59 クッキー
(・ω・)丿
「あ……そうだ」
一件落着と言うにはまだ早いかもしれないが、俺と琥珀は手を繋いで一緒に帰宅していた。そんな中、琥珀は思い出したようにポケットを探してから小さくラッピングされたクッキーを取り出した。のだが……
「砕けてる……」
シュンっとする琥珀。多分今日部活で作ったクッキーなのだろう。透明な袋なのでクッキーがかなり砕けてるのがよく見えた。ハート型もあるので凄く勿体ないと思ってしまうが……しかし、ここで引き下がるような男ではないのだ!
「琥珀、それ頂戴」
「え?で、でも……すごく砕けちゃってるし……」
「俺のために作ってくれたんだよね?なら、食べたいな」
「う、うん……」
そっと差し出してくるクッキーの袋のラッピングを優しく解いてから、砕けてるクッキーを取り出して食べる。やはり、琥珀の手作りお菓子は普通のお菓子の何倍も美味しい。
「うん、凄く美味しいよ。ありがとう琥珀」
「あっくん……えへへ……」
キュンっとしたのか照れる琥珀がまた可愛くて思わず微笑む。そういえば、前の時はこんなに笑うことは無かった気がする。やっぱり琥珀がいるから、俺はこうして自然に笑えるのかもしれない。
「でも、ごめんね。ポケットに入れてたから砕けちゃって……」
「いいんだよ。琥珀が俺のために作ってくれたんだ。それだけで凄く嬉しいよ」
とはいえ、これだけだと納得はしないだろう。だから、ちゃんとフォローもするのを忘れない。
「でも、またハート型のクッキー作ってくれると嬉しいかな。琥珀からの愛が欲しいからね」
「ふぇ!?あ、愛……」
モジモジする琥珀たん。きゃ!きゃわぃぃぃぃぃぃぃぃい!!!!!琥珀たんマジで可愛いすぐるお!なんでこんなに天使なの?幼なじみが天使すぎて俺っちもう理性が持たいないかも……
「あ、あのね、あっくん」
「何かな?」
「えっとね……今度は、もっと上手に作るから……また食べて欲しいな」
はにかみながらそんなことを言うから本当に愛しくて思わずこのままホテルで朝までコースに行きたくなる。いや、もうさ、ここがゴールで良くない?俺、めっちゃ頑張ったよね?もうさ、こんなに可愛い彼女前にして理性がね、もう……いやいや、落ち着け俺。琥珀の可愛い淡い想いを尊重しないと。それにお楽しみは最後に取っとくのが俺の流儀だ。
「勿論だよ。楽しみにしてる」
「……!うん!頑張るね」
そんな訳で琥珀たんの愛情たっぷりクッキーは砕けていても最高でした。なんか胃袋をガッツリ掴まれてるけど可愛い彼女にならむしろ掴まれたいよね。