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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

4/4

作者: のいあ1230

長い間、遊びにこれず随分と放置してしまいました;

出産編も手掛けてはいますが、なかなか書き終わらず・・・

ほのぼのした短いお話なのでさくっと読めます。

4/4のΩの節句は何としてでもと思っていたので、

単純なお話になってますが、楽しんでいただければと思います。


宜しくお願いいたします。

将獅子


今年の中節句は生後半年の可愛い愛息子も一緒の祝いとなった。


産まれた時からアルファの性が強く出ている我が子。


しっかりと上体を自立させることが出来るようになった今では、私の着物の襟をしっかと鷲掴み、いつもとは違う庭の様子に興味津々で身を乗り出さんばかり。


目をくるくると動かせ、時折、「あう、え。」と声を出し、行きたい場所に腕を伸ばす。


この日のために作らせた屏風を見て「おう。」と感嘆の声を上げる様子はとても面白い。


「解るか、りき。母様のための屏風ぞ。どうだ?」


と問うと、うんと力強くうなずく様は、小さい大人のようでその可愛さに笑いをこらえることが出来なかった。


まじ可愛い。贔屓目抜きで、まじ可愛い。


などとニヤついていると、周りの家臣からの賛辞が聞こえた。


「いやはや、さすがは上様のご嫡子様にございますな。半年経つか経たぬかの内に、このように話の内容を理解するなどとは。末恐ろしいものですの。」


「それだけではござらぬぞ。うちの孫なぞまだ寝返りを打つか打たぬかで床を這いずり回っておりますのに、さすがは将軍家のご長男であらせられる。もうつかまり立ちを始められて。これは将来、楽しみですな。」


と、なにやら勝手に盛り上がり始めている。


全然悪い気はしない。親ばかなんで。


苦しゅうないぞと、もっと話を聞こうとすると

「将獅子様もそうでございました。初めての生誕祭を迎える前には走り始め、庭中を駆け回っておられまして。なにせ、すぐ部屋から抜け出し、考えも及ばぬことをしては、我々の肝を随分と冷やしてくれましたな。周りの者が慌てふためくも、どこ吹く風と他人事で。大イチョウの木のてっぺんに陣取る姿は、今でも覚えております。何度、心の臓が止まりそうになったか。こうやって立派にお種様になられて、本当にうれしく思いますぞ。」


