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東方鼬紀行文  作者: 辰松
二、幻想鼬
19/29

其之十九、鼬人里に足を踏み入れる事

ばっくとぅざ一人称。

結局三人称への無謀な挑戦は、一話坊主と相成りました。

残念。





 ざっ、ざっ、ざっ、と。


 左右を森に挟まれた石段を、一人の少年が降りてゆく。少年とは言えど、その頭には獣の耳、その尻には獣の尾。一目で人外であると知れる。


 彼は―――否、俺こそは、本紀行文―――とは名ばかりの戯文―――の主人公、古今東西旅する鼬、十三尾を持つ大妖怪・八切七一である。



 長らく追われる旅の空にあった俺は、宿敵であるスキマ妖怪八雲紫を遂に葬り去り、この幻想郷に住まう権利を手にしたのである。別に葬っちゃいないが。


 ともあれ長年の禍根を清算した俺は、この幻想郷をば見て回ろうかと歩き出し、今現在博麗神社の石段をのんびり降りている所なのであった。



 と、此処で。俺はぴたりと立ち止まり。


「―――来たか」


 すうと目を細め呟き、周囲への警戒を強める。ぴん、と張り詰める空気―――。


 そして。その空気を破壊する者が現れる。


「ふっ!」

「―――なっないちぃいぎゃ!?」


 鋭く身を躱すと同時。頭上に忽然と現れ俺目掛けて急襲を掛けた彼女(ヽヽ)が、石段に激突する。


「がっ! ぐっ! ぎゃんっ!」


 そしてその角を身体を幾度と無くぶつけながらがんがんがんごろごろごろと実に騒がしく転がり落ちてゆく。その後をまたのんびりと追う俺。


「ぐえっ!」


 唐突なる襲撃者は、最後に一ツ蛙が潰れた様な声を上げ階段下に到達し、ぐでりと仰向けに伸びてしまった。其処へ追い付いて来た俺、にこにこと笑いながら彼女の脇に立ち。


「よ、萃香」


 草履を脱いだ裸足で以て、服が捲れて剥き出しになった彼女の腹をむぎゅうと踏み付けた。


「いや鬼かッ!?」

「お前がな」


 くわっと目を剥き叫ぶ幼女―――姿形は幼女なれど、遥か国中に酒呑童子の名を轟かす、日本一の鬼である彼女・伊吹萃香に、俺は飄々と笑い掛ける。


「ちょっとちょっと。何で久し振りの再開なのに、私は足蹴にされてるのさ」

「お前さんの腹は踏む感触が良いんだよ。んー、この感触も久し振り……」

「……そんなとこで懐かしさ感じられてもなぁ」

「はっはっは」


 わざとらしく笑いつつ足を退ける俺。萃香は服の砂を払いつつ立ち上がり、呆れた様に嘆息する。


「てか、昔も今もこんな事私にすんの七一くらいだよねホント……」

「まあ俺以外に居たら吃驚するな」

「七一じゃなけりゃ多分殺すしねえ。鬼の威厳ってモノがあるし」


 その姿の何処に威厳がある―――なんて、今更言いやしないが。萃香は何やら居住まいを正し、改まって挨拶をする。


「……さて、と。久し振りだね、七一」

「おう。久し振り、萃香」


 数百年振りに会ったと言うのに、真面な挨拶が後回しな俺達の緩い関係―――ま、長い別離を経ても全く変化は無い様で。何と無く安心する俺である。


「早速で悪いけど、七一。一発殴らせろ」


 ……全く以て、変化の無い様で。


「……ん。分かった」

「ふふん……駄目だよそんな事言っても。あの別れた時からずっとって嘘ォ!?」

「いや……そんな驚くなよ」


 こう見えてもこの俺は、諸般の事情により鬼達を飛ばした事をそれなりに悪いと思っているのだ。俺は後悔も反省も出来る鼬なのである。


「あ、有り得ない……七一が自分の非を素直に認めるなんて」

「……お前さん一体俺を何だと」

「性格悪くて自分勝手で人を小馬鹿にするのが趣味の古鼬」

「其処まで言うかっ」


 俺の様な出来た人物を捕まえて、随分とまた酷い事を言う鬼である。その内虐めてやる。


「まあ、ほら。悪かったたぁ思ってんだよ俺だって」

「やだ気味悪い……」

「ええい煩えよ。……お前さんなら一発でホントにきっぱり許すだろ? 後に引かねぇならその方が良い」

「あ、打算もあるんだ……うん、安心安心」

「……お前さんなぁ」


 憮然とする俺である。……が、過去の所業がそのままこの評価に繋がっていると考えれば、結局の所自業自得以外の何物でも無い訳で。基本的に彼女の人を見る目は大いに確かである。


