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たんぽぽ  作者: しゃわ
7/11

7、成長

 「あたし、次の電車で帰っちゃお!!」

ゆいは明るい笑顔を添えながら言った。

自分はすごく嬉しかった。

少しだけ、ゆいの両親に怒られるんじゃないかと考えたけど、そんなことどうでもよかった。

友達にゆいの事を聞くと、ゆいは学校では物静かな存在らしい。

授業で意見を言うために手を挙げたりしないし、女友達と昼休みにガールズトークで盛り上がってるような、ごくごく普通な女子だと言っていた。そんなゆいが今、僕の目の前で学校では見せないような笑顔を見せている。

乗るはずの電車に乗らず、僕と話している。

この時に僕はゆいを手放したくないって思ったんだ。

どんな困難がふりかかっても、この先何があったとしても、僕が身代わりとなってゆいを守る。

そう決めたんだ。


 ある話の途中でゆいが言う。

「電車に乗らなかった時驚いてたでしょ?あのマヌケな顔思い出すと笑える〜!」またゆいに驚かされてた。

僕はゆいに驚かされっぱなしだ。

でも不思議に悔しくなかった。

ゆいに対する愛情が込み上げてきた。


ゆいを抱き締めた。

強く強く。

僕はなぜか泣いていた。

こんなにも人を愛したのは初めてだったから、うれし泣きだったのだろうか…?


ゆいは驚いていた。

「自分だって驚いてんじゃんかよ。」

そう言ってゆいに初めてのキスをした。

正直言うと初めての事だったから、感触とか味とかそんなものは覚えてない。

でもあの時になぜあんな勇気が出たかは、今も分からない。

今になっても分かる事は、“ゆいが好き”なんじゃなくて、“ゆいを愛してる”ということ。

あの日から僕らはずっとずっと強くなれたんだ。

毎日のメールは当たり前、休み時間毎にごっそりトイレに行って、たった5分間の電話もした。

放課後はいつものように一緒に帰ってくだらない話をして、最後にキスをして帰る。僕らの愛は深く深くなっていったんだ。


 1年が経った。

僕らはもう2年生だ。

修学旅行とか学校宿泊会とか楽しみな行事がいっぱいだった。

ゆいと一緒に修学旅行の実行委員になれれば楽しいだろうなぁとかそんな事ばかりを考えていた。


 帰りに修学旅行の実行委員の事を話した。

「なぁ、一緒に実行委員になろう!俺らが一緒の班になるように、こっそりズルしちゃおうな!」

なぜかゆいは重い表情をしていた。いつものゆいの明るいテンションじゃなかった。

修学旅行の話になってから、急にテンションが下がっている。

ゆいは重い口を開いて、

「あたし、修学旅行行けないの…。」

僕には何がなんだか分からなかった。

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