どうも私は悪女らしい
警告タグは念のため。
穏やかな日にあたり、ふかふかな草花が風に揺られる。そんな穏やかな庭に一人椅子に座り背を預け寛いでいる者がいた。年は20を少し過ぎたくらいであろうか、紫色の長髪は彼女をより大人に魅せるようであり、顔立ちは美女といっても良いほど整っていた。目を瞑り、穏やかな表情でこの空間を楽しんでいた。
あまりにも気持ちよくてそのまま眠りこけてしまいそうになると、彼女の名を呼ぶ少女の声が耳に入ってきたので、ゆっくりと瞼を上げていく。左手で緩く巻いた左前髪の毛先を軽く伸ばして、指を離す。バネのように戻るそれを目で追いつつ、呼び声に答える。
「ここに居ますよ、マリー。」
大声を出したわけではなかったが、彼女の声はよく通るようで、呼び声の主であるマリーはすぐに彼女の元にやってきた。
「ここに居りましたか、バルサお嬢様。」
現れたマリーは、元気一杯という感じで、見ているこちらまで元気にしてくれるような可愛らしい赤毛のツインテールの少女だった。
マリーは一度お辞儀をすると懐から手紙を一通取り出し、バルサに差し出した。
「クレアお嬢様からでございます。」
「クレアから?」
バルサは驚き、確認するために声を出してしまった。妹であるクレアは今この国の王子の後宮に居る。そのため度々バルサから手紙を出していたのだが、いつの日かクレアから手紙が来なくなってしまったのだ。
バルサは驚きから覚めると次に喜んだ。何せ久々に妹から手紙が来たのだ。顔に笑みを零したまま手紙を受け取ると早速その場で封を切る。内容はなんだろうかと、安心と喜びと心配とを混ぜ合わせた心のまま読み進める。すると、始めは笑顔だったバルサの顔から次第に笑みが消え去り、読み終えた頃には無表情だった。
これにマリーは驚いた。微笑みながら様子を見ていた彼女だったが、次第に無表情になっていくバルサを見てどうしたのかと声をかけようとした。
「ねえ、マリー。」
「は、はい。なんでございましょう?」
出鼻を挫かれてしまい、どもってしまった。が次の質問でさらに声が出なくなってしまった。
「悪女の意味ってなんでしたかしら?」
意味が分からない。そんな顔をしているマリーを無視してバルサは言葉を続けた。
「悪女とは、容貌の醜い女、心の悪い女のこと。ああ、あとは男を弄ぶ女のこともいうんでしたっけ。」
「あ、あの、お嬢様?どうして急にその様なことを仰るのでしょうか?」
バルサは手紙を丁寧に折りたたんで、テーブルにそっと置いた。起こしていた体を再び椅子の背に預けると溜息を一つ零した。再び手紙を左手で取るとまたすぐにテーブルに戻した。そのまま左前髪の毛先を一指し指と親指で摘み、軽くひっぱり、離す。やはりバネのように戻るそれを見つつ、呟いた。
「どうも私は悪女らしい。」
プロローグ的なもの?
なんとなく書きたいものは出来てるけど、うまくまとめてみる意味で書いてみた。
あらすじどこいった。