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東方鼬紀行文  作者: 辰松
一、旅鼬
17/29

其之十七、鼬天狗の御山にて戦を停める事

 

 天狗。


 河童や鬼と並んでこの国に名を轟かす、超メジャー妖怪である。


 彼等は非常にバリエーションが多く、悪人を懲らしめたり善人に褒美を与えたりするかと思えば、山中で物音を立てたり神隠しや仏道修業の邪魔をする。神社に祀られる天狗が居れば、悪事を為し調伏される天狗も居る。

 善なのか悪なのか、神なのか妖怪なのか全く以てはっきりしないのだ。


 さて天狗と聞いてまず浮かぶのは、高い鼻に赤ら顔、一本歯の高下駄に羽団扇・山伏装束の姿であろう。これは大天狗と言って、天狗の内の天辺である。次に浮かぶのは恐らく黒い嘴を持つ者で、此方は烏天狗。この他にも中天狗や小天狗、木の葉天狗、一番下の水天狗等々二十三の階級があると言う。


 『天狗』とは元来、中国で物怪や流星・彗星の流れる尾を指す。

 日本においては、『日本書紀』によると飛鳥時代の中国より帰ったとある留学生が、流星の落ちる雷の如き音を「『天狗あまきつねの吠える声だ』」と言ったのが由来であるらしい。


 位の高い天狗には、それぞれの名前が付けられる事がある。中でも代表的なのが、日本八大天狗等と呼ばれる八人の天狗である。

 京都愛宕神社の愛宕山太郎坊、滋賀の比良山次郎坊、長野の飯綱三郎、京都の鞍馬山僧正坊、神奈川の大山伯耆坊、福岡の彦山豊前坊、奈良の大峰前鬼坊、香川の白峰相模坊。これに別格として、法起坊―――修験道の祖である役小角を加える。


 天狗の高い鼻と赤ら顔は、容貌魁偉で鼻長七咫、身長七尺と伝わる日本神話の猿田彦命がモデルであるからだと言う。また、須佐之男すさのおのかみの猛気より生まれた姫神の息子・天魔雄あめのざこのみことが天狗の長であると言う説がある。

 何れにせよ天狗には、兎角強大なイメージが背後に付き纏うのである。




 さてこれより記すのは、国一の天狗とその部下との出会い、そして旧い友人との再会における馬鹿話である。




◇◆◇◆◇




 天高く馬肥ゆる秋。


 朝日に照らされる紅と黄に染まった山、その中腹から一筋の煙が立ち上っていた。


 煙の元は、山を流れる清流の川辺でぱちぱちと音を立てて燃える炎。河原の石で組まれた簡易(かまど)には小鍋と竹筒が掛けられている。火から少し離れた所には、緑髪の少女が布団にくるまり寝息を立てていた。


 と、其処へ一人の少年が歩いて来る。年の頃は十七八、獣の耳と長い尾が彼が人外である事を示している。

 少年は火に歩み寄ると、手にぶら下げていた魚に何処からともなく取り出した串を通し、火の傍に突き立てる。そして布団の塊に目をやり、ぴくりと片眉を上げた。


「……朝ですよー」


 少女に向けて一言。反応は無い―――ふう、と息をつく。


「朝ですよ」

「……んぅ」


 少女に歩み寄り、小さく揺らしながらまた声を掛ける。しかし少女は眠そうにむずかって顔を布団にうずめてしまう。少年はやれやれと呟き少女に顔を寄せ―――


「……ふー」

「っひゃぁああぁう!?」


 その耳に息を吹き掛けた。




「一体何を考えてるんですかっ!」


 しばし後。

 茶碗と箸を両手に叫んだのは、少女―――地蔵菩薩尊たる四季映姫嬢である。


「映姫サマが起きねえのが悪いんですよ」


 怒る彼女に対して悪びれる様子も無くそううそぶいたのは、少年―――旅する鼬たる、俺こと八切七一である。


「もっと普通に起こしてくれれば良いじゃないですか!」

「普通に起こして起きなかったからああしたんです」


 上に悪びれる様子も無くと書いたが、実際に俺は全く悪いと思っていない。映姫嬢は地蔵の癖に低血圧らしく、非常に朝に弱い。普通に起こしても中々起きてくれないのだ。


「布団引っ剥がされるよかマシだと思って下せい」

「う……でもああ言うやり方はですね……」

「すぐ起きられたでしょ」

「へ、変な声出るじゃないですか」

「あっはっは。ひゃあーう、でしたっけ」

「……あうう」


 映姫嬢を軽くあしらい、味噌汁を啜る。本日の朝食は竹で炊いた御飯に味噌汁、焼き魚。旅の空にもかかわらずこうした朝食を食えるのは、ひとえに『窓』の御蔭おかげである。


「ま、良いから早く食べて下せいな。準備出来次第出発ですよ」

「はあ……」


 俺の言葉に溜息をつき、もそもそと焼き魚をかじる映姫嬢。既に当初の旅程から二日遅れているのだ。いざとなれば『窓』も有るのでそう急かす気は無いが、なるべく使いたくはない。旅はやはり自分の足でする物である。


「……次は首元吹いて起こすのが良いですかね……」

「不穏な独り言止めて下さい」




◇◆◇◆◇




 数刻後。


「栗」

「り……竜胆りんどう

「瓜」

「り……理屈」

「釣り」

「うー……り……あ、料理!」

「倫理」

「くう……り……り……り、利売り!」

琉球りゅうきゅう(がすり)