「さぁって……いくよ?」

「お手柔らかに頼む」

「善処するよ……ふー―――」


 言いつつも、俺の前で腰を落とし溜めに入る萃香。何やら目を閉じ呼吸を深め精神統一なぞしやがっている。


「すぅぅぅ……こぉぉぉ」

「いや待て何気合い入れてんだよ。お手柔らかにって……」

「せェいッ!!」

「ごぁッ……!?」


 正に、剛拳であった。

 刹那に振り抜かれた全身全霊の正拳突きが、俺の腹を見事に打ち抜いた。痛みを感じる間もなく視界が前方に吹っ飛び、次の瞬間には二転三転、最後に全身に凄まじい衝撃。ぱたんとその場に倒れ伏す。


「……あれ?」


 予想以上の吹っ飛び様にか、殴った本人が首を傾げる。何を大袈裟な、と笑おうとしてから顔を引き攣らせ。


「ちょ……七一!?」

「……」


 慌てて駆け寄り顔を覗き込む幼女鬼。ぴくりとも出来ない俺―――


「……ぅぐ」

「な、七一」


 もとい、ぴくりとは出来た。しかし本当にぴくぴくする程度。全身に走る激痛。腹はもはや感覚がない。……あれ。マジ死にそう。


「……手前、殺す気か……」

「い、いやだって! さっき紫に勝ってたし! 目茶苦茶強くなってたじゃん七一!」

「……今の俺は、一尾だ……阿呆……がくっ」

「な、七一ぃー!?」


 ……俺の尻尾隠匿術は、力を隠すと言うよりは一時的に減らす術である。故に一尾の俺は、其処等の妖獣よりは強いとは言え扱える妖力も身体能力も大きく減衰しているのだ。


 そんなリスクを侵してまで目立つのを嫌う俺なのだが。今回はそれが大きく仇になった様で。


「し、死ぬな七一ー!」

「……ゆ、揺らすな死んでねえよ……」


 がっくんがっくん揺らしてくる萃香に気絶も出来ず、俺はただただ己の妖力を治癒に向かわせるのであった。


 ……自業自得、身から出た錆。

 己の行いは、巡り巡って己に返るのである。


 やれやれ。




◇◆◇◆




「死ぬかと思った」


 一刻程で割とあっさり動ける様になった、俺の第一声である。


「まさか幻想郷ここに来て、紫じゃなくて旧友に殺されかけるとは」

「……ご、ごめん」


 流石に萎縮する萃香。何たって彼女、間違いなくかなり本気で拳を振るったのだ。並の妖怪なら一撃死する。冗談じゃない。


「でも、七一も大概頑丈だよね……あんなにぐったりしてたのにもう立ってる」

「まぁ、お前さんが思っ糞振りかぶった時点で腹に妖力集めてたからな。大した壁にゃならなんだが」

「それでも、避けはしないんだ」

「それぁ……違うだろ。殴って良したぁ俺が言ったんだから」


 約束を守るのは大切である。……何、お前が言うな? いやいや友人に限るのだ。


「やっぱ七一良い奴だよね」

「当然だ」


 防御はする辺り変なこだわりだけどね、と笑う萃香。肩を竦める俺である。


「で、お前さん以外の奴等は?」

「あー……」


 問うた途端、眉を下げ困った様な顔になる萃香。


「……地面の下」

「はぁ?」

「人間に愛想尽かしたー、って言ってね。何百年か前に旧地獄ってトコに潜っちゃったんだよ」

「何だそりゃ……」


 愛想尽かした、て。人間が狡いからとかそんな理由なんだろうが……何を今更。人間とはそう言う生物だろうに。


「人間はどんどんこすっ辛くなっちゃってさぁ……昔は一緒に酒飲んだりしたモンなのに」

「人を攫うのをやめてりゃちったあマシになってたろうさ」

「そんなの鬼じゃないだろ」

「なら仕方ない。妖怪は退治されるモンだ」

「真っ正面から来るならそれも良いさ。でも罠に掛けられて死ぬなんて、余りに情けないじゃないか」


 むすー、と拗ねた顔の萃香の頭をぽんぽんと軽く撫ぜる。


「俺にうだうだ言ったって仕方ねーだろ。頑張って真っ当に相手してくれる奴を見付けるんだな」

「ちぇ」


 萃香は一ツ舌打ちをすると、つまらなそうに息をつく。


「ま、確かに七一に言ってどうなる事でもないよねぇ……」

「何。愚痴零すのもたまには良かろうさ」

「……言う事がころころ変わるなあ」


 言葉が軽いんだよ言葉が、と苦笑する萃香。ま、たらたら悩んだって仕方あるまい。笑い飛ばすくらいが調度良い。


「で、七一これから何処行くの?」

「んー? 来たばっかだからなぁ……」

「そだねー……七一が興味示しそうな所って言ったら……旧地獄、妖怪の山、冥界、魔法の森とか……迷いの竹林は微妙かなあ?」

「いや俺に聞かれても」


 ともあれ萃香の挙げる場所の名は、どれもこれも聞くだけで興味をそそられる様な物ばかりである。何たって此処は『幻想郷』―――紫が居るにも関わらず此処に来たのは、何も存在が危ういからだけではないのだ。

