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幼き勇者は来ませり

作者: 森平

気分転換に書いたものになります。

読んで、お楽しみいただければ幸いです。


 人類は魔王の手勢によって劣勢に立たされていた。

 広大だった人類の生活圏はすでに最大時の三分の二にまで減ってしまっている。

 すべての国家は同盟を結び、最高戦力を投入した上でも最前線の砦を守ることで精一杯だった。


 だからその日、人類は最後の望みを掛けて、異世界より勇者を召喚することにする。


「すごいな……これが、勇者様召喚のための魔法陣って奴か」


 アスメンテ王国の一兵士であるクリムトは、警備の騎士たちの向こう側でほんのりと光を放つ魔法陣を見てそう呟いた。

 ただの兵士でしかないクリムトがここにいるのには理由があった。

 王国軍第一近衛兵団第三隊副隊長兼、王城の警備主任である直接の上司のテレジア・セレヌ・ドゥエンヌに、人の良さそうな顔をしているからと強引につれてこられたという理由が。


 本来であれば、勇者召喚の儀式には隊長格の騎士しか入ることは許されていなかった。

 それもそうだろう。これは人類の最後の希望であり、失敗は決して許されない儀式なのだから。

 それだけに自分が場違いな気がして、去年成人したばかりでまだ十七歳のクリムトは、せっかくの栄誉であるのにまったく落ち着きが持てないでいる。


「クリムト、もっと落ちつきなさい。第一隊の隊長殿がこちらを見て睨んでいるわ」


「もうしわけありません、テレジア様。しかし……」


「しかしではありません。もう……あなたは私の1つ下でしょう? いい歳して、そんなにおどおどしてどうするんですか」


「侯爵令嬢でもあるテレジア様と一緒にしないでください……。俺はただの庶民なんですから」


 本来ならば、クリムトはテレジア相手にこんな口さえもきけない身分だ。

 テレジアは侯爵令嬢ながら騎士をやっているだけあり、部下や庶民に対してもおおらかな性格をしていた。

 だから許されているのであって、もし貴族でもある他の隊の隊長格にこんな口の利き方をすれば、その場で首をはねられてもしかたない。


 そんな情けない部下の様子に溜息をつき、そして魔法陣の周りにいる魔法師たちの様子に気が付いてテレジアは表情を引き締める。


「おしゃべりはここまでよ。始まるわ」


「はいっ」


 言われるままに口を閉じ、クリムトは召喚のための魔法陣に注視する。

 何人もの高位の魔法師たちが陣を囲み、呪文を唱え始めた。


 淡く光り始める魔法陣。

 蛍火のような光が辺りを舞い踊り、酷く幻想的な光景にクリムトはただぼう然とその光景を眺め続ける。

 そんな幻想的な光景に、一人の少女が入り込んだ。


「おいでませ、勇者様。どうか窮地に陥ったわたくしたちをお救いください……」


 リディア・ポワ・カリーヌ・アスメンテ。

 非常に優れた魔力を持ち、十五歳ながら稀代の魔女でもあるアスメンテ王国の第一王女。

 そのリディアは豪奢な杖を傾げ、勇者召喚の為の最後の祝詞を口にする。


 そして、光が弾けた。


「うぉっ!?」


 目が眩むほどの光が部屋を満たし、容赦なく儀式を注視していたクリムトの目を刺す。

 それはその場にいた他の者たちにとっても同じだった。

 光が満ちた部屋の中で視力を保てた者は一人としておらず、全員が目をおおい、あるいはうずくまりながら光が消えるのを待つ。

 同時に魔法陣の中央で、強大な魔力が渦巻いていた。

 ただの兵士であるクリムトにはわからない。だがここにいる魔法師たちは、これこそ勇者が召喚される前触れだと確信する。


「ぐぅぅっ、どうなっているんだ、これ……っ」


「落ちついて、クリムト。少しでも早く視界が戻るよう、努めなさい」


「はいっ」


 隣にいるテレジアに注意され、クリムトは黙って視力を回復させることにした。

 召喚の間に沈黙が満ちる。

 誰もが同じように視力を戻すことを最優先にし、そして部屋から光が消えて数秒もしたころ。目を開けた誰かが驚いたような戸惑いの声を上げた。


「え? はっ……え?」


「どういう……ことだ……?」


 小さなざわめき。だがそれは、視力を取り戻した人が増えるたびに大きくなっていく。


「いったい何が起こっているんだ……?」


 まだ視力が回復しないクリムトは、周りの声に不安に駆られてしまう。

 もしかしたら勇者召喚が失敗したのだろうか。もしくは、他の不都合でも発生したのかと。

 隣にいるはずのテレジアさえも何も言わないのが、その不安にますます拍車を掛ける。


