17 -三度目の正直-
補足情報016
自動迎撃システムの発展により、もはやミサイルや迫撃砲などによる遠方からの攻撃は意味を成さない。基地や拠点に有効なのは迎撃システムの能力を超える物量での攻撃、もしくは直接的な戦闘による制圧となっている。
17 -三度目の正直-
――移動を開始してから十数分後、俺は基地から約30kmほど北にある道路にて、岩の影に身を隠していた。
道路は、その両側を黄土色の崖と呼ぶにふさわしい切り立った山に挟まれており、東から上った太陽が路面に黒い影を落としていた。
俺はその道路を堂々と歩くわけにもいかず、山肌に張り付いてゆっくり移動していた。
しかし、あるものを発見して俺は移動を一時的に止めてしまう。
それは黒煙を上げているVFだった。
しかも、その数は一つや二つではない。数十メートルに渡って2車線の道路を埋め尽くすほど大量にあったのだ。そして、そのどれもが完全に機能を停止していた。
VFの種類はシクステインであり、これが武装勢力が保持していたVFだったということに間違いなかった。
市街地に向かう途中だったのだろうか、それとも俺たちがいた基地に来るつもりだったのだろうか、両アームには立派なカノン砲に加え、対人用の機関銃も確認できた。
(それにしてもひでーな……。)
死屍累々とはこの事を言うのだろう。
どのVFもコックピット部分に大きな穴が開いていて、ランナーの死体すら確認できない。
ランナーが脱出した後に破壊された可能性もあるのだが、ドス黒い血がその可能性を完全に否定していた。
また、その穴の形状からして大口径の砲弾で撃たれたのは間違いなかった。
(さっきの大きな音の正体はこれだったのか……。)
俺が山肌に隠れたのも、つい数分前に聞こえてきた連続した砲声が原因だ。てっきりアイヴァーが俺を狙撃しているのかと思ったのだが、違っていたみたいだ。
今までの状況を考えるとアイヴァーの仕業だということは確実だった。
武装勢力に依頼されて基地内に潜入していたのかと思っていたのに、仲間割れでもしたのだろうか。
俺は状況を確認するべく、セルカにここで起こった出来事を聞いてみることにした。
「一体何があったんだ? UAVで見てたんだろ?」
聞くと、通信機からセルカの自信無さげな声が聞こえてきた。
「報告が遅れてすみません。一応は見ていたんですが障害物が多くて詳しくは分からなかったんです。射手の位置も全く把握できませんでした……。」
そんな言葉の後、今度は自信ありげな合成音声がコックピット内で発せられる。
「これはフォルンセイルのロングレンジライフルによるものでしょう。道路の弾痕から弾道を計算して位置を絞り込めました。フォルンセイルは道路を北上しながらVFの集団を掃討したようです。」
セブンの解説の途中、俺のHMDには仮想のフォルンセイルの姿が映し出されていた。
フォルンセイルは切り立った崖の上を移動しながら射撃したらしい。再現映像の通り、フォルンセイルの脚部に踏まれて生じた崩壊跡などが黄土色の壁面に多々見られた。
セルカも北上という言葉に反応したのか、周辺区域のマップを俺のHMDに表示させる。
「ここから北上するとダムがあります。そこに向かってるんじゃないでしょうか。」
「ダム?」
マップを見てみると、今俺が進んでいる道路に沿うようにして川が流れており、その上流には確かにそこそこ大きなダムがあった。逃走用に水上飛行機でも用意しているのだろうか。
他にアイヴァーが行きそうな場所を探していると、急にセルカが大声を出した。
「あ、発見しました!!」
その言葉に続けてUAVからの映像も送られてきた。
それはダム周辺の映像であり、飛行機らしき姿はなかったが、フォルンセイルの姿がしっかりと映し出されていた。
フォルンセイルはダムの中に侵入すると、ダムの内部にある小さな陸部分で停止した。
ダムと言えど手前の岸あたりはかなり浅いらしい。これなら水を気にしないで追いかけることができそうだ。
「よし、見失わねーうちに行くぞ。」
アイヴァーの位置がわかればコソコソ移動する必要もない。俺は山肌から道路にジャンプして降りると、舗装された道を足で蹴りつつダムがある方面へ向かった。
