31 料理部
第一候補(*`・ω・´)
何故だ……行く先行く先の運動部から執拗に勧誘を受ける。女子の運動系の部活なのに、軽く琥珀に付き合っていると何故か勝負を吹っかけられてそのままノリで……ていうパターンで見てた男子の部員から勧誘されてしまう。
てか、俺は琥珀の付き添いで居るだけなのに……
「琥珀、気になった部活あった?」
「うーん、あんまり……」
「そっか、じゃあ、文化部でも見に行こうか」
琥珀が望むなら運動部でもいいんだけど、個人的に合ってそうな方を進めることにする。そこまで多くはない文化部だけど、琥珀が真っ先に飛びついたのは……
「料理部か……」
「うん、最近お母様に習ってるんだけど……楽しくて」
えへへと笑う琥珀。中に入ると、女子の部員が琥珀を歓迎してくれた。雰囲気は悪くない。料理部だけあって男子の部員も居ないのは評価高い。まあ、中学生にてそのモテ要素を極めるために部活としてやる奴は少ないか。
早速体験というか、どうやら他に新入生の見学が来なかったようで、琥珀も軽く体験させて貰えることになったので、エプロンを借りて味噌汁を作りはじめた。琥珀のエプロン姿グッジョブ!
「ねぇねぇ、君あの子の彼氏なんだよね?」
エプロン姿に見蕩れていると女子の先輩からそう聞かれる。
「ええ、そうです」
「どっちから告白したの?」
「俺からです。ずっと好きだったんで」
「おー、それはそれは……」
「なので、もし彼女が入部したら変な男が近寄らないように気をつけて貰えると助かります」
「ふふ、過保護だね。君は入らないの?ウチは男子別に禁制じゃないけど」
まあ、俺としても入れると助かるけど……
「止めときます。美人さんがいっぱいだとかえって彼女を心配させますから」
「あら、お上手」
「あ、あの!あっくん……出来たよ……」
話を聞いてたのか少しだけ膨れる琥珀たん。有難く受け取ってから、一口飲む。うん、この家庭的な味は安心するなぁ……
「ど、どうかな……?」
「うん、美味しい」
「本当に?」
「もちろん。だから、俺のために毎日味噌汁作ってくれると嬉しいな」
一瞬その意味が分からなくてキョトンとしてから、かぁっと顔を赤くする琥珀。……と、同時に盛り上がる女子部員。いかんな、見せすぎたか。まあ、でも琥珀的にここは居心地悪くなさそうだし検討する価値はあるかな。
その後も色々聞いてくる先輩方から琥珀を守っていたけど、琥珀も嫌という訳ではなさそうなので良かった。まあ、部活で特に怖いのは上下関係だけど、こういう人達なら琥珀のこと受け入れてくれるかもしれない。
ちょくちょく様子みてヤバそうならちゃんと守ればいいしね。