54 お悩み相談
(´д⊂)
「うーん……」
帰ってきてから、一緒に予習復習を終えてからのくつろぎタイム。俺の可愛い琥珀たんは、少し悩んでいるようだった。まあ、大方察しはつくけど。
「どうかしたの?」
「うん……あのね、あっくん。なんだか浪川さんが少し元気がなかった気がして……気のせいかな?」
やっぱりか……まあ、アイツのことだから嫌がらせ行為で若干面倒に思ったのかもしれないな。若干精神年齢が高めの浪川からしたら、同級生の幼稚な嫌がらせで心が折れることはないだろうが……やっぱり友達は心配なのだろう。本当に俺の彼女はお人好しで聖母みたいだ。
「琥珀はどうしたいの?」
「うんと……浪川さんが悩んでるなら力になりたいんだけど……お節介なのかな?」
「いや、琥珀のその気持ちは大切だよ」
ポンポンと頭を優しく撫でる。
「ただ、浪川みたいなタイプは無理をしすぎないからそこは安心していいと思うよ」
一見溜め込むタイプにも見えるが、中学でほとんど人付き合いをしなくなった件を踏まえて俺はあまり心配してない。アイツは割とすぐに割り切ることが出来るのだろう。だからこそ、同級生の幼稚な嫌がらせに呆れはしても、ダメージを受けてはいないのだろう。
そんなことを考えていると、ふと琥珀が何故か少しだけ不満そうな表情を浮かべているのが見えた。最初は俺の答えに不満なのかと思ったが……それはすぐに違うと分かった。
「あっくんは浪川さんのことよく分かるんだねー」
拗ねたようにそう言うので嫉妬だろう。なんて可愛い――いや、愛おしい彼女。
「琥珀の友達だからね。異性として興味は無いよ。俺は琥珀以外の女の子を好きになることは有り得ない。琥珀は俺の特別だからね」
「そ、そう……?えへへ……」
これをチョロいと思った奴、正直に前に出な。今から順番に殴るから。琥珀は俺以外からこんなこと言われても口説かれないからチョロくないのだ!
「明日は確か料理部でお菓子作るんだよね?浪川の分も作ってあげれば喜ぶと思うよ」
「……うん!あっくんのは特に頑張ってつくる!」
可愛らしく拳を握ってやる気満々アピールの琥珀たん。まあ、これでいいのだろう。別に俺は浪川のことなんてどうでもいい。琥珀の友達じゃなければ関わるのはごめんだ。でも、琥珀が友達として選んだなら、ある程度フォローはする。
とはいえ、タイミング的にはそろそろなんだよなぁ……まあ、それは俺の方でカバーするとして、明日は琥珀の手作りのお菓子が食べられる。楽しみだ。
そっと、琥珀を抱き寄せてくつろぐ。この時間はとても贅沢だ。