表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
たんぽぽ  作者: しゃわ
6/11

6、帰り道

 学校に行くのが楽しい。

登校するのはもちろん嫌なんだけど、放課後にゆいと帰ると学校も楽しいなぁって思うようになるんだ。

人を好きになると見る世界が変わるって言うけど、全くその通り。

テストとかマラソン大会とか普段だったら最悪な学校行事も、ゆいと一緒だと楽しく思える。

あの日から1ヶ月が経って、僕がゆいを思う気持ちは、2倍3倍…と増えていった。


 ゆいは電車で通学していたから、僕は毎日駅までゆいを送っていた。

今日もいつものように、ゆいが乗る18:52発の電車が来るまで、駅の待合室でゆいと話していた。

ちょうど春休み前だったから、春休みどうしよっか?っていう話で盛り上がっていた。

今日は偶然なコトにほとんどの他校がテスト期間中で、駅がガラガラだった。

待合室でゆいと2人きり。今日は最高に運が良かった。


 18:46。ゆいが乗る電車が来た。

ゆいが言う。

「いつもいつもありがとね。明日もいろんな話聞かせてよ〜!春休み楽しみにしてるからね。」

「今日みたいにくだらない話ならなんぼでもしてやるよ〜。気をつけて帰ってな!」

「気をつけてって言われても電車乗るだけだから!」

「点字ブロックでこけるかもしんないだろ〜!ありえないけど。」

「ありえないから〜〜!」

こう言ってゆいは笑った。いつもこんなように、たわいもない話をしていた。

でも、この話をするためにゆいを見送りに来たんだ。

ゆいといつでも話がしたいから。

例えば、ゆいが夜の2時とか3時に電話を掛けてきたとしても、僕は眠そうな声とかをせず、どんな話をすればゆいが笑うかを考えて、元気にゆいと話をするだろう。

それくらいホントはもっと話していたかった。

けど、この電車を逃すと次は20:24になってしまう。住んでいる所が田舎だから電車の本数が少なかった。だから、仕方なく見送るしかなかった。

「次の電車で帰れよ。もっと話していたいんだ!」

って言いたかった。

こんなコトを言ったら、ゆいに嫌われそうで、いまだにチキンな僕は言えなかった。

ゆいが電車に乗ったのを確認して、僕はしぶしぶ帰る。

ゆいに手を振ろうとして振り向いてみると、そこには出発した電車と、その電車に乗るはずのゆいが、僕を見て立っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