存在しない白
私はある日趣味で読書をするために近くの小さな本屋へ本を買いに行きました。そして一度も行ったことがない「奥の方」に行ってみたのです。そして見つけてしまいました。一冊の本棚の隅の分厚い本を。
その本は埃被っていました。
指先が伸びかけては、引っ込む。
触れたら戻れないような気がして。
でも、目が離せませんでした。その本を手に取り、軽く埃を払いました。
見えたのは、日記と書いてある、
白い本。
店主が私に言いました。
「姉ちゃん立ち読みはダメだy……」
「おや、その本を手に取る人がまだいたとはね……」
「え?」
「ああ、なんでもない。どうするんだい、それ」
「買います!」
「そうかい。……なら、タダでいいよ。」
家に帰り寝る前に本を読みました。
内容は誰かの日記を描いたものでした。
◯月〇日
今日は街に出かけた。
いろんな色が街を縛っていた。
だけどやっぱり白が好き。
自由の色だから。
〇月〇日
今日は隣町に行ってみた。
何もかもが新しかった。
美術館に行って絵を見た。
色がたくさんあった。
だけどやっぱり白が好き。
どんな色も白の上で描かれるから。
日記を読み進めていきました。気がつけば私は朝までその本を読み返してしまいました。 今日は大事な商談なのに、寝不足で商談に行きました。同僚がサポートしてくれて無事商談は成功しました。同僚と缶コーヒーを飲みながら世間話をしていました。
すると白い服の女性が近くを通り過ぎました。昨日読んでいた日記のせいでしょうか。
彼女がとても綺麗に見えました。
「とても綺麗だ……」
「お前どうしたんだよ、ぼーっとして。本でも読み過ぎたんじゃね?」
同僚が気にかけてくれました。私の目線の先を見るなり、
「誰もいないのに誰が綺麗なんだよ」
同僚はクスッと笑いながら言いました。
「ごめんごめんぼーっとしてた」
あれは幻ではありません。確かに私はこの目で見たのです。白い服の女性を。
仕事をおわらせ家に帰りました。あの日記を読んでいると自然と心が安らぎます。今日みたあの人を思い出しました。冷静になって考えました。今日みたあの人はダダの一般人かもしれない。もう一度、一回でいいあの人と会いたい。目を見て話したい。手に触れたい。そう思いながら私は眠りにつきました。
数週間後
いつも通り今日も仕事です。あれから毎日あの道へ行っています。でもあの人に会える気配は全くないです。だけどあの人が欲しい。会えない時間が長くなるほど、あの人への想いは増していきました。
久しぶりにあの日記を手に取りました。最後のページに薄く擦れたインクで、
「私は存在します」
と書かれていました。
涙がこぼれそうでした。諦めようかと悩んでいた人は存在していた。よかった。本当に良かった。私が見つけるまで地の果ての隅々を探して見つけると誓います。
そしてその下に小さく可愛らしい文字で「私の誕生日は2月30日です」っと書かれていた。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
初投稿の短編です。感想などいただけたら嬉しいです。