 さらにざわめきが大きくなったころ。ようやくクリムトの目が見えるようになった。

 そして勇者召喚の魔法陣を見て、周りの人たちと同じように声を上げてしまう。


「え……え? 勇者様……なのか? でも、あれじゃあ……」


 確かに、勇者召喚の魔法陣の中心には見知らぬ格好をした一人の姿があった。

 勇者とは思えないその小さな体躯。魔王との戦いで救世主になれるとは思えないその細腕。傷ひとつない綺麗な手は、もしかしたら剣も握ったことがないのではないだろうか。

 クリムトがそう思ってしまうのも当然だろう。

 何しろそこにいたのは、見た目からして幼い。あまりにも幼く見えてしまう女の子なのだから。


「どういうことなんだ? だってこれは、勇者召喚だよな? どこからか女の子が紛れ込んできたなんてこと……」


 混乱しそうな頭で必死にクリムトは考える。だが、それはあり得なかった。この魔法陣のある室内はおろか、外まで警備の者が大勢詰めているのだから。

 その警備の者に見咎められず、あのような幼い女の子がここに入り込めるわけがないのだ。


(先程の強烈な光とともにここに召喚された勇者様は、あの女の子に間違いない……?)


 そこまで考えてクリムトは思わず息を呑んでしまった。

 魔法陣の中央で、女の子が今にも泣いてしまいそうなほど目に涙をたたえているのだ。

 それを見た瞬間、クリムトは手に持っていた警備にと支給されている槍を投げ捨てていた。もどかしく思いながら、着ていた騎士の物と比べるとあまりにも粗末な鎧も脱いでいく。


「クリムト……?」


 隣で他の者たちと同じくぼう然としていたテレジアがクリムトの様子に気が付き、いぶかしげに声を上げる。

 クリムトはちらりとそちらを見て、もう一度魔法陣の上にいる女の子を見て、唇を噛みしめた。


「すみません、テレジア様。お叱りは後で受けます」


「ちょ、ちょっと、何をする気!?」


 呼び止める声が聞こえるがクリムトは止まらなかった。

 魔法陣を囲む騎士たちを掻き分け、召喚の魔法陣を起動させた魔法師たちの呼び止める声を無視し、リディア王女の横を通り抜け──


「やぁ、こんにちは」


「ひっ」


 今にも涙がこぼれそうな女の子へと声を掛ける。

 思わず悲鳴を上げかけて、慌てて両手で口を塞ぐ女の子。その身体は小刻みに震えていた。

 無理もない。

 この女の子にしてみれば、突然、ただ一人で、見知らぬ場所に召喚されてしまったのだ。

 周りを見れば石造りの大きな部屋。立っている地面には怪しい文様が描かれており、それが淡く光を発している。

 大勢の知らない大人たちが自分を見て、なにごとかを囁き合っていた。

 周りにいるのが、リディア王女のようにまだ年若い、しかも武器も携帯していない女性ばかりであればまだ違ったのかもしれない。

 だが現実は全身を金属の鎧で覆い、槍や剣といった鈍く冷徹な光を放つ凶器を持っている者が大半だ。

 幼い子ならば──いや、例え大人であっても恐怖を覚えないはずがなかった。


「僕の名前はクリムト。アスメンテ王国の兵士で、今は十七歳。これでも兄弟がたくさんいて、三男六女の長男なんだ。君の名前はなんて言うのかな?」


 できるだけ優しく怯えさせないように、クリムトはしゃがみ込んで目線の高さを合わせながら、女の子に話し掛ける。

 女の子は目をまたたき、心細げに辺りを見渡し、もう一度クリムトに視線を合わせた。


「あ、あいの、です。きりゅー、あいの。七さい」


 震える声で。涙を零さないようにと少し顔を上向かせながら。いびつながらも口角を上げて笑おうとしながら。

 女の子はクリムトに名乗り返す。


(ああ……この娘は、強い娘だ……)


 兄弟が多いからこそクリムトにはわかる。七歳の女の子であれば、こんな状況であれば泣かないわけがないのだから。

 それでもこのアイノと名乗った女の子は、気丈にも自己紹介しながら笑おうとしていた。

 それは防衛本能のなせる技だったのかもしれない。自分の身を守るために、周りにいる人たちの中から優しそうなクリムトを選び出し、媚びを売ろうとしただけかもしれない。

 でも、クリムトは思うのだ。


(この娘は、間違いなく勇者様だ)


 魔王を倒せる人を勇者と呼ぶわけじゃない。異世界から召喚されただけの人が勇者だと言うわけでもない。この娘のように、勇気を持つ人こそが勇者と呼ばれるのだから。


「ようこそ、勇者アイノ様。大丈夫です、僕たちはあなたの味方です、怖いことなんて何もありません」


 この日、世界に幼き勇者が降臨した。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「クリムトおにーちゃん、できたよ!」