 だが―――。


「……最初は、人里に行きてぇな」

「人里? 人間ばっかだよ?」

「分かってるよんな事ぁ。此処の人間達の様子がどんなモンなのか見ときたいの」

「ふうん……ま、良いけどさ」


 先程上の巫女さんの話にちらっと出て来た人里。どれ程の暮らしをしているのかとか、活気はどんな物かとか。知っておきたい事が幾つかある。

 ……それに。昔の知り合いが、居るかも知れない。


「さて、それじゃ……よいしょ」

「ん?」


 素早く俺の身体をよじ登った萃香、何をするかと思えば肩に陣取り前方を指差し高らかに。


「さあ! ゆけ七一!」

「……いや、俺は場所知らねえんだって」


 乗せてって、と言外に宣言するのであった。

 ……いや、良いけどね別に。




◇◆◇◆◇




「ところで萃香。さっきは何だって上から降って来たんだ?」


 と。萃香の指示に従って人里へと向かう俺は、ふと頭上へ問い掛ける。

 ところで、人里と博麗神社は割と近い位置にあるらしい。まあ神社が余り遠くては来るに不便だろうから、それは良い。しかしこの参道に妖怪が出る為、博麗神社の参拝客は非常に少ないのだそうだ。良いのかそれで。


「んー……私の能力は覚えてる?」

「疎密、だったか」

「そうそう。私はね、普段自分を幻想郷中に散らしてるんだ」

「ほぉ。で?」

幻想郷ここで何かが起きればすぐに分かる。七一が来たのも、多分私が一番に気付いたよ」

「ふむ。そいで紫との決着が付くのを待って、神社から出て来た所に襲い掛かったと」

「襲ってない襲ってない」


 髪を引っ張り抗議する萃香。痛い。


「て言うか、七一こそなんで避けたのさ」

「上から物が降って来たら、普通避けると思わんか」

「むぅ……そんなだから七一なんだよ。女の子が落ちて来たら優しく抱き留めるくらいしなきゃ」

「身体年齢で十才程、年食ってから言おうか」

「……無茶言うなあ」


 見た目が幼女な落下系ヒロインに興味は無い。多分幼女でなくとも興味は湧かないが。


「まあ出来なくもないけど」

「出来んのかよ」

「多分。能力でちょちょいと」

「……便利だなぁ」

「七一が言うかな」


 まあ。お互い様である。


「……そう言や、他の鬼達やつらは地獄に潜ったっつってたが。霞楽の奴もなのか? つかそもそもアイツ此処に居んのか?」

「地獄じゃないよ。旧地獄」

「いや其処は良いから」

「んー。霞楽はねぇ、まあ此処には居るけど。旧地獄には行かなかったよ」

「だろーな……アイツ人間に興味無えし。で、何処に?」

「大抵は冥界に居るかな」

「……え?」


 冥界。解り易く言うと、あの世。


「何。アイツ、死んだのか?」

「いや生きてるけど。大抵、って言ったじゃん」

「……行き来出来るのか?」

「うーん。結界で分けられてるけど、割と出来なくもないみたい」

「……」


 ……通行自由な彼岸と此岸。それってどうなのだ。


「……で、霞楽は何だってんなトコに?」

「それがさあ。笑っちゃう話でさ」

「何だよ」

「霞楽ってば亡霊に惚れてるんだよ。殆ど毎日家に通ってるんだ。ベタ惚れだね」

「……幽々子も此処に居るのか……」


 それも、冥界て。亡霊とはこの世にさ迷い出た死者の魂だろうに。あの世に戻ってどうするのだ。

 ……行き来出来る事と言い、俺の考える冥界とは少しばかり違うのかも知れない。


「あれ……何か知ってるの?」

「何百年か前にな。色々あったのよ」

「ふぅん……あ」

「ん、どした?」

「見えて来たよ、人里」


 言われて目を向ける。道の先に、何やら門の様な物が見えていた。守衛らしき男達も立っている。


「……ふむ。んじゃ萃香、降りてくれ」

「えー? 何でさ」

「妖怪は入れないだろ。俺ぁ人に化けるけど、お前さんの角は隠せない」

「いや妖怪も入れるよ?」

「……そうなのか?」

「うん。中で暴れさえしなけりゃね」

「へえ……」


 ……中々どうして。妖怪と人間の共存、存外に上手くいっているではないか。


「まあ化けるけど」

「おおっ!?」


 ぽん、と軽い音と煙を立て人間に変化。つい最近まで使っていた、書生風の青年である。突然高くなって声を上げる萃香を余所に、『窓』から取り出した伊達眼鏡を装着。


「何で化けるの?」

「取り敢えずはこっちの姿で、人間の様子を見てみようかと。あんまり目立つな嫌だしな」

「私乗っけてる時点で目立つと思うなぁ」

「じゃあ降りろよ」

「やだ」


 頭にしがみつく萃香を持て余しつつ、人里へ向かう俺であった。




◇◆◇◆◇




「……妖怪、多いな」

「言ったじゃん入れるって」


 さて鬼を肩車している事に驚かれつつも、割とあっさり門を通して貰い。町、と呼んでも良いであろう規模の人里に繰り出した俺であるが。


「人に化けんでも、そう目立たなかったかな……」


 思わずそう零す程に、一目見て人外と分かる者が多い。いや、多いと言っても、視界の内にちらほらと姿が見えるだけなのだが、それでも此処が人の集落である事を考えればかなりの数だ。

 そして人間達にその妖怪を恐れる様子はない。どころか挨拶を交わしている者すら居る。


「大したモンだな、あいつ……」


 さて町並みを見る限り、文化の程は江戸時代。文明開化はやって来なかったのだろう。しかし江戸の町とは違い、農家等も同じ町の中に収まっている様だ。また武士の姿は見えず、特権階級は存在しないらしい事も伺える。


「……お、甘味屋」

「お金あるの?」

「外の貨幣で通じるなら」

「んー。多分大丈夫」

「うし。団子食おう団子」


 ふと目に入った甘味屋に足を踏み入れ、店主らしき男に声を掛ける。頑固一徹等と形容したくなる髭面のオッサン。味にこだわってたりしそうだ。


「ちょいとちょいと。団子下せいな」

「どれかね」

「ふむ……御手洗みたらし、黄粉、三色、餡、醤油、三ツずつ頼む」

「……全部じゃないか」


 呆れた様に言いつつも、包んだ団子を渡してくれる髭男。有り難く受け取って代金を払い、早速黄粉を一ツ頬張る。


「時に店主や」

「……良く間違われるが、儂はただの雇われの店番だ」

「……あ、さいで」


 ちょっと擦れ落ちた眼鏡を上げ、気を取り直して。


「オッサンや。この甘味屋、砂糖は何処から?」

「外だ」

「ん。行き来出来ないんじゃ?」

「妖怪の賢者様が持って来るのさ」

「妖怪の賢者?」

「紫だよ、紫」

「……あ、成る程」


 内側で手に入らない物は彼女が調達して来るのだろう。此処は内陸で海が無いから、きっと塩や海水魚なんかも。

 しかし賢者って。自称だったりしたらからかってやろう。


「……お客さん、外から?」

「うむ。色々事情があってね」

「そうか……」


 俺の上をちらりと見、何やら深刻そうな顔のオッサン。俺が萃香を肩車している事に、鬼に従わされているのでは等と考えて、存在しないシリアスな事情を見たらしい。


「何か困っているのなら、上白沢様の所に行くと良い……あの方は人格者だ。きっと相談に乗ってくれる」

「カミシラサワ?」

「上に白い沢と書く。この里の守護者たる方だ。家の位置は里の者に聞けば分かる」

「はぁ、うん。ま、お気遣いどうも」


 真剣な表情で俺に言い含めるオッサン。要らん心遣いをさせて申し訳無い。萃香も察したらしく、くすくす笑っている。


「そいじゃなオッサン。団子美味いわ」

「有難うよ」


 団子を食いつつまた歩き出す。萃香が髪を引っ張るので醤油団子を与えると、甘辛さが酒に合うと言った。相変わらず酒基準。ちなみにコイツは先程からずっと、俺の頭上で酒を飲んでいる。