「…………む、う、う!」


 二人で紅葉の山をゆく俺と映姫嬢。黙々と歩くのも何なのでしりとりを教えてみたのだが、これが中々に強かった。伝家の宝刀『り』責めを使わされた程である。

 ……が、所詮凄まじい記憶力から来る圧倒的語彙を持つ俺の敵ではない。其処、大人気ないとか言わない。


「卑怯です! さっきからりばっかりじゃないですか!」

「いや、そう言う遊びですってば」

「……初心者相手に手加減しようって気は無いんですか」

「映姫サマが案外強かったからですよ。途中までは手加減してましたし」


 むくれる映姫嬢を苦笑しながら宥める。映姫嬢はそっぽを向いてぶつぶつ呟いている。


「むう……大体何なんですかリューキューガスリって……」

「あれ、琉球王国知りませんか?」

「……知っています。確か、南方の小さな島国だと」

「ええ、良い所ですよ。文化や自然が非常に独特でしてね、伝承も興味深いのが多くて。琉球絣ってな其処の織物です」

「……本当に色んな所に行ってますね、八切さんは」

「ま、ですねえ。大陸に渡った事ぁねえですが」


 俺がこの国を出るとすれば、それは『過去』を全て見終えた後だろう。俺にとっても『未来』である時が来るまでは、此処で蒐集を続けるのだ。


「それにしても……」

「はい?」

「この辺りは、妙に妖精が騒がしいですね」

「ああ……妖精ですか」


 ……妖精。


 概ね楽しいこの世界において、俺が少々気に入らぬ数少ない事柄の一ツである。

 彼女等の本質は自然の具現。ありとあらゆる場所に姿を見せる、原義における魑魅魍魎―――魑魅は山林の精、魍魎は山水木石等の自然物の精―――な存在である。知能は低く悪戯好き、しかし人に深刻な危害を加える事はまず無い。


 問題はその姿。背中に半透明の翅を生やした少女―――どう見ても西洋産である。フェアリーである。

 更に名前も『妖精』だ。そもそも妖精と言う言葉は訳語であるからして、今の日本で使われる名前な筈がないのだ……その程度の食い違いなら今までにも沢山あったが。


 で何が気に入らないかと言うと、ぶっちゃけ雰囲気にそぐわない。天狗とか河童とかそう言うのに混ざってフェアリーである。国に帰れと言いたくなる。まあ、既に千五百年超経つ訳だから慣れてはいるのだ。でもやっぱり何かが違う。それだけと言えばそれだけであるし、別に嫌いだと言う訳ではないのだが。


「……確かに騒いでますねえ」


 で、その妖精が先程からやけに活発である。普通なら人が通っても遠くから見ているだけなのだが、本日はどうやら興奮している様で、うきゃー等と叫びながら突撃して来ては俺の尾に弾かれ目を回している。正直欝陶しい。


「妖精が騒ぐって事ぁつまり、何かが起こってんでしょうね」

「何かが?」

「ええ。妖精は自然の権化、変化に非常に敏感です。近くで何等かの『異変』が有れば真っ先に反応する」

「異変―――ですか」

「はい。例えば大規模な自然の変化、例えば大きな神事、例えば―――」


 ―――と、言いかけた所で。


 今居る山のもう一ツ向こう、目的地である山の上空辺りから大勢の叫ぶ声―――喊声が響き渡った。見上げると、沢山の小さな影が二群に別れて空を駆けぶつかり合っている。


「……例えば、妖怪同士の戦ですね」


 それは、天狗達の争いであった。




◇◆◇◆◇




「なるべく離れないで下せいな」

「分かっています」


 天狗達に見付からぬ様、自身を中心に展開した認識遮断結界で身を隠しつつ山へ向かう。

 今の時期に此処で天狗が戦争したなんて記憶は無いし、多いとは言え三百人程。ただの小競り合い程度の物だと思うのだが、取り敢えず状況を知らねばなるまい。


 とまあそんな訳で、最速早足で以て山道を抜け目的地の麓に到着。頭上は闘争の中心、時折そう離れてはいない所を天狗が掠めて飛んでゆく。あちこちで弾ける妖力弾―――。


 ……妖力弾。

 昨今妖怪達の間に広りつつある、妖力を固めて撃つだけの簡単な技術である。

 つい百年程前、何処ぞの物好きな妖怪が人間の霊力繰りを真似て編み出したそうだ。雑魚妖怪や妖術の苦手な者にも容易に扱え燃費は良く威力の程も自由自在、使用者によっては連射速射に追尾弾すら可能な超便利技法。……そんな便利な代物が今まで生み出されていなかった辺り、妖怪の向上心の無さと言うか人間との違いと言うモノを感じたり感じなかったり。


