152 フォークダンス
( 'ω' و(و"♪
基本的に、ウチの中学でのこのキャンプでのフォークダンスの曲はオクラホマミキサーだ。まあ、定番といえば定番だが、男女で密着するので俺は最初は変えようと思っていた。
そんな簡単に変えられるのか?まあ、俺が影から暗躍すれば不可能では無かったが、しかし琥珀と踊れるというのは魅力的だ。なので、この曲でなんとか踊る方法を考えることにした。
あまり長くはやらないということを考慮すると、俺のクラスと琥珀のクラスが交わる可能性は低いというかほぼゼロだ。そうなると、ある程度の根回しが必要だろう。
まずは、琥珀のクラスメイトに根回しをする。幸いなことに、クラスの全員が俺と琥珀の仲を知ってる上に、俺自身何人かのクラスの中心の男子とは友人になっているので、そう難しい事ではない。後は教師陣だが、他のクラスの人間が1人変わっていても気づくことはなかなか無いだろう。担任に関してもその心配は要らないので心置き無く実行できた。
「……あんたの策ってこれなの?」
曲も終わりが見えてきた辺りで、琥珀が近くの俺に驚きつつ笑みを浮かべてる中で、その手前にいて俺と踊るふりをしてくれている浪川がそんなことを尋ねてきた。
「というか、どうやって混じったのよ」
「俺のクラスに気になる子が居るって奴と踊る場所を交換しただけだよ」
そう、これは善意での行動だ。決して無理強いはしてない。まあ、確かに曲の最後で琥珀と踊れるように調整はしたが、向こうもノリノリでトレードに応じてくれたのでOKだろう。
「呆れた……琥珀が男子達と踊る時に皆踊るふりなのもあんたの差し金?」
「まあ、それをしてもバレないし」
むしろ、普段の俺の行動力を知ってる男子達が琥珀と手を繋ぐという愚行を犯すことはなかったようで素直に応じてくれた。まあ、拒否して琥珀と手を繋いだ場合はコンクリートに埋めて明日には優雅に海での生活が始まる予定だったけど、それをしても琥珀に男が触れたという事実は消えないのでモヤモヤしただろう。
「まあ、いいけど……あんまり近づかないでね」
「そっちこそ、琥珀が見たらショック受けるから触らないように」
うん、俺と浪川の関係はこれくらいの方が琥珀も安心するだろう。だって、彼氏と親友が仲良しって彼女的には少し心配になるだろうしね。それを分かってる浪川も同じような反応をしてくれるので助かる。まあ、俺が琥珀以外の女子とどうこうなることは有り得ないが、琥珀の不安を軽減することは何より大切なことだろう。