……5分も走るとダムの堤防が見えてきて、同時にリアトリスのアイカメラでもフォルンセイルを視認できた。
(見つけた……。)
ダムはあまり自然に手を加えられていない感じで、人工物は川の流れをせきとめている堤防だけしかみられなかった。ダム自体も一般で言うダム建造物という雰囲気はなく、小規模な湖のようにも見えた。
そんな湖の中、水際からそう離れていない小島にフォルンセイルはいた。
小島は形状的には水面から顔を覗かせている山頂という感じで、平坦な部分はあまり見られない。そんな直径200mにも満たない狭い範囲でフォルンセイルは微動だにしていない。
そこからさらに近付いていくと、ようやく俺の存在に気がついたのか、ロングレンジライフルの砲口がこちらに向けられた。
その動きに反応して俺はリアトリスに回避行動を取らせる。
すると、高速弾が俺のすぐ横を掠めて飛んでいき、背後にあった山の斜面に大きな穴を開けた。こう何度も撃たれていると、回避にも慣れてくるものだ。
「あの島に陣取るようです。周囲を水に囲まれています。水に浸かるとどうあっても機動性が削がれますから、接近は難しいでしょう。」
セブンの当たり前の指摘に俺は反論する。
「アイヴァーも渡れたんだから俺も楽に渡れるはずだろ。それに、機動力が落ちてもこっちにはケイレブの盾があるっての。余裕余裕。」
この盾があれば相手の攻撃は絶対に防げる。フォルンセイルが動く気配もないので正面に向けていればそれだけで大丈夫だ。
そう考え、楕円の盾を持ち上げて自信満々に宣言した俺だったが、持ち上げた瞬間に盾のを狙い撃ちにされてしまい、またしても遥か遠くへ弾き飛ばされてしまった。
「あ……。」
いくら高速弾が防げるからと言っても、専用のジョイントも持ち手も無いので保持し難いのだ。こんな事になるならアルブレンの腕ごと持ってくればよかったかもしれない。
だが、そんな自分の不手際を後悔する暇もなく、フォルンセイルから連続して高速弾が発射された。
防御手段を失った俺は逃げる以外にその弾を防ぐ手段がなく、走りながら前転して高速弾を回避した。その前転でダムの敷地内に入った俺は、止まることなくフォルンセイル目掛けて猛ダッシュしていく。
フォルンセイルまで距離にして約700m。このまま行けば10秒後には接触できる。
そんな時、セルカが慌てた様子で俺に警告してきた。
「シンギさん!? このままだと相手の思う壺です!! 一旦迂回して水深が浅い所から攻め直したほうが……」
「うるせぇ、黙って見てろ!!」
俺はセルカの意見を一蹴すると、再び飛んできた高速弾を身を屈めて回避した。やはり、相手に向かって駆けながら回避するのは骨が折れる。
(当たるのも時間の問題か……)
“相手の思う壺”――俺が近づけば近付くほど着弾までの時間はゼロに近付いていく。そうなるとロングレンジライフルの高速弾を回避し難くなるのは事実だ。
だが、敵を間近にして興奮状態にあり、感覚が極限まで研ぎ澄まされている俺には問題ではない。弾丸の軌道が手に取るように分かるし、時間の感覚もどんどんゆっくりになってきている。今なら高速弾に刻まれている線条痕だって見える気がする。
問題があるとすれば岸から島まで200m程離れているということだけだ。この距離の水をどうにかして渡らなければフォルンセイルに攻撃を加えられない。
しかし、既にその問題に対する解決策は用意してあった。
数発の高速弾を回避した俺はすぐに水際まで到達すると、地面が抉れるほど強く蹴り……
――跳んだ。
正直、200mの距離をジャンプで越せるとは思っていない。
しかし、助走も十分したし、何よりこのリアトリスの性能は他のVFとは一線を画している。その性能を信じてみたくなったのだ。
跳び出すと、すぐに何とも言えぬ浮遊感が俺を襲った。遠隔操作では感じることのできない不思議な感覚だ。
そんな感覚を満喫している余裕はなかった。
すぐにフォルンセイルはロングレンジライフルを上に向け、俺を狙って撃ってきた。
地上ならまだしも、空中にいる今の状態では回避できない。
(くっ……!!)