 さてさてそんな訳で、もし使えないと「えー妖力弾も撃てないのダサーい」なレベルで妖怪人口に膾炙する妖力弾であるが―――。



 ぶっちゃけ。俺は使えない。



 妖力の操作には自信がある。熟達している、と言っても過言ではない筈だ。妖術式は思い通りに組めるし結界も完璧、妖力による身体強化なんて器用な真似も出来る。

 ただ、妖力を身体や術式の外で扱うのが壊滅的に苦手なのだ。妖力を妖力のまま体外に出すとすぐに霧散してしまう。固めるなぞ以ての外、撃つなぞ夢のまた夢。


 ……まあ。『切断』と言う強力な攻撃手段を思えば、何の問題も無いのだけれど。



 閑話休題。

 映姫嬢と共に空を見上げる。


「……一体、何の喧嘩でしょうか」

「はってさて」


 映姫嬢の問いに首を傾げる。天駆ける天狗達の中に雰囲気の違う者は居ない―――つまり全員同じ山の者。となるとこれは内戦、内輪揉めだと言う事になる。

 天狗が男ばかりなのも気になる。と言うのもこの世界の妖怪、女が多いのだ。特に有力な奴は、俺や霞楽・傀然の様な例外を除けば軒並み女である。嗚呼女尊男卑。


 ともあれ見ているだけでは埒が明かない。俯いて首を捻り、一人捕まえて結界に引きずり込んで尋問してみようか等と、少々物騒な事を考えた―――その時であった。


「―――ぁぁぁぁぁぁ」

「ん?」

「え?」


 上空からの声。見上げると、天狗が一人此方へ降って来ている。このままだとぶつかりそうで危ないので、ひょいと映姫嬢を抱き上げ素早く後ろに一歩下がる。


「ぁぁぁああああああうば!?」

「おぉう」

「ひゃわ!」


 ずどぐしゃ、と実に痛そうな音が響き渡る。大地に接吻し尻を高く上げた前衛的な格好でぴくぴくしている天狗。まあ妖怪は頑丈だし大丈夫だろうが。


「……躊躇なく避けましたね、八切さん」

「そら当たったら痛いでしょ」

「いや、受け止めるとかそう言う……やっぱり良いです」


 はてさて何を言いたいのやら俺には皆目見当も付かない。付かないったら付かない。


「……うぐ」

「お?」

「ううう……い、痛ったぁ……」


 とか何とか言ってると、天狗がむくりと身体を起こした。頭を抱えて一頻ひとしきり唸ると、


「……こ」

「こ?」

「こんっのクッソボケ共があぁぁぁッ!!」

「うおぅ」


 空へ向かって絶叫した。


「人が優しぃ言うたっとったら調子乗り腐って! 俺を何じゃ思てんなコラハゲ共ォ!!」

「……えっと」

「オイ聞いとんかコラぁ! 無視しとんちゃうぞお前等一人くらいこっち向けや!」

「……おい」

「聞く気ィ無しか! 殺す! もう許さんブッ殺したる! ああああああ!!」

「うん、取り敢えず落ち着けブチ切れ天狗」

「あ痛ぁ!?」


 大阪弁の特にヤクザっぽい奴で叫び散らす天狗に、ずびしと背中に突っ込む。此処は京都だ。二三歩前に蹌踉よろめいてから此方へ向き直る天狗。


 一言で言うなら、美形。

 凛々しく輝く切れ長の眼、細く鋭い眉、すうと通った鼻筋、固く結ばれた薄い唇。少し尖った耳が人外を主張する。……ただし顔が土で汚れている。

 長い黒髪の殆どを後頭で纏め額を露出させており、前髪一房と揉上げだけをさらりと流している。見た目の年は俺と同じくらい、格好は山伏装束。長い杖を持ち、腰には葉団扇を携えている。そして一本歯の高下駄。


 この世界には珍しく、実に天狗らしい天狗である。鼻が高くないのは御愛敬。


「何じゃ手前等いきなり何すんねんボケ!」

「お前さんが人の話聞かねえからだっての」

「何やとォコラ」


 ぎん、と睨み付けて来る天狗。だがまずは顔に付いた土を払うべきであろう。教えてやる気はないが。面白いので。


「取り敢えず、この結界の中の音は外にゃ聞こえん。どんだけ叫んでも無意味だぞ」

「……結界ィ?」


 俺の言葉に周囲を見、自身が結界の内に居る事を認識する。と同時にもっと訝しげな顔になり俺を再度睨んだ。しかし顔には土が以下略。


「……何モンじゃ、手前。ウチの山で何しとる」

「人に名を聞く時はまず自分から……と言いたい所だが、今回俺は一方的に侵入者だからなあ。素直に答えてやろ」

「ええから早よえやダボ」

「せっかちは損するぞ……待て落ち着け杖を下ろせ。俺ぁ鼬の妖獣八切七一、此方地蔵の四季映姫サマ。遠くから天狗の喧嘩を見て理由を探りに来た」

「鼬にィ……地蔵様?」


 と俺の後ろに居た映姫嬢を目にし、


「何やい、地蔵様とそん連れか。ならええわ」

「って、ええんですか……じゃなくて、良いんですかそんなあっさり」

「ええんです。俺等親仏派やし」


 あっさり警戒を解いた。まあ何方かと言うと映姫嬢が連れなのだが、わざわざ言う必要はあるまい。


「さて、お前さんは」

「ああ俺か? ……俺は、愛宕山太郎坊。こん愛宕山の長じゃ」

「えっ」

「えって何じゃコラえって。シバくぞハゲ」

「……八切さん、この方が」

「……ええ、どうやらその様ですね」


 ―――愛宕山太郎坊。


 この天狗こそが、今回俺がこの山―――愛宕山を訪れた理由である。


 日本八大天狗の一人にして日本の全天狗の頂点。知名度では鞍馬山僧正坊に劣るが、天狗としての格は上だ。


 さて京都南西部にある愛宕山の頂上には、全国に八百余社ある愛宕神社の総本宮があり、火伏の神社として名を知られている。今でこそこの神社の祭神は迦具土神かぐつちのかみ等であるとされているが、明治の神仏分離令以前、此処は白雲寺もしくは愛宕権現と言い、火伏の御利益は天狗によるモノだとされていたのだ。


 愛宕山信仰の歴史は、仏教の一派である修験道の祖とされる役小角えんのおづぬが若い修行僧を伴って愛宕山に登り、其処で天狗の頭領達とその眷属数万に出会った事が発端とされる。

 現れた頭領と言うのは、天竺の日良・唐の善界・そして太郎坊の三人の天狗で、『自分達は二千年前に仏の命でこの地を領し、人を利益する者である』と言った様な事を告げて姿を消したと伝えられる。


 ちなみに愛宕山には、太郎坊を筆頭にして火乱坊・三密坊・光林坊・天南坊・普賢坊・歓喜坊・東金坊の総勢八人の大天狗が棲んでおりそれぞれが眷属を従えるが、太郎坊はそれ等の頂点に立っている。


