60 お呼ばれ
|・Θ・)ノ
あの、琥珀の頑張りから数日後。3人の女子生徒は表向き『転校』という形で姿を消した。裏で何をされてようが、そんなのは知ったことじゃない。ただ、復讐とか企てられると面倒なので、そんな気が起きないような目に合わせてくれと協力者には頼んでおいた。
3人同時の転校、明らかに何らかの裏事情があるのだが、まあ、琥珀に危害がある噂は立ってないから大丈夫だろう。
その琥珀なんだけど……前より、浪川と仲良くしてるようで帰宅する時なんかはたまに浪川の話が出てくるくらいにはなった。呼び方も『浪川さん』から『黒華ちゃん』にクラスアップしてるし、向こうも琥珀のこと呼び捨てにしてるしまあ、仲良くなったのだろう。
百合案件なら当然排除も試みるが、琥珀の友人として弁えてるなら俺だって受け入れる度量くらいある。まあ、少し嫉妬も無くはないが……そんなものより、琥珀の幸せが優先だからだ。
「あ、あっくん」
今日も今日とて琥珀のクラスに向かうと、浪川と話していた琥珀が俺を見つけて駆け寄ってくる。毎回思うけど本当に可愛いなぁ……
「あのね、あっくん。黒華ちゃんから黒華ちゃんのお家に来ないって誘われたんだけど……」
「行きたいなら構わないよ」
「あっくんも一緒にどうって言われて……どうかな?」
俺も?チラリと浪川に視線を向けると浪川はため息混じりに言った。
「お父さんがね、今泉に用事があるって」
「娘に近づく男は許さん的な奴?」
「どうせ、腹黒な事情のことでしょ」
浪川は自分の実家を利用して邪魔者を排除した件を理解しているのだろう。まあ、俺としてもバレるとは思っていたから気にしないけど。
「ま、何にしても分かったよ」
「そう」
どの道、そのうち話はしたかったしね。そんな俺と浪川のやり取りを見て琥珀が少し拗ねたように俺に抱きついてきた。
「むぅ、あっくん、黒華ちゃんと仲良しなんだねぇ」
「心配しなくても、琥珀以外の女の子愛せないよ。それに俺も向こうも異性として見てないから問題ないと思うよ」
「そうね、こんな腹黒好きになるの琥珀くらいよ」
「あっくん、カッコイイもん」
「そうね」
ぎゅっと俺に抱きついてくる琥珀を見てくすくす笑う浪川。なんだかんだで琥珀の魅力に落とされたのだろう。恐るべき魔性だが、元来これくらい琥珀という存在は人を虜にするのだろうとも思う。
少しづつではあるが、琥珀と仲良しのクラスメイトとの交流してるらしいし、本当に琥珀はどこまでも凄いものだ。そんな凄くて可愛い彼女持ちの俺勝ち組じゃね?まあ、琥珀さえいれば他に何も要らないし。
そんな訳でお宅訪問ですよ。