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進化し人類の名はヴァンパイア  作者: 夏月コウ
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第五話 戦果報告と昇進

 暦・新暦二千三十七年 

 月日・四月二十五日 

 曜日・土曜日 

 現在地・ディアスパーティー第七区分

 現在時刻・十時三十分


 俺と佳純は現在ディアスパーティー第七区分にある役所に来ていた。今日ここに訪れたのは昨晩の戦果報告書の提出の為だ。



 ハンターは狩ったアンデッド一体×一万マルク(一マルク=大和円で一、五五円である)の賞金を取得する事ができる。秀一達が昨夜狩ったアンデッドの個体数は約六十体ほど屠っている。


 それだと六十万マルクの賞金が得られる。因みにアンデッド一体一万マルクと言ったが、あくまでもこれは通常アンデッドつまり人間がヴァンパイアウィルスに感染し変異した存在に対しての相場であり。


 そして、秀一は昨夜の戦闘でウルフ型アンデッドを狩っている。そして、ウルフ型アンデッドは凶暴かつ狩ることが大変困難な為その相場も上がる。


 その相場は人間のアンデッド一万マルクに対してウルフ型アンデッドは最低で一万五千マルクから最高で二万五千マルクの価値がある。ウルフ型アンデッドの相場付けだが個体の大きさなどを参照して相場が決まる。そして、秀一が狩ったウルフ型アンデッドは中規模のものだった為相場の間を取って二万マルク程度になる。


 つまり、今回彼らが取得できる。金額は(人間のアンデッド一体一万マルク×五十八体=五十八万マルク)+(ウルフ型アンデッド一体二万マルク×二体=四万マルク)=六十二万マルク(大和円で約九十六万円)となる。


 つまり、彼らは一夜で百万円近くの賞金を取得できるわけだ。余談だが、ディアスパーティーの平均月収が十三万マルク~十五万マルク程度な為、単純に平均月収の四倍の賞金が一夜で手に入る。(そこから、取得税が引かれる)


 これだけを聞いていればハンター業はぼろ儲けに思える。だが、()()()()()()()が一夜で六十万マルクの金を取得出来るわけではない。


 それはハンターそれぞれの熟練度にも関係してくる。駆け出しのハンターが一夜で稼げる賞金は平均的に二十万マルク程度だ。


 まあ、それだけでも一般職の市民から見たら十分に貰っているのだが、問題は()()()()()()()()()()()()()()()()()と言う事だ。何故なら、ハンターには武器が必要だからだ。


 例えば秀一が愛用している【WAKユニバーアームズ・カンパニーズ社製アサルトライフル・WAKコルディスアサルト】一丁約八万マルクくらいする。


 しかもそれ用の銃弾だが、五十発入り一箱一万マルクもするのだ。さらにサブウェポンなどを含めると優に二十万マルクは超えてしまうのだ。



 役所の入り口にある整理券発行機の受付番号の用紙を取ると役所の長椅子に二人隣り合って着席した。


 役所事態は十時からやっているのだが、中には十人程度の人が順番を待っていた。


 平日は十時から五時までやっているが土日は十時から十二時までしかやっていない。さらに役所の勤めている人の人数も少ない。そして、土日に役所の来る人々は主にハンターが多い。


 これは、ハンター業をしている人の中には別に本職を持っている人が多いからだ。


 金曜日の仕事終わりにちょっと小遣い稼ぎにハンター業をする、何て人間もいる。(小遣い稼ぎにしては些か危険な気がするが……)俺と佳純も昨日は学校に行ってからのハンター業である。


 多くは小遣い稼ぎにアンデッドを狩って次の日に換金。そのまま遊びに行く何て人もいる。


 だからこそ、そんな人の為に? 役所は開いているのだ。因みに俺たちは毎週金曜日にハンター業をして土曜日に換金し、遊んだり武器を見に行ったりしている。(まあ、大体は佳純の買い物の手伝いをさせられるのだが……)


 整理券の順番が来るのに五分程度の時間を要し自分たちの番が回ってきた。機械的音声が整理券の番号を読み上げる。


 『十三番でお待ちのお客様。二番の窓口にお越しください』


 俺たちは長椅子から腰を上げると、指定された窓口に向かう。そこには若い女性スタッフがいた。俺はその人に要件を伝える。


 「昨晩に行ったアンデッド討伐についての報告をしに来ました」


 「わかりました。報告書の提出をお願いします」


 「わかりました。………お願いします」


 持参した肩掛けの鞄からA4紙の報告書が入っ茶封筒を女性スタッフに差し出す。すると、女性スタッフはそれを受け取り次のように続ける。


 「ありがとうございます。では、中身の確認と報奨金のご用意しますので、数分お待ちください」


 俺と佳純は先ほどまで腰掛けていた長椅子に向かう。が、その行く手を阻む者が現れる。それは、五人組の先輩ハンター達であった。そして、彼らのリーダーと思しき人物が皮肉交じりの一言をかけてきた。