 またこの天狗には、住吉の神が『日本一の大天狗だ』と言った話や、足利政権時天下に戦乱を画す評議をしていた話等が残されている。



 ……それにしても。真逆こいつが、太郎坊天狗であったとは。


「……まあ、何時もの事かね」

「何がやねん」

「気にすんな」


 今更一々気にはすまい。


「で、太郎坊よ……」

「愛宕」

「うん?」

「愛宕って呼びィ。そっちん名前嫌いじゃ」

「……さよか。んじゃ愛宕よ、聞きてえ事があんのだが」

「言うてみ」


 太郎坊の名が嫌い、と。何と無く親近感を抱く俺である。まあ誰もが忘れてそうな昔の話だが。


「一体何だってあの天狗達は喧嘩してんだ?」

「……知らん」

「え? 知らん、て……んな訳ねえだろ」

「あの、貴方はこの山の長なのでは?」

「せやけど……知らん。分からん」


 愛宕は腕を組み空を睨み、唇を尖らす。ただし顔土。


「あいつ等、いきなり喧嘩おっ始め腐って理由聞いても言おうとせんのじゃ。俺以外の大天狗共すらあん中におる……いや、むしろ中心じゃ。止めよ思たら叩き落とされたし……ああまた腹立ってきた」

「どうどう、落ち着け」

「俺は馬か!」


 流石大阪弁、素早くかつ鋭いツッコミである。此処は京都だが。


「しっかしまあ、長にすら原因不明の喧嘩か……心当たりもねえのか?」

「……大天狗七人が、若い奴等と年食った奴等に分かれて争っとる。分かっとるんはそれだけや」

「若者と年寄りの対立、ですか……。良くある構図ではありますが」


 だが結局、それ以上は何も分からないと言う事か。さて困った。


「やっぱ一人捕まえて尋問でも」

「や、八切さんそれはちょっと……」

「……せやな、それがええかも知らん」

「同意!?」


 あっさり頷く愛宕。ならば同意も得られた事であるし、さてどいつを捕らえるかと顔を上へ向け、



 ―――一閃。黒い奔流が、見上げた空を駆け抜けた。



「……は?」

「……へ?」

「……え?」


 二閃、三閃。揃ってぽかんとする俺達三人の目の前で、極太の光線が天狗の群れを刺し貫く。撃墜された天狗達がばらばらと落ちて来る。


「な……何や、アイツは……!?」


 光線の元は、天狗の群れから少し離れた空に立つ一人の男。空気を揺るがす様な砲撃を平然と連射している。……と、言うか―――あいつは。


「……映姫サマ。ちょいと此処で待ってて下せい」

「え?」


 映姫嬢にそれだけ言い残し、結界はその場に置いたまま地を蹴った。我に返って追い掛けて来る愛宕を尻目に空を走り抜ける。


「遮断結界―――『盾』!」


 天狗達と男の間に飛び込み、防御用の結界を発動。例によって名前がアレだが今はどうでも良い。ばりばりと凄まじい音を立てつつも黒い砲撃が弾かれた。


「うん……?」


 男がそれを見て攻撃の手を止めた。俺を見て首を傾げている。

 と其処に、一歩遅れて愛宕が飛び込んで来た。


「おうおうおう何や手前コラぁ! ウチの眷属共に何してくれとんねん!!」


 男にびしぃと指を突き付け高らかに叫ぶ。誰がどう聞いてもヤクザの因縁付けである。そして顔土。


「……おぉ!」


 と、首を傾げていた男がぽんと手を打つ。そして愛宕は無視して俺を指差し、こう宣ったのである。


「やあ―――七一君じゃあないか。久し振りだねえ」


 ……男の実にのんきなその言葉を聞いて俺は深々と溜息をつきつつ、


「……前々から化け物みてえな奴だとは思ってたが、ホントの化け物になってるたあ思わなかったぞ―――」


 その男の名を、呼んだのであった。


「―――なあ、晴明よ」




◇◆◇◆◇




 安倍晴明。


 平安時代中期の陰陽師である。


 陰陽師加茂忠行・保憲父子に陰陽道と天文道を学び、大膳大夫・左京大夫・天文博士等を歴任。天文を見てあらゆる事を予知し、式神を駆使したと『今昔物語集』等に伝わっている。

 その子孫は土御門家と呼ばれ長らく栄え、安倍氏は晴明一代にして師である忠行の加茂氏と並ぶ高名な陰陽家となったのである。


 その卓越した技能は数々の伝説的逸話を生み、その為彼の死後日本中に彼を祀る神社が建ち、また後代の同業者達はその力にあやかるべく彼を信仰したと言う。


 ちなみに彼の父親は説がいくつかありはっきりしない。

 また母親については、『信太妻』と言う有名な伝説がある。

 信太の森に住む女狐が人間の男と結婚し子を成すが正体を見破られ去ってゆくと言う典型的な異類婚姻譚なのだが、この狐と人間の子が安倍晴明だ、と言うのである。

 ただこれはあくまでも後世の創作、晴明が狐の子であると言う話が文献に登場するのは江戸時代になってからだ。この話で晴明の父とされる安倍保名なる人物も架空の存在に過ぎないのである。



 ―――と、まあ。安倍晴明とはそう言う人物なのだが。


「いやあ、本当に久し振りだ。五百年くらいになるのかな?」

「まあそんくらいになるだろぉな」


 この場にそぐわないのんびりした態度で言葉を続ける晴明。五百年経っても全く変わっていない。


「にしても、何で生きてんだ。俺の記憶が正しけりゃ、五百年前のお前さんは人間離れしつつもぎりぎり人間だった筈なんだが」

「いや、諸事情により辞めちゃってねえ。……君なら分かる、と言うか覚えてると思うけど」

「……まあ、お前さんが人間辞めてまで永らえる理由は一ツしかねえやな。正直分かりたくもねえが」

「はは、そう言うなよ」


 そこそこ長い黒髪、整った顔立ち。ほぼ閉じている様に見える程細められた目は、実は本当に閉じていて何かの術的なアレで辺りを視ているのではないか等と無駄な疑いを覚えさせる。

