61 予約済み
(*`・ω・´)
「「「「「「お嬢!お帰りなさいませ!」」」」」」
「ただいま、あとうるさい。友達怖がるから下がってて」
和風の大きな家に1歩入るとイカつい人達がお出迎え。なかなかシュールだが、怖がる琥珀を宥めることを専念する。知ってはいたけど、お嬢って呼ばれてる時点でなかなかレアな気がする。
中庭に面した場所には池もあり、鯉も泳いでいた。うん、金持ちだねぇ。
「琥珀、うるさくてごめんね」
「ううん、でも少しビックリした」
「無理だったら場所変えようか?」
その質問に琥珀は首を横に振って笑顔で答えた。
「黒華ちゃんのお家でいいよ。私、お友達のお家に来るの初めてで少し戸惑っただけだから」
なんとも健気なセリフだ。まあ、確かに琥珀はあまり人と深く付き合うことは無かったかもしれない。ハブられる訳じゃないけど、少し距離感があるのだろう。
俺なんて小学校高学年の頃、琥珀と少し疎遠になりつつあった頃に友達の家に集まってその友達の親のエロ本とかを皆で見てた馬鹿な時期もあったからなぁ。ちなみに俺は何が楽しいのか分からずに途中で帰ったけど。
思えば、男とは子供の頃から馬鹿な生き物だが、まあ仕方ない。在りし日のツルペタ琥珀たんをもう少し拝んでおけば良かったとロリコンのようなことも地味に考えてしまう。まあ、そんなアホな動機はさておき、俺がもっと早く琥珀の大切さに気づけていれば、もっと琥珀のこと幸せに出来たのにとは少し思ってしまう。
でも、こうして今、友人の家に来て楽しそうに笑う琥珀を見ればそれで満足なのも現金だよねぇ。現に浪川もキョトンとしてからクスリと笑って言った。
「私も、友達招待したの初めてかも」
「そうなの?」
「ええ、だから琥珀が初めての人ね」
サラリと俺を挑発するようなことを仰る浪川殿。ふふ、甘いな。俺は琥珀の初めて全てを貰うからその程度で動揺などせぬわ!
「そうだね、浪川は琥珀の初めての親友だからね」
「ええ、そうね」
「親友……えへへ……」
俺と浪川でバチバチしてるが、それに気づかずに親友という単語に笑みを浮かべる琥珀はガチで可愛かった。
「失礼します」
そんなことをしていると、黒服の男性が部屋に入ってきた。
「今泉様。我が主が呼んでおります。ご同行頂けますか?」
「分かりました」
「あっくん……?」
不安そうな表情を浮かべる琥珀に俺は微笑んで言った。
「大丈夫、少し話してくるだけだから。浪川と遊んで待っててよ」
「うん……」
それでも、少し心配そうな琥珀に俺はそっと――首筋にキスをして呆然とする琥珀に微笑む。
「大丈夫だから。続きは帰ってからね」
その言葉に顔を赤くする琥珀を浪川に任せて黒服さんに着いて行く。さてさて、どんな人なのやら。