 肩車の飲酒運転、なんて。


「で、次はどうするの?」

「そうなあ……折角だしさっきのオッサンが言ってた上白沢とやらに会いに行こうか」

「そ。家はあっちだよ」

「知ってんのか」

「当たり前だろ」


 幻想郷中に散ってたって言ったろ、と意味も無く無い胸を張りバランスを崩して落ち掛ける萃香を余所に、俺は萃香の指した方向へ歩き出す。


「で、その上白沢はどんな奴なんだ?」

「直に会話した事は無いから良くは知らないけど……真面目な奴、かなぁ。七一とはきっと気が合わないね」

「どー言う意味だそりゃ」

「そー言う意味でしょ」


 憮然とする俺である。


「しっかし上白沢……上白沢、なあ」

「後、人間じゃないよ。半人半獣なんだってさ」

「半人半獣? ……まさかたぁ思うが、白澤はくたくか?」

「お。良く分かったね」

「……満月の夜に化けるのか?」

「そうそう」


 上白沢うわはくたく―――ワーハクタク、か。

 白澤とは、中国に伝わる神獣である。その時代の為政者の前に現れ、あらゆる物事に精通すると言う。

 ……しかしワーウルフなら分かるが、ワー白澤て。神獣じゃねえか。噛まれたら同じく神獣になるのか。むしろ噛まれたい。


「意味分かんねぇ……流石幻想郷」

「幻想郷関係無いと思うなぁ……あ、ほら。彼処あそこ

「……寺子屋?」

「の、隣だよ家は。先生やってるんだってさ」

「へぇ……」


 半分白澤で、里の守護者で、寺子屋の先生。多才(?)な奴である。


「あれ、誰か居る?」

「んあ? あぁ、ホント―――だ…………」


 ざっ、と。思わず足が止まる。

 上白沢氏の家の前に、二人の女性が立っている。そしてその一方の長い白髪は、やけに見覚えのある後ろ姿で。


「……萃香。ちょっと、降りてくれ」

「え? どうしたのさいきなり」

「良いから」

「……うん」


 俺の声に真剣さを感じたか、素直に飛び降りる萃香。俺は再度上白沢氏の家へ向けて足を動かし始める。


 ふと、一人が此方へ振り向いた。

 俺の姿を認め、ぽかんと口を開ける。そのままじっと俺を見詰めていたかと思うと、驚くもう一人に構わずだっと此方へ走り出す。


「―――妹紅」


 俺は、彼女の名を呼ぶ。


「―――七一」


 彼女は、俺の名を叫ぶ。


「妹紅……!」

「七一ィ……」


 ―――その震える声を聞いた途端、俺は自分が今何をすべきかを知る。

 眼鏡を外して『窓』に戻すと、名を呼びながら走って来る彼女を両腕を広げ待ち構える。腰を落としてソレ(ヽヽ)に備える俺の前で、彼女は突然しゅばぁと高く飛び上がり。




「―――こォんの、馬ッ鹿野郎ォオオオ!!」

「スンマセッッ!!」




 ずどぉん、と。鮮やかな飛び蹴りが、俺の顔面を鋭く撃ち抜いた。



 ……まぁ。こうなるよなぁ。




◇◆◇◆◇




「ッだ手前コラァァ! 良ッくも今更のこのこ顔出せたモンだなァ! つーか何で人間に化けてんだ!?」

「お、おう……諸般の事情で」

「どうでも良いわボケェ!」

「理不尽っ」


 倒れた俺に馬乗りになり、襟首を引っ掴んでがくがく揺さ振りつつ叫び散らす妹紅。マジギレである。


「取り敢えず手前一体何年振りだ! あァ!? 何か言う事あるだろ!?」

「……お、お久し振りですね?」

「お久し振りですね!? へぇ! ヘエエエエエ!! オヒサシブリデスネ!! ……ッざけてんのかゴルァッ!!」

「うッ」


 襟首掴んだままヘッドバット。痛い。


「何年経ったか教えてやろーか! 千百年ちょいだ! セン! ヒャク! ネン! 馬鹿か!?」

「す……すまん」

「スマンで済んだら閻魔様は要らねえんだよォオオ手前もう黙れ!! つーかもう八雲から色々聞いてんだぞ!? 手前に会わせろってワザワザ言いに行って! 居ねぇよ馬鹿って逆ギレされたんだぞ!?」

「……」

「何とか言えよッ!」

「うッ」


 ヘッドバット。


「後! 手前あいつ等(ヽヽヽヽ)と知り合いだったらしいなオイ!!」

「あ、あいつ等?」

「月の糞共だよボケッ!!」

「うッ」


 ヘッドバット。


「あ―――あいつ等も此処に」

「居るわハゲッ!!」

「うッ」


 ヘッドバット。


「何百年か前に会ってッ!!」

「うッ」

「ちょっと殺し合ってッ!!」

「うッ」

「少しだけ話してみたらッ!!」

「うッ」

「何で手前の名前が出て来んだよォオオラァッ!!」

「ぐうッ」


 8Hit。


「大体手前何だ格好良く別れたかったって―――」

「待て、妹紅!」


 と。いい加減頭痛が痛くなってきた俺の元に救世主が現れる。生真面目そうな雰囲気に青みがかった白い髪、四角い帽子、ワンピースの様な服―――先程妹紅と居た女性だ。


「何が何だか良く解らないが……取り敢えず落ち着」

「慧音は関係ねェんだよッ! すっ込んで」

「……教育的指導ッ!」

「ろかぺ」


 慧音と呼ばれた女性の言葉を遮って口角泡を飛ばし怒鳴り付ける妹紅に、彼女は妹紅の頭をがっしと掴んだかと思うと頭突きを撃ち込む。乙女にあるまじき断末魔と共に倒れ伏す妹紅。取り敢えず助かったらしい。

