言葉の彫刻
掲載日:2026/02/10
こころは言葉の塊だ
幾重にも積み重なった言葉の塊だ
生まれたばかりのこころは
ただちっぽけな泣き声だけ
その泣き声を芯にして
言葉をうえから塗り重ね
こころは大きく成長していく
幾年もそれを繰り返すと
さながら木の年輪のように
言葉が分厚く積み重なる
充分にこころが育ったら
おれはこころを鑿で削る
ペンという鑿で
積み重なった言葉を削る
かつて塗り重ね
今では埋もれてしまった言葉たちを
表に出して
良い感じに形作ってやるのだ
かといって
こころは言葉そのもの
削りすぎてしまっては
こころを保てなくなる
生まれたばかりの泣き声が露出する
そうならないよう
慎重に削ってやるのを忘れずに
おれのこころを削って削って
美しい言葉の彫刻に整える
そんなこころの彫刻を
人は詩と、呼ぶらしい




