閑話 親友がおかしくなった
俺、川藤照永の親友である、今泉暁斗がおかしくなったのは中学に入学してからだ。小学校は6年間同じクラスで、良く知ってる親友のはずなのに春休みの1ヶ月ないくらいの期間でその認識は大きく変わった。
いや、別に別人になったとかじゃないんだよ。
なんていうか……妙に大人っぽくなったような感じ。しかも、俺が昔アイツが仲良くしてた同級生の桐生って奴にからかいで「お前ら付き合ってんの?」的なことを言った時はかなり否定していたはずなのに、何故か春休み明けてから本当に付き合い始めたらしい。
しかも、昔なら参加してた給食の残りの争奪戦にも、休みの日の遊びにもほとんど参加しなくなった。前はクラスメイトと馬鹿なことして楽しんでたのに、今はそれを女子と呆れて見てる始末。
意味が分からない。けど、別に俺達と仲が悪くなったとかじゃないんだよね。普通に話してるとやっぱりアイツだし。
「暁斗、また彼女のところか?」
「もちろん」
「本当にお前彼女のこと好きなんだな」
「当たり前だろ?ずっと側にいたいほどだ」
……ただ、なーんか、やっぱり違う。暁斗の彼女の桐生は俺も知ってるけど、本当に大人しい生徒としか記憶にない。どこがいいのか分からんと言えばアイツはいつも頷いて言う。
「それでいい。親友を殺めて前科を持ちたくないしな」
あかん、殺される。
しかも、アイツは元々顔も悪くない。運動神経は抜群で、勉強はそこそこのはずが、何故か今回のテスト、暁斗は満点で総合トップの成績を出していた。そのせいか、女子から妙にモテてる気がするが……クラスメイトの女子からすると暁斗は物凄く羨ましい存在だそうだ。
「今泉くんってさ、彼女に一途だし、他の男子と違って馬鹿なことしてないから、カッコイイかなぁ……なんて。あ、もちろん、彼女さんに悪いから取らないけどね」
その彼女の桐生の方は前に1度様子を見に行った時に物凄く暁斗とイチャイチャしていたのを覚えてる。なんだろ……なんか、可愛いような気がすると思うと暁斗が般若のような表情を彼女に見せないようにこちらに向けていた。
それを見て男子は気がつく。少しでも邪な感情を向けたら確実に潰される。でも、確かに暁斗といる時の桐生はなんか俺が知ってる時よりも輝いてる気はした。
歳頃だし、彼女くらいは欲しいけど……アイツみたいに好意を隠さずにストレートに出せるかと言えば多分無理だ。それくらい今のアイツは悔しいけど、1人の男としてカッコイイとさえ思えた。
喫茶店のマスターは次の時に( - ̀ω -́ )✧