「さすがアイノ様。もうこんなことまで、できるようになったんだな」


「えへへへ。これくらいアイノなら簡単だよ。だって、アイノは強いもん!」


 アイノが召喚されてから、あっという間に数ヶ月が経った。

 クリムトは最初にアイノに声を掛けたことで懐かれたからだろう。勇者アイノの世話役兼教師役として抜擢されていた。

 今は戦闘訓練の最中。幾人かの兵士を護衛として引き連れて、森の中で下級の魔物を狩っているところだった。


(本当なら、こんな幼い娘にこんなことをさせたくないんだけどな……)


 剣を持ち無邪気な笑顔を浮かべるアイノを見て、クリムトはそう心の中で苦々しく呟いた。

 今はまだ遊びたい盛りだろう。こんな命のやり取りなんてさせるべきではない。それがわかっていても、劣勢に立たされた人類に、喚び出された勇者を遊ばせておくだけの余裕はなかった。


 当初、王や大臣、高官たちはこの幼女である勇者に関して扱いが紛糾していた。

 さすがに年端もいかぬ子供に人類の命運を背負わせるべきではないという意見が主流だったが、それでも余裕のない人類はそんな子供にでさえ頼らなければならない状況だった。

 元の世界に送還し、新しい勇者を呼び出すべきだという意見も出た。しかし送還することはともかく、新しい勇者を呼び出すだけの魔力が確保できない。

 そして魔力を溜まるのを待っている間におそらく人類は滅びてしまう。


「ねぇクリムトおにーちゃん。次はなにをすればいいの?」


「今日はここまでにしようか? リディア王女やテレジア様が、アイノ様のためにお菓子を用意してくれているはずだからね」


「はぁい、わかりましたー!」


 元気よく返事をし、アイノはいまだ慣れぬ手つきで抜き身の剣を鞘へ戻す。

 安全確認するようにしっかり剣が収まっているのを見て、ようやくホッと息をつき、クリムトの腕に抱きついた。


「クリムトおにーちゃん、おかし楽しみだね! 今日はどんなおかしなのかな?」


「うーん、どんなのだろうね。王女様が用意してくれるものだし、きっとすごい物じゃないかな」


「えへへ、この世界のおかし、アイノがいた世界と同じくらいおいしいから大好きだよ」


 年相応な喜び方をするアイノにクリムトの頬も緩んでいた。自分の妹にするように頭を撫でれば、アイノも嬉しそうにはにかむ。


(こんな娘を戦場に送るなんて……嫌だな。でも、そろそろ前線も支えられなくなるって、テレジア様が言っていた……)


 本来、数ヶ月も訓練に費やすことなどできなかったのだ。

 そこを無理して……剣聖や賢者と呼ばれる人類の最高戦力を惜しげもなく投入することで、これだけの時間を稼ぐことができていた。

 だが、それももう無理が来ている。


「クリムト、大変だ!! 急いで城に戻ってくれ!!」


 クリムトの同僚の兵士が血相を変えて駆け寄ってきた。周りにいた護衛の兵士たちが一斉にざわめき始める。


「わかった、急いで戻る……けど、なにかあったのか?」


「あ、ああ、大変だ。つい先程前線の砦から剣聖様のお弟子や、賢者様の孫娘で構成された遊撃部隊が伝令として来たんだ。もうすでに満身創痍な状況で……前線砦が、落とされたと……」


「なっ……!?」


 絶句するクリムト。

 すでに前線を支えるのにも無理が出始めていて、時間の問題だとは思っていた。だが、これほど早く砦が落とされるとも思っていなかった。

 それもそうだろう。砦が落とされてしまえば、魔王は無人の野を行くかのごとく人類の生活圏を切り取って行くことになる。それゆえに、そこは絶対死守の場所だったのだ。

 そこが落とされた。

 遊撃部隊の人たちは決死の思いで脱出し、勇者の出陣をうながしにここまで来たのだろうとクリムトは推測する。


「おにーちゃん、なにかあったの……?」


「……大丈夫だよ、アイノ様。とりあえずお城に戻ろう。王女様たちが待っているから」


「うん……」


 周りの大人たちの不安がアイノにも伝わったのか、クリムトの腕を抱く力が強くなる。

 クリムトは努めて笑顔を浮かべながら、アイノを安心させるようにそっとその頭を撫でた。


 だがその三日後。

 勇者アイノは、前線から脱出して砦が落とされたという報をもたらした人類最後の精鋭たちとともに出陣することになる。


 ただの兵士でしかないクリムトも、その部隊の一員として死地へと旅立つことになった。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 戦いは熾烈を極めた。まだ戦闘に慣れていない勇者ではその力を万全に発揮することができず、精鋭たちも多く倒れていくこととなった。


