51 喫茶店
ケーキィ(「・ω・)「
「んー!」
可愛らしくケーキを食べてほんわかする俺の彼女。喫茶店なんて、あまり入ったことはないけど、雰囲気が落ち着いてて俺はかなり気に入ってしまった。まあ、多少値段が高いものもあるので、中学生の財布で気軽に入れるかは別の問題だが、この琥珀の嬉しそうな表情を見てればまた来ようと思える。
琥珀が頼んだのは紅茶とモンブラン。イチゴのショートケーキと迷ってから、そちらを選択したみたいだ。俺はといえば、琥珀が頼まなかったイチゴのショートケーキとコーヒーを頼んでみた。やはり喫茶店のコーヒーはなかなか侮れないものだと思う。
まあ、普通にジュースでも良かったんだけど、せっかくなのでこうしてコーヒーを堪能しつつ、琥珀にショートケーキを分けて食べさせてあげるのが何よりも楽しいのだ。
「琥珀、これも食べていいよ」
「ふぇ?でも、あっくん、それ……いちごだよ?いいの?」
ショートケーキに乗ってるイチゴに関する議論はある程度誰でも知ってるだろう。このケーキの上のイチゴを取られて怒る人もいればそうでない人もいるが、嫌いな人はそうそういない大切なもの。それが、イチゴなのだが……まあ、俺は琥珀の笑顔のためなら喜んで差し出すよ。
「ほら、あーん」
「あーん……」
もぐもぐと可愛らしく食べる琥珀。なんか餌付けしてるみたいだけど、普段は俺が胃袋を掴まれてるからたまにはいいだろう。
「あっくんは、本当に優しいね」
「そうかな?」
「うん、いつも私のこと助けてくれて、守ってくれて……こんな私のこと、大好きって言ってくれる。私ね、本当にあっくんのこと大好きなんだ」
恥ずかしそうに微笑む琥珀。
あー……もう……ここのままホテルで一泊したい気分だぜ。もちろんラァァブなホテルで。というか、この子はなんでこんなに可愛いの?いや、もうさ、謙虚で自信があまりないところとかも可愛いけど、俺は別に琥珀のことを低くは見ていない。むしろ、琥珀の全てを知っててだからこそ、何もかもが愛おしく思えるんだと思う。それは一見人から見てダメな所だと思える場所でもだ。
「琥珀、俺はね。別に誰にでも優しい訳じゃないんだよ」
だからこそ、真っ直ぐな気持ちには真っ直ぐな気持ちをぶつけたい。
「琥珀だから、俺の好きな人だからこそ、大切にしたいって思ってるんだ」
「あっくん……」
恥ずかしい台詞かもね。でも、琥珀がときめいてくれたからセーフだろう。羞恥心?琥珀を愛でる時にそんなものは不要。むしろ邪魔でしかない。
「ねえ、琥珀はさ。例えば俺が悪いことをしたらどうする?」
こんな時だから……というのは変か。言わないでいいはずのことを思わず聞いてしまっていた。その質問に琥珀はキョトンとしてからくすりと笑って言った。
「あっくんのこと、信じるよ」
「俺を?」
「うん、あっくんが理由もなく人を傷つけたりしないって知ってるもん。だから、私はあっくんのこと信じて側にいるよ」
……あれ?なんか琥珀にバブみを感じてしまった。いかん、なんか母性の塊にしか見えない。この方は女神か天使なのだろうか?にしても、本当に俺って馬鹿だよな……こうしていつもいつも琥珀に助けて貰ってばかり。
好きな女の子にカッコイイ姿を見せて惚れさせたいのになかなか上手くいかなくて、その女の子に助けて貰ってばかりなんだから、カッコ悪いよね。でも、それでも俺は琥珀の側にいたい。だから、琥珀を傷つける奴を絶対に許すつもりはない。
「そっか、ありがとう琥珀」
「えへへ」
何となしにバランス調整のために頭を撫でると嬉しそうに微笑む琥珀。バブみから可愛いへとシフトチェンジして琥珀たんってば意外と小悪魔なのかもしれない。そんな感じで喫茶店でイチャイチャしていたが、店長さんが何故かめちゃくちゃ微笑ましい顔でこちらを見ていたのだけは気になってしまうのだった。