 それにしても、妹紅を一撃で昏倒させるとは――――凄まじい頭突きである。


「えー……うむ。一応礼を言おう見知らぬ御方」

「ああ、いや。気にしないでくれ」


 慧音なる女性は俺にひらひらと手を振ると、遠巻きに様子を眺めていた里人達に問題無いと伝える。三々五々、それぞれがしていた事に戻る野次馬達―――この人徳ありげな姿、もしやこの女性が上白沢氏であろうか。

 と、その推測があっさり肯定される。


「さて―――私は上白沢慧音と言う者だ。貴方は……妹紅の知り合いの様だが」

「あー……まあ、な。古い古い友人だ」

「古い友人……。つまり、貴方も人間では……?」

「ん。俺ぁ鼬だよ。今はちょっと化けてんのさ」


 仰向けに倒れ妹紅にのしかかられたままそう言って、眼鏡を取り出し再度装着する。ぶっちゃけ意味等無いが気分である。格好良い気がする。


「鼬……貴方はもしかして、八切七一か?」

「お? そうだが」

「やっぱりか。妹紅から話は聞いている」

「くはは……碌な話じゃねえだろう」

「ああ。全く碌な話じゃないな」

「……あっはっは」


 率直な御人である。好ましくはあるが。


「んで、お前さんは―――」

「待った」


 言い掛ける俺を掌で制し、慧音女史は俺の上で気絶している妹紅を抱き上げる。


「立ち話も何だ。うちに入ると良い……茶くらいは出そう」

「うーぃ」


 俺ものっそりと立ち上がると、慧音女史の後を追う。三人の入った戸ががらがらと閉じられ―――



「……はっ! 何か私凄く蚊帳の外!?」



 ―――その後には鬼が一人、取り残されていたとか何とか。




◇◆◇◆◇




「幾ら何でもさ。存在忘れるのは非道いと思うんだよ」


 招き入れられた慧音女史の家、性格が表れてか整然と片付いた部屋。壁際には妹紅が転がされており、真ん中に据えられた卓袱台の横で萃香が愚痴を零している。


「昔っから七一はさ、一旦目を離したモノをかえりみな過ぎる」


 一方俺はと言うと、萃香に尾を向けて隣の部屋に顔を突っ込み書物を漁っている。少し開いていた襖の隙間から積み上げられた草紙が見えていたのだ。


「興味無い物にはとことん興味が―――ちょっと、聞いてる?」

「……これは……歴史書、かね」

「聞けや!」


 適当に一冊を取り上げ開く俺に、萃香が瓢箪を投げ付ける。首をひょいと傾けると、素通りした瓢箪は隣の部屋へと飛び込んでいった。


「目茶苦茶多いな……ん。これが最新か?」

「あああもう馬鹿七一め―――」


 文句を言いながら瓢箪を取りに行く萃香。そもそも投げなきゃ良いのだ。


「大結界騒動―――ねえ」


 手元の草紙に再度目を落とし、最後付近の頁を捲る。其処にある日付は、明治十七年~~月上旬―――今が三月末なので、本当についこの間の事である。

 書かれているのは、この幻想郷と外を隔離する『博麗大結界』の形成とそれに伴う騒動について。要約すると、強制的に引き篭りにされた妖怪達がうがーと暴れて、博麗の巫女に纏めて粉砕されたらしい。