 剣聖の弟子が魔獣の爪で切り刻まれた。

 賢者の孫娘がアイノをかばってドラゴンの毒のブレスで倒れ、戦線を離脱して後方に送られることになった。

 数え切れないほどの兵士が道半ばで朽ちていった。

 多くの騎士たちが、魔王への道を切り開くために魔獣の群れへと突撃していった。


 気が付けば勇者が召喚されてから2年もの年月が経っていた。

 七歳だったアイノは九歳となり──前線を押し返しながら、徐々にではあるが人類の生活圏を取り戻しつつあった。

 それでもまだ、その幼い身体は魔王を相対するのにあまりにも頼りない。


 クリムトも今ではただの兵士などではなく、勇者直属の近衛兵隊の隊長にまで出世していた。

 陰に日向にとアイノを支え、そして今、最後の決戦に打って出ようとしている。


「クリムトおにーちゃん……アイノ、頑張るからね。だから応援しててね?」


「もちろんだよ、アイノ。僕は君の味方なんだから。それに僕たちが必ず、君を傷ひとつない状態で魔王のところまで送り届けるよ」


「……おにーちゃん、死んじゃ嫌だよ……?」


「もちろん、僕だって死ぬつもりはないよ。必ず二人で一緒に帰ろう」


「うんっ! 絶対だよ、おにーちゃん。ゆびきりしてっ」




 アイノと魔王の戦いは三日三晩続いた。

 それは常人には割って入ることすらできないほど激しいもので、クリムトは手を出すこともできず、ただただ見つめることしかできなかった。


 天が裂けた。

 地が割れてマグマが噴き出し、辺りを灼熱の地獄に変えていく。

 突風が建物から何もかもを吹き飛ばしてしまった。この戦いで倒れた何人もの騎士や兵士が崖から落ちて、遺品さえもが持ち帰れなくなってしまった。


 それでも勇者と魔王の戦いは終わらない。


「諦めろ勇者よ、貴様では我には勝てぬ!」


「……っ、そんなこと、ないもん! 絶対に、おにーちゃんと一緒に、帰るんだから!」


 力は拮抗していた。それゆえに、まだ幼いアイノの体力では魔王には勝てない。

 すでに勇者を守る近衛兵隊は数えるほどしか残っていなかった。


「おねがい、聖剣……おにーちゃんと帰るために、力をかして……っ」


 アイノは純粋な気持ちで祈った。

 自分が犠牲なれば、相打ちで魔王を倒せるかもしれない。だがそれではクリムトとの約束を破ることになってしまう。

 だからといってこのまま戦っても結果は同じ。いや、もっと悪くなるだろう。


 それゆえにアイノは祈る。

 自分をこの世界へと導いた何かに。自分の大切な物を守るために。


 はたして、その願いは叶えられた。

 アイノの持つ聖剣はまばゆいばかりに光を放ち、矢のように一直線に魔王へと突き進む。


「なっ──馬鹿なっ、なぜこのタイミングで女神が干渉を……ぐぁああぁあぁぁぁぁっ!!」


 魔王の胸を聖剣が刺し貫いた。

 途端、光は弾け、その残滓がまるで繭のように魔王の身体を覆い始める。


「くっ、ぬかったわぁぁっ! だが覚えていろ、我はまだ死なぬ。女神の力で封印されようとも、必ず復活をはたし、貴様らを滅ぼしてくれるわっ! これで勝ったと思うなぁぁぁぁっ!!」


 光に包まれた魔王が、ゆっくりと霞むように消えていく。

 もう1度、強烈な光が弾けた。


「ひゃぁっ!? ど、どう……なったの……?」


 光に眩み、アイノはとっさに目を瞑ってしまう。

 そしてその目を開けたときには、すでに目の前に魔王その姿は見当たらなかった。

 ただそこにあるのは激しい戦いの跡ばかり。


「終わった……の……?」


 三日三晩戦ったことのツケがここにいたって現れた。

 気が抜けてしまったアイノは膝から崩れ落ち、そのまま倒れて気を失ってしまう。


「アイノ……大丈夫か……?」


 全身傷だらけのクリムトが這うようにしてアイノへ近づく。

 あまりの疲労と怪我の痛みで立ち上がることもできない。それでも倒れたアイノの元まで行くと、そっとその身体を抱きしめた。


「お疲れさま、アイノ……勇者様。一緒に帰ろう……」


 幼い身体に人類すべての希望を背負わされたアイノは、とても魔王を倒せるとは思えないほどに華奢だった。

 それでも。魔王は倒すことはできなかったが、封印をすることができた。

 まだ人類は救われたわけではない。でも、時間が与えられたことだけは確かだった。

 今はただあどけない顔で眠る勇者を、クリムトはいたわるように抱きしめ続ける。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 魔王が封印され、一ヶ月が瞬く間に経った。

