念ながらその人以外の女性を愛せませんから」


ハッキリと言い切る。と、じっとこちらを睨みつけていた浪川の親父さんは突然笑いだして言った。


「くくく……なんでぃ、黒華に寄るハエかと思ったら……くく、本気で興味ないんだな。お前さん、その大切な人ってのは、うちの愛娘の親友のことかい?」

「ええ、幼なじみで俺にとって1番大切で失いたくない人です」

「そいつは結構。オジサンこう見て過保護でねぇ。可愛い愛娘に手を出す奴なら容赦しない所だが……気に入ったよ」


何故か勝手に気に入られてしまったようだ。


「それにな、黒華に親友が出来たってのも嬉しいもんだ。あの子は昔からウチの仕事のせいで余計な苦労をかけてからな。それがあれだけ嬉しそうに友達を連れてきたんだ。オジサンも嬉しいもんだよ」

「そうですか」

「ま、そんなことはいいんだが……なぁ、お前さん腕っ節には自信があるか?」

「運動神経は悪くないですよ」

「なら、ウチで内緒のバイトしないかい?」


思わぬ問いに驚いてしまう。ギリギリ合法な仕事内容でも未成年を雇用は難しいと思うが……


「ま、お手伝い感覚ってやつさ。なんなら将来ウチに来て働いて欲しいくらいだ」

「彼女との時間が優先なので、それを呑んでいただけるなら」


どうせお金は必要だし。何故か気に入られたのなら、コネは使うべきだろう。


「そりゃ、良かった。親御さんには後で説明するとして……まあ、少しオジサンの話に付き合え」






「琥珀は愛されてるわね」


聞き耳を立てていた黒華の第一声はそれだった。中では自分の過去の話やらされて、若干ゲンナリしても、とりあえずは心配してた親友にそう言うことにした。


その親友の琥珀は顔を赤くして嬉しそうに呟いていた。


「大切な人……1番大切で失いたくない……えへへ……」

「って、聞いてないか」


ぽわぽわしながら幸せに浸る琥珀に思わずくすりと笑ってしまう。まあ、自分からしたらあんなに重たい愛なんてお断りだが、あそこまで言えるのは凄いと思う。特に自分の父親は一般人が見たら恐怖で腰を抜かすレベルの人物なのでその人物相手に普通に会話出来るメンタルが凄かった。


部下でもあの声のトーンの父には恐怖するのにそれをスルーして当たり前みたいに父親に気に入られた暁斗という存在が黒華は若干怖くもあった。


(琥珀はよくこんな化け物彼氏にしたわねぇ……)


メンタル的にも明らかに逸脱しているとしか言えない。琥珀という存在を原動力にしてるのは分かるが、幼なじみのためにここまで出来る人間が果たしているのだろうか?


(ま、私には関係ないか)


琥珀という親友が出来たが、その琥珀が幸せそうなら気にする必要もないだろう。今のところ向こうが自分達の交友関係に口出しする気配はないし、あまり仲良くする必要もなく、最低限琥珀の親友として接することにすればいいだろうと黒華は思った。


ちなみに、琥珀はその間も1人で幸せ世界に入っていたが……その様子は本当に嬉しそうだった。




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[一言] うむ。可愛い
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