「……もう少し早く来りゃ良かったな」


 何か面白い物が見られたかも知れんのに、と後悔する俺である。

 ぱたん、と冊子を閉じる。裏表紙には『上白沢慧音』との達筆な署名。山程あるこの歴史書、記しているのは彼女らしい。


「待たせたな。お茶が入ったぞ」


 と、慧音女史が戻ってきた。手に持った盆には急須と三ツの湯呑み。茶菓子は切らしてるんだ、と言いつつ卓袱台に置く。


「ちょいと良いかな慧音女史」

「む……じょ、女史……?」

「嫌かね? 似合うと思うんだが」

「嫌ではないが……」


 私はそんな立派なモノでは無いよ、と謙遜する慧音女史。ところで萃香は茶には見向きもせず瓢箪を傾けている。他人の家でくらい遠慮出来ないのだろうか。


「まぁ嫌と言われても呼ぶんだが」

「……そうか」


 取り敢えず流す事にしたらしい。まあ、俺の無駄口に対する最も適切な対処であろうが、突っ込みが無いのは寂しい。


「で、コレなんだが」

「……あ。そっちの部屋に入ったのか」

「積んだ本が見えた物だから、つい、な。拙かったか?」

「いや―――構わないよ。片付いていないのが少々恥ずかしい、と言うだけだ」


 慧音女史はそう言うと、俺の持っていた冊子を手に取る。


「仕事なのか?」

「いや。趣味、と言った方が良いかも知れない」


 言いつつ、ぱらぱらと冊子を捲る慧音女史。


「……『歴史』とは、何だと思う?」

「んー……面倒臭い事聞くね。……記され若しくは伝えられる、過去の出来事の推移―――みたいな?」

「まあ、そうだ。記録が無ければ歴史でない」


 歴史、とは。

 誰かの手によって書き記された何等かのことを言う。

 何か出来事が起これば、それは『事実』だ。それが人の手により纏められ、周知の事となったとき初めて、それ等は『歴史』となる。例え事実であってもそれが広められなければ歴史にはならず、また事実でない事でもそれっぽく広められてしまえば歴史となる。

 妖怪その他の人外は長い時を生きる為、自分が知らないほど昔の事など余り無いのだが、人間はそれ等と比べて遥かに寿命が短い。故に歴史の知識は大半を書物などに頼る事になる為、間違った知識を持ってしまう危険が高い。間違った歴史観の元に争いを起こせば損をするのは人間である。