と、父の代から居座る古参の老中に昔のやんちゃを暴露され、少し居が悪い。


力丸りきまる様も上様の生き写しの様なお子であられますので、これからがまあ、大変ですな。」

と、にやにやと心中お察ししますという態度を取られる。


乳母や、教育係を置かず自らの手で育てると輝(妻)と取り決めた為だ。


幼い男児だ。腕白な坊主の方が安心というもの。


力強くたくましい子になるように「力丸りきまる」という幼名を与えた。


その名の通りの男に育てよう。心の広い、気前の良い、いい男になるように。


成人を迎え、「力獅子りきじし」と名を改めるまでは、父が共に傍にいて、世を統べるものとしてのすべてをお前に託そう。


そして、母様と他の兄妹と、仲睦まじく暮らしていこう。


そんな思いを込めながら見つめると、りきもきらきらとした目で見つめ返してくれる。


はぁ、まじ可愛い。目に入れてもいたくないってこういうことだ。


美しい親子愛を確かめ合っているというのに、也友なりとも横やりをいれる。


「正妃様に会う前までの気性までは似てほしくはないな。いくら命があっても足りない。」


ぼそっと、耳元で苦情を言われる。


「お手柔らかに頼むぞ。お世継ぎ様。」


りきを覗き込むその顔は我が子を心配する父の顔だった。


学友として、将来の側近として、これから生まれる也友の子が名を挙げている。


産婆の話によると、男児だろうとのことで、これはなんとも運が良いことだった。


信頼のおけるマイメンの子供だ。きっとよい仲間になるであろう。


「大きく成れ。我が子よ。」


と、高く高く持ち上げると、可愛い我が子が嬉しそうに声を上げて笑った。










そんな様子を縁側に座り遠くから見ているママです。


すっかりパパっ子になったりきちゃん。


抱っこされて嬉しそうに中節句の準備の下見を一緒にしてますねー。


将獅子もしっかり父親業してるつもりだけど、りきちゃんにはでれでれだからね。


「男なんだ、甘やかしは無用!」とか言いながら、自分が一番甘やかすパターン実践してるから。


この前だって、りきちゃんが寝ながらパパの事を蹴りまくってたのに、「さすが男の子だ!強いぞー!上手に蹴れたな!」とか褒めちぎってたし。


それで、またりきちゃんが嬉しくなってさらに蹴るっていう永遠ループ。


力も大分ついてきているから、地味に痛いんだけどな。あれ。


そろそろちゃんと叱ってもらわないと困るんだけど。


「男の子なんだからしょうがない。」と片づけられるから躾にならない。


なんて思っていると、マツに声を掛けられる。


「正妃様、春になったといってもまだ肌寒うございます。さあおひざ掛けを。」


お腹を冷やしたら大変、と湯たんぽまで持たされる。


実は私、二人目を妊娠中だったりする。


そろそろ安定期の4か月目。


産後1か月間は我慢しなきゃいけなくて、お互いに溜まりに溜まっていたんだと思う。


解禁後はお乳上げてるかご飯食べてるか寝てるかエッチしてるかっていう生活をしばらく送った。


子を産んだ後は、昼夜逆転の生活になるし、とにかく赤子のことが一番で、交うことが生理的に無理になるって聞いていたけども。


将獅子が良く育児を手伝ってくれるからか、安心して預けられるため、眠れるときは寝だめしているし、そのイクメンぶりをみていると、新たな魅力を発見したみたいになって、ムラムラとは違う、こう、愛しい気持ちがこみ上げてきて、激しく繋がるっていうよりも、中に収めたいっていう感じで。


まぁ、それも最初だけなんだけどね。途中からは気持ちよくなってせがんじゃうし、将獅子も集中し始めるからどうしても激しくなってきちゃうんだよね。


それで、お乳上げてるから大丈夫!って気にせず中出ししてたら出来ちゃった。


誰だ、おっぱい上げてたら妊娠しないって言ったやつ。


こんな短期間に立て続けに妊娠するのは男オメガでは珍しいことらしく、「早すぎはしないか?」と周りを心配させてしまっている。


私はといえば健康そのもので、りきちゃんの時と同様つわり・だるさ一切なし。


ねぼすけなのはいつもの事だし、食欲が収まらなくて困っているくらい。


あー今日も甘味が美味しいな、と桜大福を頬張ってると也友なりともの愛妻の染子そめこがやって来た。


染子そめこは貴族出身の御姫様で、二年ほど前に也友なりともと籍をいれたらしい。


今はそろそろ臨月を迎える大きなお腹を抱えている。


お腹の子はりきちゃんの学友としてすでに決まっている。


「こっちに座って。あともう一息の辛抱ですね。」


席を勧め、大きなお腹を撫でる。


「ご機嫌麗しゅうございます。正妃様にあやかって、ぜひとも安産といきたいものです。」


ふーと大きなため息をつく染子そめこをみて、自分もそうだったと思い出す。


出産の痛みを忘れたわけでは決してないが、なぜ妊娠した嬉しさが勝ってまた辛い道を選んでしまうのか。


「私も半年もすればまた、自分の足先も見えなくなってしまうと思うと、今のうちに足指の爪でも染めて遊んでおこうかと思ってしまいます。」


「私もまさか、お気に入りの着物が羽織れなくなるとも思いませんでした。胸が張るのは嬉しい事ですが、巾広の帯ばかりで味気なくて。」


染子そめこ曰く、『えーかっぷまいなす』が『しーかっぷ』になって、襟から覗く胸の膨らみが、はっきりと目視でき嬉しいらしい。


「影が出来るんですよ。谷間に。」と興奮気味に話をしている。


『ふぁっしょにすた』な染子は、身だしなみにとても気を使っている。


也友なりともの着物も毎日選び、『きれいめこーでぃねーと』を心がけているそう。


今年の夏は『めたる』か『ふりる』を選ぶと外さないとのこと。


私は、流行りや着物の事になると、途端に無頓着になってしまって、マツにも叱られてばかりいる。


城から発信する流行りが国を支えると言われても、自分のセンスの無さが解る故、自信がない。


だから、染子そめこのような流行りものに敏い人間の話を聞いて、取り入れるようにしている。


『ろまんてぃっくあすりーじゃー』なる部類もあるらしいが、上級者むけのようでやめておこう。


そんなことを、とりとめもなく二人で会話していると、節句会の準備が整ったと知らされた。




今年も豪華に飾られた中庭には、

見事に咲き誇る桜と、

贅をつくした料理と、

珍しい舶来菓子と、

幻の銘酒と、

気のおけぬ家臣などが集まった。

きっと毎年恒例となるこの中節句の宴。

主催夫婦はきっと、これからも末永く共に歩み、

国を導いてゆく・・・かな?


読んでいただきありがとうございました。


近日中には出産編などアップできたらと思っています。


ではまた~

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