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ベルセルク・オーバードライブ~ダンジョンの底であなたを創る~  作者: 佐倉美羽
第二層『封海城ル=シール』

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第14話 安らぎは亡者の上に咲く

 目が覚めると自分の部屋だった。六畳一間の和室。万年床を敷いた、寝るだけの部屋。

 薄明りが部屋に差し込み、チラチラと埃が反射する。

 眠るたび、誰かに脳の配線を整理されているような感覚になる。まるで昨日の俺が、どこかに流されていったみたいだ。そう言えばそんなこともあったなと、記憶が分類分けされていくように。これも狂化の影響だろうか。

 起き上がり伸びをする。体中に血が巡り、やる気に満ちてくる。


「うし。今日も行くか」


 何か口に入れようと、何気なく冷蔵庫を開ける。中は何もない。ただ空気だけを冷やしている箱。電気代がもったいないから電源を切った。腹も減ってないし、別にいいか。

 少し早いけど、ゲートに行こう。はやくマキナに会いたい。顔を洗って、さっさと着替える。玄関を開けると、朝の冷たい空気が肺の中に流れ込んだ。


 ――そう言えば、最近何か食ったっけ。


 ◇◇◇


 ゲート管理協会新宿支部は朝だというのに、本日到着すると予告していた“攻略組”を一目見ようと野次馬でごった返していた。


「すげぇ人だな。そんなに見たいもんかね」


「冒険者自体に華がありますから。その上澄みともなれば人気は相当なものですよ」


 冒険者は登録初日で死亡することも珍しくない危険な職。なのに、稼ぐことを度外視してでもゲートダンジョンを踏破しようと挑戦する“攻略組”達は一部でカルト的な人気があるそうだ。

 新宿ゲートダンジョン第一層出口の情報がネットに流れた以上、今日からは他の冒険者も二層に入ってくる。攻略組はそれに合わせて来たのだろう。


「もしかしたら攻略組と鉢合わせするかもしれねぇな」


「ふふ。そうですね。ですが、あくまで私たちは私たちのペースで行くだけです」


 俺たちは他愛ない話をしながら人だかりを横切り、すっかり慣れた調子でゲートへと入っていった。


 そのまま、ゴーストを狩りつつ階段のあった部屋まで歩いて行った。ヒュージゴーストを倒したのでこの部屋はセーフティエリアになっていた。階段以外なにもない空間だが邪な気配がなく、空気も澄んでいる。上階に進む前に準備があるらしく、マキナは先ほど手に入れた魔石を数えていた。


「そう言えば新しいスキル覚えたんだぜ」


 マキナは手を止めて、「まあ!おめでとうございます。どんなスキルなんですか?」と、顔を上げた。


「ラストスタンド、だってよ」


 冒険者ライセンスを操作してステータス画面を表示する。


 ◇◇◇


 ――――――――――――――――

 〈ステータス〉

 名前:武神ヤマト

 レベル:14

 HP:184(+11)

 MP:15(+1)

 力:233(+16)

 技:11(+1)

 物防:97(+9)

 魔力:4(+0)

 魔防:32(+3)

 速さ:189(+12)

 幸運:52(+3)


 〈スキル〉

【メイン】ベルセルクOD(Lv.4)

【サブ】強襲(Lv.1)

【サブ】無慈悲な一撃(Lv.1)

【サブ】ラストスタンド(Lv.1)(NEW!)


 スキルポイント:4


 〈装備〉

 武器:炎のグレートソード

 防具:上質なチェーンメイル

 アーティファクト:ネコマテリア


 ――――――――――――――――


 〈スキル詳細〉

 サブスキル:ラストスタンド(Lv.1)

 致命的ダメージを受けても一度だけ耐える状態を得る。

 ・スキル発動時あらゆる弱体化状態を解除する。

 ・HP、幸運が上昇。


 備考:常時発動。クールタイム72時間(Lv.1)


 ◇◇◇


「けっこう良いんじゃね?」


 ラストスタンド、最後の抵抗ってことか。ベルセルクODはHPが低いほど攻撃力があがるし、嚙み合わせがよさそうだな。クールタイムはなげぇけど、余りある強さだ。


「けっこうどころではありませんよ。ヤマト。生存系スキルの中でも最上位に位置するスキルです」


 マキナは長い黒髪を揺らし、そっと俺の腕に寄り添いながら言う。甘い匂いが鼻孔をくすぐった。


「そ、そうなのか?」


「人間はソウルが消滅して初めて死亡します。たいていは器が壊れればソウルも消滅するのですが、このスキルは器が破壊されるダメージを負いながら尚、抵抗を続ける」


 熱に浮かされたようにマキナは言葉切った。笑っているのに、瞳はどこも動いていなかった。


「――美しくて、気高いスキル」


 そう囁いたマキナの瞳は、まるで何かを思い出しているようだった。

 心臓を愛撫されたような官能的な刺激が全身を伝った。マキナの体温が俺の肌と癒着していくように、熱に溶ける氷のように一つになる感覚。心臓が早鐘を打つ。耳まで真っ赤かもしれない。


「そ、そうなんだ。じゃあ、スキルポイントもラストスタンドにぶっ放せばいいか」


「ええ。是非そうしてください。ヤマト。命を大事に、ですよ」


 そう言って、マキナは身体を離した。触れていた肌が氷を落としたように冷えていく。心地よい余韻が鼓動と一緒に流れていくのを感じながら俺はスキルポイントをすべてラストスタンドに割り振った。耳の奥でとぐろを巻いていた耳鳴りが、断線したように消えてなくなった。


 ◇◇◇


 サブスキル:ラストスタンド(Lv.5)

 致命的ダメージを受けても一度だけ耐える状態を得る。

 ・スキル発動時あらゆる弱体化状態を解除する。

 ・HP、幸運を上昇。

 ・スキル発動時MPを全回復する(NEW!)

 ・スキル発動時HPを10%回復する(NEW!)


 備考:常時発動。クールタイム50時間(Lv.5)


 ◇◇◇


 つづく

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