 一時的にせよ脅威が取り除かれたことで急速に人類は復興し始める。

 そしてその日。アスメンテ王国では勇者の送還の儀式が執り行われようとしていた。


「おにーちゃん、アイノ……」


「うん……大丈夫、ちゃんとアイノは元の世界に帰れるから」


「でも、それじゃあ、おにーちゃんとはなればなれになっちゃうよ……」


 腰に抱きついてくる背の低いアイノの頭を、クリムトはそっと撫でた。

 魔王は倒されたわけではなく、ただ封印されただけ。それでも人類は貴重な時間を稼ぐことができた。

 封印が解けるのは十年後か、それとも二十年後か。

 これだけあれば人類は魔王に対するだけの戦力を整えられるはず。しかしそれほどの長い時間、幼い勇者をこの世界に縛りつけておくわけにはいかなかった。

 何しろまだ十にも満たない年齢であり、親元から離すことすらためらわれるのだから。

 それに勇者送還の儀式を行えば、アイノは元の世界に記憶を保持したまま召喚されたときの年齢で帰ることができる。だが記憶を持ったまま身体が若返るというのは、諸刃の剣だった。

 この世界に永住するのならば問題はない。だが元の世界に帰るとなると、精神と肉体の調和が乱れてしまい、まともな生活は送れなくなってしまうだろう。


 だから人類は、魔王を封印した勇者アイノを元の世界に帰すことにしたのだ。


「元の世界には、アイノの父親や母親がいるんだろ?」


「うん……」


「それに、もう少しで弟か妹かわからないけど産まれて、アイノはお姉ちゃんになるって嬉しそうに話してくれたじゃないか」


「うん……」


「なら、アイノは元の世界に帰らないといけない。だって、両親や弟妹と会いたいもんな」


「会いたいよ……会いたいけど、でも、アイノ……おにーちゃんともいっしょにいたいの!」


 クリムトの胸に顔を押しつけた。涙が次から次へとあふれ、クリムトの服を濡らしていく。

 こちらの世界で過ごした二年間は、アイノにとって長すぎた。すでにこの世界には大勢の知り合いがいるのだ。


 寂しいとき、心細いとき、里心がついて泣いていたとき、いつも一緒にいてくれたクリムト。


 剣の持ち方や戦い方を教えてくれて、気さくに一緒に寝てくれたお姉さんのテレジア。


 魔法の師であり、いつも気に掛けてくれていた優しいお姫様のリディア。


 ドラゴンの毒のブレスから身を呈してアイノをかばってくれた、お友達の賢者の孫娘であるカタリナ。


 勇者であるとか関係なく、一緒に遊んでくれたクリムトの弟妹たち。


 魔王との戦いで一緒に戦場を駆け抜けた、勇者直属の近衛兵隊のみんな。


 アイノを守るため。そして魔王を倒すために犠牲になった多くの人たち。


 すでにもう会えない人も多いが、この多くの人たちと別れなければならないという事実に、アイノは涙を止められない。


「アイノ、そろそろ時間です。魔法陣の中央へ……」


「リディア姫さまぁ……」


「泣くんじゃありません、アイノ。私はあなたがそんなに弱い人間じゃないことを知っていますよ」


「テレジアおねーちゃん……」


「アイノ、あちらに戻っても元気でね」


「カタリナちゃん……」


 みんながみんな、アイノとの別れを悲しんでいた。

 それでもここにいる全員は──アイノ以外は大人だ。そして、長い魔王との戦いでそれぞれに親しい人たちを失って来た。

 それ故に泣くこともなく、感情を押し殺しながら、最期の瞬間を笑顔で送り出そうとしている。


「さ、アイノ……これでお別れだよ」


 背中を押してアイノを魔法陣の中央に立たせる。

 アイノは離れたくないとばかりに、クリムトの服を強く、ぎゅっと掴んだ。