 外見年齢は二十代半ば、最後に見た姿よりも大分若返っているが、雰囲気は変わらず老人の様……まあ、若い頃からこんな風だったが。服装は平安貴族風な白と紫の着物、五百年前にも使っていた彼の仕事着である。


「……おい、鼬」

「うん?」


 後ろからの声に振り返ると、其処には憮然とした顔の愛宕。


「アレ、知り合いなんか」

「うむ。まあな」

「……何モンや?」

「んー。お前さんも名前くらいは知ってると思うが……あいつは安倍晴明だ」

「……安倍ぇ? 安倍……、って安倍晴明ィ!?」


 目を見開きのけ反る愛宕。驚き方が大袈裟である。


「安倍晴明て……平安の陰陽師やろ。何で生きとんねん」

「人間辞めたんだろ」

「辞めたてお前、んな簡単に……」

「まあ元々半分人外みてえな奴だったしなあ」


 少なくとも、八雲を倒し得る人間を俺は彼以外に知らない。まあ、今となっては人間ではない訳だが。


「……んな凄い奴には見えんのやけど」


 晴明に目をやり片眉を下げ口をへの字にする愛宕。晴明はと言うと、のほほんと笑っている。


「何言ってんだ、さっきの見てたろぉに」

「まあ、せやけど……」

「陰陽師としちゃ一流だよあいつぁ。……ただ変態だから気ぃ付けろ」

「いや変態て」

「良い人そうに見えますけど」

「いぃえ変態ですよ。特に映姫サマは……ゲェッ映姫サマ!?」


 気付けば隣には、何時の間に上がって来たのやら映姫嬢が。


「ゲェッとは何ですかゲェッとは」

「いやいや待っててって言ったじゃないですか」

「良いじゃないですか別に」

「駄目だから言うんでしょうに……」


 頬を膨らます映姫嬢、置いて行ったのを怒っているらしい。一応彼女の為であったのだが……まあ、来てしまった物は仕方がない。なる様になろう。

 と、晴明が此方へ寄って来た。


「七一君、其方の方は?」

「ん? 愛宕か?」

「……愛宕山太郎坊や。此処の山の長を」

「いえ、君じゃなく其方のお嬢さん」

「え? あ、私は地蔵の四季映姫と申します」

「ああ、これは御丁寧に。私は安倍晴明、一介の陰陽師だよ」

「…………」


 思いっ切り無視されて額に青筋を浮かべる愛宕。しかしこいつはもう少し部下を気に掛けてやるべきである。


「時に愛宕。後ろの連中は良いのか」

「あぁん? ……わ」


 俺の言葉に後ろへ振り向き、わたわたと飛んで行く愛宕。流石にこの状況では喧嘩も続かず、天狗達は此方を伺っていた。


「……さて、晴明」

「ん、何かな」


 愛宕を見送りくるりと向き直り声を掛ける。のへーと笑いながら映姫嬢と話していた晴明が此方へ顔を向けた。


「色々話して貰おうか。何だっていきなり天狗に攻撃したのか、とかな」

「うん、それはねえ……」

「あーいや、その前に」


 話し始めようとする晴明を制し、すっと指を立て下へ向ける。


「立ち話、もとい飛び話も何だ。一旦下に降りようぜ」




◇◆◇◆◇




 さて数分後。

 愛宕山頂上付近、そこそこ大きな木の下に、十数の人外が座り並んでいた。


 その内の一人がすっと立ち上がって全員を鋭い眼で眺め回し、重々しくその口を開く。


「―――第五回、愛宕山争乱原因究明会議ー! いえーどんどんぱふー」

「……まだ第一回やろ」

「……え、ツッコミ所其処?」


 さてこの場に居るのは全十一人。


 木に背を向けて立つ俺、隣に正座している映姫嬢。

 向かって左、石に腰掛けてにこにこしている晴明。

 その反対側、厳しい顔で胡座をかいている愛宕と、その後ろでずらりと座っている……と言うか愛宕に座らされている殺気立った顔の大天狗七人。その殺気を向けられている晴明は何処吹く風と言った様子だが。


