129 叔母2人
٩( ᐛ )( ᐖ )۶
「ん?おーい!暁斗!」
シャワーでさっぱりしてから、琥珀の元に向かおうとすると、野生のクマ……じゃなくて、野生の亜希叔母さんと遭遇してしまった。
声を掛けられてしまった以上、死んだフリもゆっくり後ずさることも、クマ避けの鈴を鳴らすことも叶わないので観念して振り返る。
「どうしたの?」
「今な、華夜と話してるんだが、久しぶりに甥とゆっくり話したくてな」
「姪達の方はいいの?」
「楽しそうにお茶してるから、邪魔はしないさ」
さりげなく、従姉妹を生贄にしようとするがそれは無理そうだ。個性的な叔母達の相手は疲れるからなぁ……まあ、俺的には多恵叔母さんが一番難易度高いけど。
「分かったよ」
「よし!なら、こっちだ!おーい!暁斗連れてきたぞー!」
室内に入ると、華夜叔母さんがおり、俺の顔を見て苦笑していた。多分、叔母の中で一番良心的なのは華夜叔母さんだろうと思われる。
「ん?暁斗、風呂入ってたのか?」
俺から香る石鹸の匂いでそう判断したのだろう。亜希叔母さんが首を傾げていた。
「まあね、少しお祖父ちゃんに稽古つけて貰ってたから」
「え?お父さんと?」
「ほー、何をしたんだ?」
「剣道だよ。俺が頼んだんだ」
その答えに2人ともえらく驚いていた。まあ、祖父は普段は孫に甘々だが、武道に関しては鬼だから、自分から稽古を頼んだことを告げると驚かれるのは仕方ないことだろう。
「暁斗って、確か部活テニスだよね?なんで剣道?」
「ん?まあ、なんとなくかな」
「彼女が剣道好きとかか?」
「いやいや、姉さん、多分違うと思うよ。んー……そういえば、紗季から、身体鍛えてるって聞いたけど関係あるのかな?」
鋭い華夜叔母さんだが、母さんが俺が身体を鍛えてること知ってたのに少しびっくり。まあ、隠してないから当然かもだけど。
「まあ、そんなところだよ。あと、道着姿で琥珀をドキドキさせたくてね」
その返しにポカーンとしてから、可笑しそうに笑う亜希叔母さんと、くすりと笑う華夜叔母さん。
「紗季の言う通り、暁斗がベタ惚れなんだな!」
「みたいだね。多恵も似たようなこと言ってたし」
「そりゃそうだよ。そういえば、母さんと多恵叔母さんはどうしたの?」
「ん?ああ、2人とも赤ん坊の世話だよ。交代で見てるんだ」
「多分、紗季の方は旦那様の様子見もありそうだけどね」
そうか、休んでる父の側にいるのはなんとなく想像がつくかも。多恵叔母さんは旦那さん居ないから、赤ちゃんを愛でてるのかもしれない。