 クリムトは困ったような表情を浮かべ……しかたないとばかりにその頭を優しく撫でる。


「姫様、このままでも送還の儀式は行えるのでしょうか?」


「ええ、大丈夫です。……そうですね、あなたはお別れの最後の瞬間まで、アイノと一緒にいてくださいませ」


「ありがとうございます」


 送還の魔法陣は、この世界の人間に対しては何の効果ももたらさない。

 それを聞いて、クリムトはしゃがみ込んでアイノと視線を合わせた。


「初めて会ったときもこうだったな。君は泣きそうな顔をして……でも、泣かなくて。僕のことをそうやって見返していた」


 もう二年も前の話だが、そのときのことは今でも鮮明に思い出すことができる。


「この二年間、辛いことも悲しいことも多かったけど、アイノと一緒に過ごした日々はとても楽しかった。今までありがとう」


「クリムトおにーちゃん……っ」


 ぎゅっと、クリムトの服を掴む手にさらに力が込められる。アイノは離れたくないと。いやいやをするように首を横にふる。


「では、始めます。カタリナ、魔力注入してください」


「はい、姫様。……アイノ、これでお別れ」


 賢者の孫であるカタリナと、稀代の魔女と呼ばれるリディア。二人の魔力が送還のための魔法陣へと一気に流れ込み始めた。

 魔力に反応して、その魔法陣の形にそって光が立ち上がる。


「おにーちゃんっ、約束っ、約束して!」


「ああ……なんだい、アイノ」


「もしまた会えたら……あいのを、お嫁さんにしてくださいっ! おにーちゃん、大好き! だからっ、だからっ!」


「……っ。わかった、約束しよう。指切り……だったっけ? アイノの故郷の約束の儀式だ」


 クリムトは自分の小指をそっと差し出し、アイノの指と絡め合う。

 この二年の間に何度もした約束の儀式だ。すでにそのときの文言も暗記している。


「ゆびきりげんまん、嘘ついたら針せんぼん、のーます」


 アイノはその大きな瞳いっぱいに涙を溜めて、必死に嗚咽をこぼすのを堪えていた。

 だからクリムトがその言葉を口にする。


「アイノ……また会えたなら、僕のお嫁さんになって欲しい。だから──」



 ゆびきった。



 その言葉が音となって発せられる寸前、アイノは飛びつくようにしてクリムトに唇を押しつけていた。

 幼い女の子の、心ばかりの口づけ。

 ただ触れ合うだけのそれは、勢い余って歯がかちりとぶつかってしまう。


 唇が離れるその瞬間。召喚したときと同じく光が弾け……クリムトに触れていたアイノの温もりが、まるで幻であったかのように消えていた。

 光が薄まると、魔法陣の中央にはクリムト以外の姿はどこにもなかった。


「クリムト、良かったのか、あんな約束をして」


「テレジア様……アイノの、最後のお願いでしたから」


「……勇者召喚の儀式で呼び出せる勇者は、二度同じ人が選ばれることはありません。つまり異世界人たるアイノにはもう会えないのですよ?」


「わかっています、リディア様……」


 同じ人を喚び出すことはできない。これは勇者召喚における絶対に法則だ。

 クリムトは絶対に果たされることのない約束をしたことになる。


 それでもクリムトには悔いはなかった。

 なにしろ身ひとつで異世界へ帰るアイノに残せるものは、そんな約束しかなかったから。


 蛍火のような光の残滓がただよう中、クリムトは愛らしい幼い勇者のことをいつまでも考え続けていた。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 勇者アイノが去ってから八年。まだ保つと思われていた封印が突如として解けてしまい、魔王の進攻が再開される。