「取り敢えずまあ、天狗諸君に自己紹介と行こうか。俺は八切七一、しがない普通の鼬だ。で此方は」

「地蔵の四季映姫です」

「……」


 映姫嬢にだけ無言で頭を下げる大天狗達。まあ地蔵と一緒に居るとはいえ、素性も知れぬ妖獣にそうそう気は許すまい。今の状況では尚更である。


「さて、誰に何から聞こうか―――」

「待つが良い、鼬」

「うん?」


 と、口を開いたは大天狗が一人、左から三番目の見る限り最も年配らしい天狗……面倒なので大天狗Cとする。左から順にABCDEFG。


「おい何やその……海老死出? ってお経は」

「西洋のイロハだ、気にすんな」

「……だったらイロハで良いんじゃないでしょうか」

「むむむ」

「何がむむむやねん」

「ええい話を聞かんか」


 さらっと無視され額に青筋を浮かべる大天狗C改め大天狗ハ。しかし話を切ったのは俺ではなく愛宕である。


「究明会議だか何だか知らんが、これは我等天狗内輪の問題である。通りすがりの無関係な鼬なぞに話す事は何も無い!」

「その通りじゃ」

「疾く去ね」


 かんっ、と杖で地を突き気炎を上げる大天狗ハ。そして追従する大天狗ホ及びト。いずれも年のいった天狗である。


「……尚、儂の名はしいにもハにも非ず。愛宕山八大天狗が一人、普賢坊である」

「同じく東金坊じゃ」

「同じく天南坊なり」


 一応気にしていたらしい。


「……まあ確かに、俺は通りすがりの無関係かつ無責任な鼬だが」

「いや何増やしてるんですか」

「事実だッ!」

「威張んなボケ」

「……」


 激しく脱線する会話に、無言で苦々しげな顔をする大天狗ハ改め普賢坊。俺は悪くない。


「だがしかし! これを見ても同じ口が利けるかな―――」


 しゅばぁ、と『窓』を開いて手を突っ込みソレを取り出し高く掲げる。


「ててーん!」

「……煙管キセル?」

「おう。煙管」

「いや……だから何なのだ」

「んっふっふ……聞いて驚け。こいつは」

「ああー! ソレ鞍馬の爺の煙管やないか!」

「……言わせろよぅ」


 まあ、そうである。


 コレはかの鞍馬山僧正坊天狗が愛用していた煙管と同じ品なのだ。大分前に親しくなった折、友好の印にと送られたのである。……尚、当然ながら使いさし等ではない。念の為。


「時々吸ってる所見ましたけど……その煙管、そんな凄い物だったんですね」

「煙管自体は若干高価なだけの普通の代物ですよ。格好付けたい時くらいしか吸いやせんし」

「……格好付けてたんですか」


 微妙な表情の映姫嬢。と、愛宕が何か思い出した様に声を上げた。


「……待てや。鞍馬の爺と親しい鼬、て―――お前真逆、八切七一か!?」

「え? いや、既に二回名乗ってるが……」

「……」

「……」


 そして流れる若干居た堪れない空気。自分の配下と映姫嬢の視線に顔を赤らめる愛宕。


「え―――ええやろ。分かった」

「うむ?」

「鞍馬の爺から話は聞いとる、変ではあるがええ奴やとな。お前等もええな?」

「……僧正坊殿の友人であれば、信用せざるを得ますまい」

「そうじゃのう」

「然り然り」


 渋々と言った風で頷く普賢坊、そしてまた追従する天南坊と東金坊。こいつ等本当はどうでも良いんじゃなかろうか。


「んじゃ、納得して貰えた所で……晴明!」

「うん?」


 俺の声に晴明が此方を向く。ちなみにこいつは今まで、何やら手持ちの札を数えては他の大天狗四人の警戒を無駄に買っていた。空気読め。


「まずはお前に質問だ。何で天狗に攻撃撃ち込んだ?」

「仕事だよ。陰陽師のね」

「仕事ォ? 誰からのや」

「そりゃまあ、近隣住民の皆さん」

「……成る程」


 聞いた話ではあの喧嘩、既に今日で三日目だそうだ。例え霊山の天狗様方であろうと、流石に止めるよう依頼が行くのも自然な話だろうか。


「ってか、お前さんまだ陰陽師の仕事してんのか」

「普段は旅してるんだけどね。路銀が尽きちゃった物だから」

「通りすがった土地で仕事受けた、てぇ事か」

「そう言う事」


 此処では火伏の神の眷属である天狗、また羽虫であると考えれば五行に当て嵌め火である。即ち水克火の黒い水気を撃ち込んだ、と。


「しっかし……喧嘩止めに来ただけならあそこまでしなくとも」

「霊山の天狗だからねえ。ちょっとくらい良いかなあなんて」

「お前さんのちょっとはちょっとじゃねえよ。水克火どころか水乗火じゃねえか」


 あの砲撃を受けた天狗、半数以上がしばらく再起不能だそうである。オーバーキル。


「まあ、お前さんの方はそれで良いわ。……次は大天狗の方々だな」

「……む」

「さぁて一体何故喧嘩してたのか、きりきり吐いて下せいな」


 視線を向けると渋い顔をする大天狗達。そして何やら目配せし合い、一人の若い大天狗―――大天狗ロが口を開く。


「……悪いが、話せん」

「そりゃまたどうして」

「貴公なら―――あの僧正坊殿の友人と言うなら話すのもやぶさかではない。だが……」


 すうと視線を動かし、


「……太郎坊殿には、決して聞かせられませぬ」

「んだとォ!? 何でだコラ!」

「これは、我等全員の誇りに関わる事なのです。……御容赦願います」

「私からもお願い致しまする」

「……頼みやす」

「どうか、どうか……」

「ぐ……」


 深々と頭を下げる若い大天狗達イロニヘに、怒りづらそうにする愛宕。口調の割に押しの弱い奴である。


「……尚、(それがし)の名は火乱坊だ」

「三密坊です」

「あっし光林坊」

「歓喜坊」


 ……名前は重要らしい。


「まあ……其処まで言うならしょうがねえや。要するに、愛宕に聞かさなきゃ良いんだろ」

「おい、勝手な事言うなや。俺は納得してへんぞ」

「てな訳でこうしよう」


 また『窓』を開いて手を伸ばす。するりと抜き出せば、其処には一本の木刀。あ、と映姫嬢が声を漏らす。


「……何やソレ」

「何って、木刀」

「だから木刀で何すんのかって……」

「勿論こうする」


 瞬間。とんっと軽く地を蹴った俺の体は愛宕の眼前に立ち、木刀をその首に向けて振り抜いていた。


「―――」


 ぐらり、と。声も無く倒れ伏す愛宕。目を剥いた大天狗達がいきり立って怒声を上げる。


「き―――貴様何を!」

「落ち着け落ち着け。気絶してるだけだから」

「き、気絶……?」


 大天狗の一人が愛宕の傍にしゃがみ込み、困惑した顔をする。


「ほ、本当だ……」

「確かに切った様に見えたのに」

「残念ながら木刀じゃ人は切れん……いや俺なら出来なくもないけどさ」


 さて先程の木刀は何なのか、と言う話。


 色々便利な我が能力であるが、その出来る事の内の一ツに『付加』と名付けた物がある。

 まあ要するに名前の通り、例えば刀に『切断』を付加する。さすればどんななまくら刀でも、鉄から蒟蒻こんにゃくまで断ち切れる名刀と化すのである。

 実際の所イメージし易いと言うだけである為、刃物である必要は無く、その辺の棒っ切れでも同じ事が出来るが、まあそれは置いといて。


 何時だったか、『意識を断つ』と言う奴を試した事がある。結果、極至近距離でないと使えない、大妖には効果がないと余り有用とは言えなかった訳なのだが。


 それを実用に堪え得るレベルにしたのが先程の木刀。『意識を断つ』と言うその一点に集中して強く強く刻み込んだ。当てさえすればどんな大妖怪であろうと意識を奪われる非常に素晴らしい代物である。