俺は咄嗟に鋼八雲を抜刀し、その弾道に刀身を重ねる。
その時、周囲の時間の流れが異様に減速し、俺は信じられない光景を目の当たりにした。
ロングレンジライフルの砲口からは高圧のガスと閃光と共に釣鐘型の形状をした高速弾が射出され、ジャイロ回転しながらこちら目掛けて空中を飛んでくる。
弾丸の先端からは衝撃波が発生しており、空気の密度の差によって円状の透明なリングが空間に生じていた。
それを見つつ、同時に俺は鋼八雲を鞘から滑らせるように抜き、そのまま刀身を体の前の空間に置いた。
その後、抜刀した際に発せられる鞘と金属が擦れる小気味の良い音が耳に届き、続いて鋼八雲自体に大きな衝撃が走る。
そして最後に金属同士が衝突する音が……教会で鳴らされる鐘の音を何百倍にも濃縮したような重厚な音がコックピット内に響いた。
その衝撃のせいでリアトリスは一瞬空中で跳ね上がり、跳躍距離が少しだけ伸びた。
空中を跳んでいる巨大な機械の塊を数メートルも浮かせるほど強力な衝撃だったにもかかわらず、鋼八雲にはヒビどころか弾丸が命中した跡すら残っていなかった。
まさに瞬きするほどの時間で行われた防御行動は見事に成功し、俺はとうとうフォルンセイルに接触した。
着地と同時に振りぬかれた刀はフォルンセイルのコックピットを捉えており、剥がれた装甲の隙間に上手く入り込んだ刃が腰部フレームごとコックピットを破壊した。
その結果、フォルンセイルの上半身は地面に落下し、ロングレンジライフルとともに斜面を転がってダムの中に水没していく。
しかし、俺はここである異変に気がついた。
「あれ……?」
先ほどまで操作していたであろうアイヴァーの痕跡が全くないのだ。両断されて内部を晒しているコックピットには何の跡も認められないし、かと言って脱出した様子もない。
一体どうなっているのかしばしその場で悩んでいると、不意にアイヴァーから通信が入ってきた。
「完璧に俺の負けらしい。これは絶対に使わないだろうと思っていたんだが、使わざるを得なさそうだ。」
そんな溜息混じりの言葉の後、いきなり視界が閃光に包まれて真っ白になった。
それからすぐに正面から衝撃が襲ってきて、俺はリアトリスと共に後方へ吹き飛ばされた。
飛ばされている間、俺は即座に復帰したアイカメラからの映像を見る。そこには爆炎を上げているフォルンセイルが見えた。
……どうやら自爆したみたいだ。
そのことに気付いたと同時にリアトリスは落下を始め、やがてダムに着水して豪快な水しぶきを上げた。
湖面に背中から打ち付けられ、リアトリスのコックピット内にそれ相応の衝撃が生じる。
俺はその衝撃のせいで一時的に操作コンソールから手を離してしまい、そのままリアトリスを湖底まで沈ませてしまった。
そこまで水深が深くなかったので十分に光が届いており視界も良かった。しかし、リアトリスの事を考えるとあまり長い間水の中に居たくはなかった。
爆発の衝撃で4つあるアイカメラのうち2つがダメになっているし、おまけに前部装甲の一部にもダメージが生じている。その上内部まで浸水させてしまうと修理が面倒になるはずだ。
防水機能は問題ないみたいだが、爆発のダメージを受けている以上いつ水が浸入してくるか分かったものではない。
俺は水中で鋼八雲を鞘に収めると、HMDにエラーが表示されないか監視しつつ、斜面になっているダムの底を歩いて行く。
しばらく移動しているとまたしても通信機から自爆したはずのアイヴァーの声が聞こえてきた。