 決して長くはなくとも短くもなかった時間を与えられた人類は、総力を決して魔王へと挑む。

 だが準備不足なのは否めなかった。

 二年の戦乱を経て次第に戦線は押し込まれ、劣勢に立たされていく人類。それでもよく戦ったといえよう。

 しかし、もう後がなかった。


 だからこそ、もう一度勇者を。勇者を召喚して、今度こそ魔王を倒してもらおうという機運が高まるのを止めることはできなかった。


「クリムトさん、とうとうですね」


「そうだね、カタリナ。彼女が魔王を封印して今年で十年。また勇者様に頼らないといけないとは……情けない限りだよ」


「それを言うのなら私も同じです。今代の賢者として、前線に立たせてもらえずにずっと後方にいる……」


 いまだ近衛兵隊で隊長を務めるクリムトと、賢者となり人類世界で一番の魔法師となったカタリナが、そろって召喚の間へと向かっていた。

 あれから十年。クリムトは二十九歳に、そろそろ三十代に手が届こうという年齢になっていた。

 カタリナも十年前はまだ幼さを残す子供だったのが、今では二十二歳の妙齢の美女だ。


「カタリナはまだ結婚もしていないじゃないか。国の人たちは、賢者に子孫を残すことを期待しているんだと思うよ」


「そう言われましても……私、これでも十年間誰かさんに失恋し続けているわけですし」


「はははは……」


 流し目を向けてくるカタリナの言葉を、クリムトは乾いた笑いで誤魔化した。

 そんな反応にも慣れたものなのか、カタリナは軽く溜息をつきつつ、肘でクリムトを小突く。


「いつまで十年前の約束にこだわっているんですか? クリムトさんこそ、もういい歳じゃないですか。弟妹のみなさんもほとんどが結婚して、もう子供もいるんでしょう?」


「そうなんだけどね……」


 でもあのときアイノとした約束は、クリムトにとっても大事なものだった。

 だからもう会うことはないとわかっていても、誰とも結婚せずにここまで来てしまった。

 そして、いまさらそれを改めるという気にもなれない。


「あら、クリムトにカタリナ。相変わらず二人は仲良しなのね」


 二人が召喚の間の出入り口までたどり着くと、そこにいはリディア王女がいた。

 リディアもまた、二十七歳になるのにまだ独身を貫いている。


「二人して、いつになったら結婚するのかって話をしていました。姫様はされないんですか?」


「わたくしは魔王が倒されて世界が平和になるまでは……と決めておりますから」


「結局、誰も結婚する気はないというわけですね。私としましては、相手が了承してくれればすぐにでもしたいんですけど」


 カタリナはそうは言うが、今までクリムトに対して積極的に迫ったことは一度もなかった。

 その気になれば強引にでも既成事実を作ることもできるのに。

 なんだかんだ言っても、カタリナも友人だったアイノに義理立てをしているのだ。


 そんな独身三人組がにこやかに話している合間にも、ぞくぞくと勇者召喚に関わる人たちが集まってくる。


「……さて、それでは人類の未来を託す、勇者様を喚ぶ儀式を始めましょう」


 いつか見たときのように。クリムトの前で、粛々と勇者召喚の儀式が始められた。


 あのときと違うのは配置変換があって、前線におもむいているテレジアがこの場にいないこと。

 かわりにカタリナがいて、リディアとともに召喚のための魔力を注ぎ込みながら、何人もの高位の魔法師たちとともに呪文を唱えていること。


「今度はどんな勇者様が来るんだろうか……」


 アイノが帰ってしまってから十年。

 召喚した日にまでさかのぼれば、すでに十二年もの年月が経ってしまっている。

 だが、クリムトにはあの日のことをすぐに思い出すことができた。


 淡く光り始める魔法陣。

 蛍火のような光が辺りを舞い踊り、酷く幻想的な光景にクリムトはアイノの顔を思い浮かべる。


 そんな幻想的な光景に、あの日のようにリディアが前に進み出た。


「おいでませ、勇者様。どうか窮地に陥ったわたくしたちをお救いください……」


 リディアは豪奢な杖を傾げ、勇者召喚の為の最後の祝詞を口にする。

 そして、光が弾けた。


「……っ!!」


 今回はあらかじめ手をかざしていたため、目が眩むことはない。

 だがその分、魔法陣のあった中央で、前回は感じることのできなかった強大な魔力が渦巻き始めたのを、クリムトはありありと感じていた。


 勇者が召喚される前触れ。

 前回は、この光りが収まったときにはすでに勇者が魔法陣の中央に立っていた。

 はたして今度の召喚ではどのような勇者が召喚されるのか……。

 光が収まるのを待ち、クリムトが、リディアが、カタリナが、その場所を注視する。そして絶句してしまった。


「そんなっ、まただ……なんて……」


「子供、だと……?」


「おい、どうするんだ? 前回の勇者が子供だったから封印するだけで終わったって……」


 ざわりと周囲が騒がしくなり始めた。落胆の声が広まっていく。そして……。


「馬鹿な……嘘、だろ……?」


 クリムトからは、驚愕の声が漏れ出した。


「クリムトさん……?」


 カタリナが、そんなクリムトの様子に気が付いて首をかしげる。

 だがクリムトはそんな声は耳に届かないかのように、じっと召喚された勇者を見つめていた。


 あまりにも似ている。でも、違う。同じ人は召喚されることはない。