 ……代わりと言うか何と言うか、生物の意識以外の物は全く切れない。と言うかすり抜ける。謎である。


「―――ちなみに銘は『意断いたち』だ。どうだ良い名前だろう」

「え?」

「……良い名前だろう」

「あ、うむ……」


 ……俺はめげない。


「……八切さん、知らない方の前でそれいきなり使っちゃ駄目でしょう。私は知ってるから良いですけど、普通びっくりします」

「事前に言ったら避けられるでしょうに」


 この木刀、映姫嬢には旅の内で幾度か見せている。名前については曖昧な笑みを頂戴した。めげない。


「ともかく! 愛宕はこうして寝てる事だし、喧嘩の原因聞かせて貰おうかい」

「うむ……」


 俺は倒れた愛宕の隣に腰を下ろし、話を聞く姿勢を取った。ちなみに晴明は後ろで映姫嬢に何やら話し掛けている。空気読め。


「……先ずは、我等が長である太郎坊殿の事から話さねばなるまい」


 普賢坊はざっと自身の仲間を見回す。ゆっくりと頷く大天狗達。普賢坊は此方へ向き直ると、その口を重々しく開くのであった。




◇◆◇◆◇




「……八切殿は存じておるか? 今の太郎坊殿が二代目である事を」

「一応な。鞍馬から聞いてる」

「……二代目?」


 普賢坊と俺の会話に映姫嬢が首を傾げる。放って置かれた晴明が悲しげな顔をしているが知った事ではない。


「二代目、って……愛宕さんが?」

「そうなのですよ地蔵殿。……して八切殿、その事情については?」

「聞いてねえな」

「ふむ……では其処からか」


 普賢坊は言葉を纏める様にしばし黙考し、此方を見据えた。


「……三、四百年程前、京の都を大規模の火災が見舞った。火消しに走る我等天狗にも多くの被害が出た」

「……安元の大火か」


 安元の大火。

 平安末期の安元三年、京都を襲い数千人を焼いた大火災である。その炎は愛宕山の天狗の仕業とされ、太郎焼亡等と呼ばれる事もある。


「その火を消し止めるのに、最も尽力したのが先代の太郎坊殿―――今の太郎坊殿の父親だ」

「ほお」

「嵐をも操る法力、誰もに慕われる人徳、あれこそ長と、主と呼ぶべき方であった。前太郎坊殿は、自らの身を賭して火を消し止めたのだ」

「……ふむ」


 愛宕の父親と言うのは、随分立派な人物だったらしい。鞍馬の奴から聞いた話とは少々合わないのだが。

 と此処で、横からずいと火乱坊が割り込み口を開く。


「……さて、此処からが問題だ。人間の都の火災であるのに前太郎坊殿が命まで賭けた理由―――火災の元は、今の太郎坊殿だったのだ」

「……へえ?」


 火乱坊の言葉についと片眉を上げる。愛宕が原因、とはどう言う事か。


「現太郎坊殿の能力―――『火災を操る程度の能力』。幼かった現太郎坊殿は、その強過ぎる力を御し切れていなかった」

「……その結果が、父親の死かよ」


 隣に横たわっている愛宕の髪をすいと撫ぜる。自身の力が父親を殺した―――酷な話だ。

 と此処でずいと身を乗り出したは普賢坊。


「……それ、なのだがな」


 やけに煮え切らぬ表情。何だか非常に言い辛そうな。


「此処からの話は絶対に、太郎坊殿に聞かせられんのだが―――」

「何だか知らんが安心しろい。俺からは絶対に話さねえよ」

「私からも話しません」

「ねえ、何の話してるんだい?」

「お前もう帰れよ」


 そもそも話を聞いてない晴明は置いといて、普賢坊は同意を得る様にまた仲間を見回す。そして此方へ向き直ると、


「実は、な。死んどらんのだ」

「……は?」

「……え?」

「死んどらんのだ、前太郎坊殿」


 いや。いやいやいや。

 死んでないって―――お前。


「火を止めるのに身を賭した、と言うのは本当だ。だが―――前太郎坊殿の命は、都の三分の一を焼く火災を引き換えにしても尚十全に残る物だったのだ」

「……要するに、普通に戻って来たと」

「……無傷でな」


 愛宕の父親は随分な化け物だったらしい。しかし、生きていると言うのなら。


「それでは、その前太郎坊さんは一体今何処に」

「……前太郎坊殿は立派な方であったが、その……厄介な御人でな。しばしば行き先を告げずに姿をくらます様な」

「うおーい……真逆」

「丁度言い機会だから仕事を辞める、自分は死んだ事にしろ、現太郎坊殿にも何も言うな―――と。そう言い残して奥方と共に大陸へ旅行に」

「最悪だな……」


 全く以て最悪だ。残された愛宕がどう言う心地になるか、分からない訳じゃなかろうに。だが成る程その人物像は、鞍馬より聞いた『馬鹿』と言う評に良く合う様に思われる。

 と此処でまた火乱坊が割り込む。


「斯様な経緯を以て、現太郎坊殿は愛宕山太郎坊と呼ばれるに至ったのだ。まだ幼き現太郎坊殿を長とする事に反発も無いでは無かったが……他に適任もおらなんだのでな」