「通信に全くノイズが走っていないことを考えると、あの爆発でもほとんど無傷だったようだな、シンギ・テイルマイト。もうしばらく水遊びを楽しむといい。」
自爆したにもかかわらずこの余裕のあるセリフ……。
たとえ脱出していたとしてもあの爆発で無事なわけがないし、VFを失ったアイヴァーが不利なのは明白だった。
そこまで考えて、ようやく俺はアイヴァーがどこで何をしていたのかを把握した。
「もしかして……あのフォルンセイル、外部から操作してたのか!?」
「その通りだ。道具は臨機応変に使い分けないとな。」
「クソ……待ってろよ、すぐにお前がいる場所突き止めてやるからな。」
遠隔操作だということは理解できた。しかし、問題はどこからフォルンセイルを遠隔操作していたかということだ。
それを考えていると、別の疑問も頭の中に浮かんできた。
(待てよ、何であいつは今俺が水没してるって分かるんだ……?)
おまけにリアトリスがほぼ無傷だということも把握できている。つまり、アイヴァーがいる場所はリアトリスの位置とステータスを監視できる施設、……すなわちその場所は、今セルカがいる基地内部のUAV操縦施設以外にありえなかった。
俺がそれを指摘する前に、アイヴァーはセルカについて話してきた。
「こっちには可愛いお嬢さんの人質がいる。余計なことはするなよ。まぁ、そこからじゃあどんなに急いでも俺を捕まえるのは無理だろうけれどな。」
「最初から基地内にいやがったのか……」
そう言えば、さきほどからセルカからの通信が無全くない。それもアイヴァーのせいだと考えれば納得できる。
ただ、納得できればいいというわけでもない。
「それで、セルカは無事なんだろうな?」
「もちろん。子供を殺すほど落ちぶれちゃいない。」
セルカの幼い外見がこんな所で役立つとは……。
取り敢えずアイヴァーの言葉を聞いて安堵していると、アイヴァーは自ら今回の作戦について語りはじめた。
「当初はそのダムに支援部隊の連中をおびき寄せて、一気に挟み撃ちにするっていう計画だったんだが、最初のHEATミサイルでお前以外は全員破壊してしまったし、雇い主とのゴタゴタのせいで武装勢力の連中も全滅させてしまった。多分、ランナーで生き残ってるのは俺とお前だけだろう。」
やはり道路にあったVFの残骸はアイヴァーが築き上げた物だったようだ。
俺はリアトリスの状態をチェックしつつ、その理由を訊いてみる。
「何であいつらを殺したんだ。仲間なんだろ?」
すると、意外な答えが返ってきた。
「雇い主は元々俺に報酬を支払うつもりがなかった。全てが終われば俺のことを殺すのもわかっていた。だから、万が一を考えて遠隔操作していたわけだが、武装勢力の戦力は俺の想定を遥かに下回っていた。これなら何とかなると思って、殺される前に殺してやったわけだ。……それに、お前ともう一度戦ってみたいとも思っていたからな。余計な奴らに邪魔されずに戦えたのだし、満足だな。」
戦闘と呼べる戦闘も無かった気もするが、アイヴァーはあれで満足できたらしい。
通信機越しにアイヴァーは告白を続ける。
「今回の依頼もお前が来ると聞いて引き受けたようなものだ。普通は前金なしの依頼なんて断る。だが、こんな事になるなら今回は断っておくべきだったな。……今回のことで武装勢力からの依頼は今後絶対に来ないだろうし、一度裏切った以上、軍からの正規の依頼も来ない。おまけに商売道具のフォルンセイルは自爆させてしまったし、しばらくは開店休業状態になりそうだ。」