 「昨晩は大層なご活躍だったそうだが、実際どうだったんだ? ()()()()さんたち?」


 「………ヴァッツ中尉」


 彼らはディアスパーティーが誇る()()()()()()()()―――【silberKugel】だ。


 ヴァッツ・シュルツ中尉を含めて四人の男性ハンターと女性ハンター一人、計五人で結成されてた彼らのパーティーはディアスパーティー内では有名なハンターチームだ。


 「そうそう、昨日は俺達もアンデットを六十体狩ったがお前達の姿なんて見なかったぜ。どうせ怖じ気づいて逃げてたっだけなんだろ?」


 「………はあ。それで、要件はそれだけですか? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それはよかった・・・・・・。」


 「チッ…! てめえ……!?」


 その一言が気に障ったのかヴァッツ中尉のこめかみが動いき、怒りの表情を浮かべる。そして、彼の仲間達も秀一らを睨む。すると、秀一らを呼ぶ機械的音声が流れる。


 「お話しできて光栄でした。まあ、これからもお互い頑張りましょうね。中尉殿それでは失礼します」


 「……FuckinSucker」


 ヴァッツ中尉の差別用語を受け流した俺達はその場を後にし受付に向う。そして女性スタッフが自分達を確認すると次のように伝えてきた。


 「今回、お二人が狩られたアンデット数は人型五十八体とウルフ型二体になります。賞金は六十二マルクとなります。賞金は現金にしますか? キャッシュにしますか?」


 「現金でお願いします」


 「分かりました。………こちら、賞金となります」


 女性スタッフはディアスパーティーの紋章が描かれた白色の封筒二つを提示する。恐らく一袋に一万マルク札が数十万づつ封入されているのだろう。


 その二つの封筒を鞄にしまう。女性スタッフはそれを確認したところで、次の用意に口を開く。


 「天城秀一少尉様。現在のアンデット討伐スコアは百八十体です。残り七十体で昇進となります」


 「はい。了解です」


 「そして、鍵咲佳純上級曹長(准尉)様のアンデット討伐スコアは、今回の討伐で百五十体に達しました。そのため少尉に昇進となります」



 ハンターランクは軍隊の階級表と同じ物を使用している。このランクはディアスパーティーが保有する常備軍でも通用する。しかし、あくまでも()()()()()()()()()()()でだけ通用するだけで、国連軍では通用しない。


 そして、昇進する為には()()()()()()()()()()()()()()()、である。


 因みに一つ階級を上げるのに必要な討伐数は、二等兵から軍曹までで五十体。一階級、十体計算である。そして、軍曹から少尉までに昇進するのには百体討伐すればよい。曹長で五十体。上級曹長でも五十体。合せて百体となる。つまり、士官クラスまで上がるのに百五十体討伐しなければならないのだ。


 また、尉官クラスからは一階級上げるのに必要な討伐スコアは百体となる。そして、佐官クラスからははその十倍、一千体だ。佐官クラスのハンターはディアスパーティーで数十名程度しかいない。因みに秀一と佳純は討伐数を分割している。



 佳純は女性スタッフの話を聞きうれしそうにした。すると、女性スタッフは佳純に少尉の証となるバッチを提示した。


 「こちらが、少尉のバッチとなります。上級曹長のバッチを返却のうえこちらを受け取りください。ご苦労様でした」


 「ありがとうございます」



 因みにバッチは返却制度を取っている為、不要な事で紛失破損させた際は最悪、階級剥奪の恐れがある。そして、このバッチには軍隊で言うところのドックタグの意味もあるので殉職した際、身元をすぐに把握するすべにも使われている。また、ハンターを名乗る時はこのバッチを提示しなければならない。



 胸元に装着している上級曹長のバッチを取ると佳純は女性スタッフに差し出す。すると、女性スタッフはそれを受け取り少尉のバッチを提示した。そして、佳純はそれを納めるのだった。


 役所での私用をすますと、俺達はその場を後にするのだった。

2023/5/28 改変

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