 そのことから、一つ予感めいたものを感じ、クリムトはあの日のように召喚の魔法陣の中央へと進み出ていた。


 勇者──まだ年端もいかない女の子が、近づいて来たクリムトに気が付いて、怯えたように後ずさる。


「こんにちは、僕の名前はクリムト。アスメンテ王国の兵士で、今は二十九歳なんだけど……君の名前を聞いても良いかな?」


 しゃがみ込み、女の子と目線を合わせながら優しく語りかける。


「えっ……クリムトっていうの? えっ、おねーちゃんのお話でよく聞く、あのクリムトおにーちゃ──おじさん?」


 ぽつりと呟かれた言葉。だがその内容に、クリムトの中に痺れにも似た感覚が走り抜ける。

 クリムトの名前を聞いたからか、少女の中から怯えに似た感情はなくなっていた。興味深そうに目の前のクリムトを見つめ、にんまりと笑みを浮かべる。


「私、桐生(きりゅう)恋來(ここ)。もう少しで十歳だよ!」


「ああ……そうか、やっぱりそうなのか。どおりで似ていると思った」


 キリュウ。それは、アイノの家名だ。

 あのときのアイノよりも二歳ほど上だからか、その受け答えは堂々としたものだ。

 だがその瞳の奥に見える強さは、アイノに通じるものがあった。


「君は、アイノ・キリュウの妹さん……かな?」


「うんっ。ここって異世界だよね? 私、おねーちゃんみたいに勇者として召喚されちゃったの!?」


 ここにいたって、周りの人たちも気が付いたようだ。今回召喚された新しい勇者は、前回の勇者の妹であることに。


 クリムトは思う。こんな形で、アイノは約束を果たしにきたのだと。

 さすがにこの娘と結婚というのはありえないが、それでも、命を賭けてでも守り通そうと強く強く思う。


 だがそんな全員の思考を停止させるかのような閃光か、突然召喚の間に満ちた。


「うぉっ!?」


「きゃぁっ!」


 不意打ちのようなその発光に、その場にいる全員が目を眩ませてしまった。

 うずくまる人たち。魔法陣からは、新たな魔力の産まれる気配。


「な、何が起きて──」


「これでどう!? 上手くトレースできたと思うんだけど……恋來、いる? 返事してーっ」


 光の中から突然、十代も後半に差し掛かったくらいの女性が飛び出してきた。まだ光の本流が収まらない中で、少し焦ったように声を上げる。


「あっ、おねーちゃんだ! ここっ、ここにいるよー!」


「良かったぁ! ってことは、ここはあの──お兄、ちゃん!?」


「なっ……え?」


 はたと、クリムトと光から飛び出してきた女性の目が合った。

 みるみるうちに女性の瞳に涙が浮かび始める。


 その女性には、召喚されたばかりの勇者である恋來ととても似た容貌だった。

 いや、恋來というよりもむしろ──


「まさか、アイノ……か? いや、でも、十年前に元の世界に帰って……」


 まさしく十年前に送還されたアイノの面影を、強く残した女性だった。

 そしてクリムトにアイノと呼ばれた女性は、満面の笑みを浮かべながらその胸へと飛び込む。


「帰ってきたよ、お兄ちゃん! だからっ、だから、約束守ってくれるよね!?」


「ちょ、ちょっと待って、あなた……アイノなの!? でも、勇者召喚で同じ人は二度と呼ばれないんじゃ……」


「その声、もしかしてカタリナちゃん!? うわっ、すっごい、大人っぽくなってる! 十年ぶりなんだから当たり前だけど、時間の流れを感じちゃうな~」


 クリムトの胸から顔を上げると、今度はカタリナを見て目を輝かせた。

 辺りを見渡して見知った顔を見かけるたびに、嬉しそうな、はしゃいだ声をあげる。


 勇者召喚を行っていた人たちは、誰一人として事態を把握できていなかった。

 ただぼう然と、その女性──アイノを見つめている。

 そんなみんなを見て、アイノは悪戯っ子のような表情を浮かべ、もう一度クリムトへと抱きついた。


「わたしね、魔王を倒さずに帰ったから……なのかな。元の世界に戻っても、ここで手に入れた力を失っていなかったの。それでずっと異世界転移のための魔法を作っていて……でも完成しても、この世界の座標がわからなくて困っていたんだけど、妹の恋來の足下にいつか見た魔法陣が急に現れたんだもん。もう、これだ! って思って、その魔法陣の魔力を追ってここまで転移して──」


「待った! そんなに一気に言われてもわからないから! というか、本当にアイノ……なんだよな?」


「もちろん。クリムトお兄ちゃんと結婚の約束したアイノだよっ」


 そう言って満面の笑みを浮かべるアイノ。

 その天真爛漫な笑顔は確かにクリムトの記憶にあるものと同じで、その顔を眺めているうちに次第に事態が飲み込めてきた。

 同時にこの上なく嬉しい感情が込み上げてくる。


「今回は十年前よりも強くなったわたしが、あんな魔王なんてすぐにでも倒して世界を平和にするからね。それにわたしたちの両親……一年前に事故で亡くなっちゃって、今回は元の世界に帰る必要がないんだ……。だからね、お兄ちゃん……あの日の約束通り、アイノをお嫁にもらってくださいっ」





 この年、人類と長い間争い続けていた魔王が倒された。

 そして幼き勇者の物語は幕を閉じる。


お読みくださりありがとうございました。


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