お気の毒としか言いようがない。というか、最後に自爆させる必要はあったのだろうか。いくら証拠隠滅のためとは言え、勿体無い気がする。
長々と話していると、急にアイヴァーが話を切り上げた。
「長話もここまでだ。俺は逃げる。そろそろCEの増援部隊が到着するだろうからな。……シンギ・テイルマイト、勝負はお前の勝ちだ。いいVFと巡り会えたな。」
リアトリスを褒めた後、アイヴァーは俺のことも褒め始める。
「お前は雇われ傭兵で終わるような器じゃない。上を目指すならフリーランサーになることだ。……言いたかったことはそれだけだ。あと、くれぐれも俺のことを周りに話さないように。お前の通信は全て傍受しているからな。」
その言葉で俺は人質のことを思い出し、通信機に向けてぶっきらぼうに返事する。
「わかってるよ。お前こそ、セルカに手を出したら殺すぞ。」
「基地が被弾した時に破片から守ってあげたんだが、手を出すなんて言われると心外だな。」
「元々はてめえが蒔いた種だろうが!!」
「そう叫ぶなよ。……とにかくさっき言ったことを忘れるな。あの少女の命が大事ならな……。」
そんなやり取りの後、アイヴァーからの通信は途絶え、代わりにセルカの声が聞こえてきた。
「――シンギさん? あ、やっと通信が復帰しました。今どんな状況なんですか?」
「そっちこそ大丈夫なのか。奴に何もされなかったか?」
「奴……?」
セルカは全く状況を把握できていないようだ。つまり、アイヴァーはセルカと直接接触していないということだ。
通信が全く無かったので縛り上げられたのかと想像していたが、それは全くの誤解だったらしい。
(何だ、通信を一時的に遮断してただけか……)
セルカに人質の自覚がないのならそれに越したことはない。変に刺激するとアイヴァーを追いかけかねないし、ここは指示された通りに情報を話さないほうがいいだろう。
通信が復帰したことでUAVからの映像が見えるようになったのか、セルカは今更な事を俺に確認してきた。
「シンギさん、もしかしてあのアイヴァーを倒したんですか!?」
「ぶっ壊れたフォルンセイル見りゃ分かるだろ。ま、アイヴァー本人は脱出したけどな。……俺はここから脱出するのにしばらく時間が掛かりそうだ。」
リアトリスを動かす度に水による抵抗が生じ、なかなか思うように動かせない。訓練プログラムにも水中での動作の項目はなかったし、今後は水没しないように気をつけたほうがいいかもしれない。
俺の言葉に対し、セルカは悩ましい口調で話す。
「そうですか。こんな状況だと救助隊も出せませんし、どうすれば……」
「平気だ。自力で何とかできる。それよりも先にケイレブに伝えてくれ、アイヴァーを倒したってな。」
「あ、はい、わかりました。」
俺が命令するとセルカは回線を切り替えたのか、通信機からは何も聞こえなくなった。
その代わりに聞こえてきたのは合成音声だった。
「刀剣類を用いて弾丸を防ぐのはとても高レベルな動作です。今のシンギなら訓練プログラムもすぐにクリアできるでしょう。」
「訓練プログラムをクリアするために実戦で鍛える……本末転倒だな。」
だが、逆に考えれば実戦に参加すればするほど強くなれるということだ。これからもリアトリスと共に戦場を駆けよう。そうすればリアトリスも俺の実力に応じて力を発揮してくれるはずだ。
(ま、死なない程度に頑張るか。)
……その後、俺は数分掛けて水中から抜け出し、しばらくダムの近くで水抜きした後、約50km離れた基地へ戻ることにした。