 ―――と。慧音女史はその様な事を語った。


「だから私は記すんだ。本当の―――『事実』を正しく伝える『歴史』を、な」

「ふうん」


 非常に興味深く、かつ立派な事である。とても性格の宜しい俺としては、若干意地の悪い事を言いたくなる。


「だがね、慧音女史。お前さんと言う人物が書いている以上、其処にゃやっぱりお前さんの主観が入っちまうんじゃぁないか?」

「いや。そんな事はない」


 きっぱりと否定する慧音女史。


「私の家に来るまでに、誰かに聞いているかも知れないが……私は、純粋な人間ではない」

「ん。半分白澤らしいな」


 ちなみに、この世界で半人半獣と言うと、二ツの種類がある。先天性か後天性か、である。

 先天性の半獣とは、親がそう(ヽヽ)であるとか、つまり遺伝的なモノである。血筋、血族、そんな要因。こう言ったモノ達は、完全な獣の姿に変身する。

 一方の後天性は、何等かの魔法や呪い、または噛まれた事により感染した、と言う場合。此方は変身しても、人の形に尾や耳や角と言った獣の特徴が備わるだけだと言う。


「私は後天性の半獣でな。満月を見ると角や尾が生え、白澤としての力を得る」

「目は?」

「え?」

「異説はあれど、白澤は六本の角と九つの目を持つと聞く。増えるのか?」


 物凄くわくわくして聞く俺に、


「い、いや……増えない。角も二本だけだ」

「……ええー」

「そんな残念そうな顔をされても……」


 だって見てみたいじゃない。額に目があるとか。


「ともかくっ。普段の私の能力は『歴史を食べる程度の能力』なのだが」

「歴史を食う、ねえ。具体的に何が出来んのよ?」

「あった事を無かった事に出来る―――と言っても、私の力が及ぶのは飽くまでも『歴史』。認識や存在する記述を消すだけで、『事実』までもを歪める力は無い」

「ふむ……。普段の、て事ぁ白澤の時ぁ変わるのかね?」

「その通り。『歴史を創る程度の能力』、になる」

「逆……なのかね。無かった事をあった事にする、か」

「そうだ」


 貴方は物分かりが良いな、と、慧音女史は良く出来た生徒を褒める様に言った。そう言えば彼女は寺子屋で教鞭を取っているのだったか。


「この力で、私は歴史の編纂を行っている。毎月満月の度に、な」

「……ふぅん。うん、面白い話だった。今度時間がある時にでも読ませて欲しい」

「ああ。何時でも来ると良い」


 笑って頷く慧音女史。人間の出来た御人である。ところで萃香はと言うと、退屈そうに妹紅の頬を突っ突いている。やめれ。


「……で、妹紅の事なんだが」


 と、その様子を見てではないが、話を切り出す俺。


「お前さん、妹紅と如何なる関係かな?」

「友人だ。……彼女もそう思ってくれていると、信じている」

「……くは。友人、か」


 妹紅は、不死だ。

 あらゆるモノが彼女より速く老いてゆき、あらゆるモノが彼女を置き去りにする。例え寿命の長い人外とて……俺とてその例外で無い。彼女はそう言う運命を負っている。

 その妹紅に、友人。


「有難うな」

「……何?」

「俺が言う事じゃぁねえけどさ。妹紅の友人になってくれて、有難うってのよ」

「そう、か」


 柔らかな笑みを浮かべる慧音女史。友人と呼べる人が居ると言うのは、とても良い事である。


「……私からも、聞いておきたいのだが」

「どーぞ」

「貴方は……その。妹紅とはどう言う関係なんだ?」

「さっきも言ったがね。古ぅい友人だよ」

「……恋人、とかではないのだな?」

「あん? ……うむ、そりゃな」


 ちらり、と妹紅を見る。色恋沙汰を匂わせる様な事を慧音女史に零した様だが……まあ、素面でではなかろう。彼女の性格を考えれば。


「ただ、ねぇ。昔の妹紅は、少々俺に依存していた節があった」

「依存?」

「頼れる物の他に無い状況で、長い間一人と一緒に居たら。そんな事にもなろうさな」

「……恋愛感情では無い、と?」

