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応答

 その二日後の展開として。

 十月十三日、日曜日。季節は夏。

 朝の八時に、僕の家の扉が吹っ飛んだ。

 正確に言えば、吹っ飛ばされた。


「おっはよー、あーちゃん!」

「おっはー、あっくーん!」


 死ね貴様ら。

 僕の家の玄関の扉は引き戸だ―――脆い木製。来訪者の手によって、簡単に破壊されてしまうほど。


「……庭に回ってください」


 布団から起き上がった僕は、寝ぼけまなこのままでふらふらと居間に向かう。畳敷きの我が家の居間は、障子戸を開け放している。換気のためだ。クーラーもつけているはいるが、防犯対策にはなんの頓着もしていない。泥棒よ、来るなら来い。盗るものなど何もないぞ。

 はたせるかな、ハイビスカスが咲く我が庭には、夢路さん(お下げと眼鏡と制服。今日は休日だ)と、詩歌ちゃん(夏全開の服装。リュック背負ってた)がいた。


「わわっ! なんであーちゃん浴衣なのっ!」

「黒の着流し! 乱れてるのが色っぽーい!」


 夢路さん、悪ノリしないでください。


「何の用ですか。回覧板ですか。それとも恐怖新聞の配達ですか」

「違うよっ。だってあの新聞、窓ガラス突き破って届けられるんだからね? 嫌って言っても強制的に届けられるんだからね?」


 そうなんですか。


「詩歌ちゃんは賢いねー。いいこいいこ」


 夢路さん、貴女は詩歌ちゃんの姉か何かですか。

 長身の夢路さんと小柄な詩歌ちゃんが並んで立つと、身長差がすごい。姉妹、というか姉弟に見える。


「あーちゃんは百%忘れてるからって夢路ちゃんが言ったから」

「いやいや、あっくんは百%絶対忘却力全開で忘れてると思ったからね。迎えに来たよ」

「忘れてませんよー」

「ええ? でもまだ寝てたじゃん」

「サボろうと思ってたんです」

「うわ最悪だこいつ!」


 夢路さん、貴女は口を慎んだ方がよろしいと思います。


「さあ行こうあーちゃん! あと一時間もないよ!」

「あと一時間弱もあるんじゃないですか」


 というか、どうしてそんなに焦る必要があるのだろうか。多少遅れてもこれといって困ることは何もないと、僕は思うのだが。

 ちなみに話は逸れるが、沖縄には島人特有の時間感覚があるそうだ。通称ウチナータイムといい、約束の時刻に軽く一時間遅れてくるという、非常に迷惑な感覚だが、全員がこの時間感覚を保有していれば何ら不便なことはない。この、時間だけでなく全てににルーズな気風は、沖縄特有の文化である。


「何言ってるのさっさと着替えなさい。朝餉はこの私が直々に作ってやるから」


 超上から目線ですがありがとう夢路さん。心配ですから昨日作りおきしていたチャンプルー食うんでお構いなく。


「死ねっ! 私の作るマンゴーチャンプルーの美味さを思い知ってから死ねっ!」

「死んでも食べたくありません」


 とりあえず着替えるべきだ。夢路さんから何を言われるか分からない。


「あっくん台所どこー?」


 マジで作る気ですか。


「出ていってください」


 言いながら、上がり込んでいた詩歌ちゃんと夢路さんを縁側から蹴り落とす。「鬼だ! 殺人鬼だ! 暴力へんたーい!」と叫ばれたが鬱陶しいので無視する。


 ――――ていうか「暴力変態」ってなんだ。「暴力反対」で合ってるのか?

この話、タイトルの元ネタが分かったらご一報ください。というか、その原典とは話の内容一切関係ないんですけどね…冒涜かな?

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