「さぁてねぇ。依存の延長で、まかり間違ってうっかり惚れてたりは……したかも、知れんね」

「……」


 何にせよ。そんな状況で生まれた恋なんざ、碌な結果にはなるまいと。独り立ちさせる意味もあって、わざわざ彼女と距離を取ったのだ。後で色々と知った時、俺への感情なぞ無に帰す様な展開で。


「……うっかりで俺の様な阿呆に惚れるなんざ、余りに宜しくなかろうさ」

「……会ったばかりではあるが。貴方は良い男だと思うよ?」

「口説き文句かいそりゃ」

「御冗談。私は馬に蹴られて死にたくはない」

「や、だからな。妹紅たぁそう言うんじゃ……」

「ぐはっ!? げほげほがほぶへっ」


 と、その時。妹紅が激しく咳込みつつ飛び起きた。何があったと目を遣ると、どうやら萃香が酒を流し込んだらしい。……鼻に。


「何してんだお前……」

「いやね。何か起きてるみたいだったから」

「……あん?」


 妹紅は着物の袖でぐしぐしと顔を拭うと、涙目で俺を睨み付ける。……実は起きてた、て。つい最近、それも本日の内に似た様な事があった気が。


「な―――七一」

「……う、む」



「む、昔はともかく……今の私はお前の事なんか、全然好きじゃないんだからな!」



 ……。


 …………。


 ………………まあ。

 赤らんだ顔の彼女の言葉が額面通りの意味でない、と言う事は。

 のらりくらりを信条とする流石の俺でも、認めなければならないのだろう。


「……やれやれ」

「何がやれやれだこの馬鹿っ。さっきの話は終わってないんだぞ。月の奴等の事とか別れた時の事とか―――」


 やいやいと騒ぎ立てる妹紅の、怒っている様で何処か喜色をたたえた視線と。

 微笑みながら此方を見ている慧音女史の、生暖かい視線と。

 瓢箪の酒を喉に流し込む萃香の、面白い物を見る様なにやついた視線。


 三種の視線に囲まれつ、もう一度嘆息する俺なのであった。



「―――やれやれ」




さて皆様お久し振り。

珍しくもちょっとだけ更新の早まった、月刊鼬紀行文最新話で御座います。



PCではまず読み飛ばされるであろう前書きにもありますが、三人称が死にました。

感想の総評において概ね不評と言う、残念な―――主に自分の筆力的な意味で残念な結果に、三人称は一話坊主のお蔵入りと相成りました。せめて三話坊主くらいは続けりゃ良いのにね。駄目だね。




で、今回は前話に引き続き、幻想郷を訪れた鼬の話。早速旧友に再会し、人里をうろつきまた再会。と出会い。みたいな。




酔いどれ幼女。

再会して早々ぶん殴ります。まあ鬼だし(?)。珍しく深刻なダメージを受けた鼬でありました。

鬼のさっぱりした気性の事、今更特に恨んじゃいなかったのですが、ケジメくらいは付けましょう。と、そんな感じ。



ツンデレてみた。

久し振りに登場な妹紅。ツンデレっぽい台詞を吐いております。

結局妹紅は鼬に惚れてるのかと言われますと、やっぱり是でも非でも無く、「べ、別に好きじゃないんだからなっ」っつう事になります。意味についちゃ、まあ深くは考えぬが宜しい。



慧音女史。

真面目でお堅い先生、ちゃらんぽらんな鼬とは気が合わないかと思いきや。アレで鼬はお堅い話が結構好きな様で。

妹紅の事もあり、割と好意的であります。


ちなみに半獣の分類の話とか、慧音女史の語る歴史の話なんかは公式設定っぽいよ?




ところで最近、原作キャラがそれっぽい素振りをする度に感想で「フラグじゃね」みたいな期待をされて若干心苦しい。

この駄文に恋愛要素なぞ過度に期待してはいけません。後でがっかりします。


キャラがそれっぽい素振りをしてるのは、可愛い反応をさせる為なのです。赤面する藍さんとか可愛いじゃない。


……勿論、意図的にやってる恋愛っぽい何かもありますけれど。約二名。




では大体そんな感じで。

お読み頂き有難う御座いました。




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