「出て行くのを止められなかったのですか?」

「我等大天狗全員が数ヶ所骨折、その他下っ端含めて二百八十七名の天狗が全治一週間から数ヶ月の怪我を負った」

「最悪だな!」


 馬鹿ってレベルじゃねえ。


「んな奴が良く日本の天狗の天辺なんてやってられたな……」

「破天荒な性格ではあれど、それを補って余り有る実力と皆を心酔させる支配力を持っていなさったのだ……」


 何ともはや、厄介な奴である。大陸旅行中との事だが何時か帰って来るのだろうか。


「まァ、愛宕が太郎坊名乗ってる経緯は分かった。んで聞きてえ事があんのだが……」


 ちらり、と。静かに横たわる愛宕に視線を落とし。


「一体何だってこいつぁよ。こんな格好(ヽヽヽヽヽ)でこんな口(ヽヽヽヽヽ)調なんだ(ヽヽヽヽ)?」


 若干キツ目だが綺麗に整った顔立ち。手入れは欠かされていないであろう、後頭で束ねられた艶やかな黒髪。山伏装束で分かり辛いが細身の身体。胸元に覗く巻き付けられた白い布。



 愛宕は、女である。




◇◆◇◆◇




「って、八切さん気付いてたんですか」


 少々驚いた様にそう言ったのは映姫嬢。


「そら気付くでしょ。目茶苦茶分かり易いじゃないですか」

「まあ、そうですけど」


 そう、そうなのだ。

 愛宕は口調や服装こそアレだが、顔立ちも体付きも一目で女性と分かるモノなのである。はっきり言って、男装が意味を為していない。


「特に何も言わないから気付いていないのかと」

「一体俺を何だと」

にぶい人、です」

「……鈍かないですよ。ええ、全く」


 何やら半眼で見てくる映姫嬢からついと眼を逸らし、大天狗達の方を見る。


「で、どうなんよ」

「……まあ、察しの通り太郎坊殿は娘だ」

「そりゃ一目で分かったて。男装の理由聞いてんの」

「うむ……」


 言葉を濁す火乱坊に、また普賢坊が割り込み口を開く。


「嘗められぬ様に、だ。女では低く見られると我等が進言したのだ」

「一目でばれる男装じゃ意味ねえじゃないの。そもそも嘗められるか、女?」


 この世界の妖怪に女が多い、と言うのは先にも述べた通り。人外に関しては、女だからと侮られる様な事はない筈だ。


「……その通り。今述べたのは表向きの理由」

「本当の理由がある、と?」

「そうだ。太郎坊殿には、父親の事以上に伝えられぬ……今回の争いの原因でもある理由」

「……ほお」


 やっと話の核心らしい。普賢坊は酷く真剣な表情で愛宕を手で示す。


「……この太郎坊殿の姿を見て、貴公はどう感ずる」

「どう、て……男装がか? まあ、元の顔がキツ目だからある意味似合っては」

「その通ォりッ!!」


 唐突に。普賢坊がくわぁっと目を見開き大声で叫ぶ。



「―――可愛いだろうッ!!」



 ……。


「……はあ?」

「……えぇ?」


 映姫嬢と二人、がくんと肩を落としぽかんと口を開ける。


「嘗められまいと虚勢を張る姿! ボロが出ぬ様一人でこっそり口調を練習する姿! 膨らんでくる胸に四苦八苦しつつもサラシを巻く姿! ……可愛いだろうッ!!」

「……何を馬鹿な!」


 と。唖然とする俺達の前で滔々と語る普賢坊に、火乱坊が反駁する。


「女子は女子らしい姿であるべきだ! 男装なぞ太郎坊殿の為にも良い筈があるか! そう……もっと、もっと露出の激しい服装をッ!!」

「ふん……馬鹿は貴様だ! 胸元に覗くサラシの美しさが分からんかこの青二才が!」

「分かりたくもあるものか老害め! 胸を! 尻を! 見たいと願う事の何がおかしい!」


 …………。


 嗚呼。

 俺は全てを諒解した。


 喧嘩の原因は性癖の不一致。年寄りと若者。ムッツリスケベとオープンスケベ。男装萌えと露出萌え。愛宕に如何なる服装を勧めるか、ただその事で、一族の男共を纏めて三日程争っていた。


 馬鹿だ。

 こいつ等は、変態と言う名の馬鹿だ。


「貴様は太郎坊殿のこの姿が可愛くないと言うのか!」

「太郎坊殿は如何様な姿でも可愛いわ! だがそれ以上に女らしい姿をすべきだ!」

「何故分からぬ……男装少女こそが至高なのだ!!」

「違うな……目に見える女の肌こそが真の美!!」


 駄目だこいつ等、早く何とかしないと。映姫嬢はと言うと思いっ切り引いている。まあ当然であるが。


 ―――が、しかし。


 この場には、もう一人の変態が―――変態と言う名の紳士が、存在していたのだ。


「―――男装? 露出? ……笑止千万ッ!!」

「何!?」

「貴様は……」

「斯様に狭い範囲で争う事に何の意味があろうか……そう!」


 異様にテンションを上げて叫ぶソレは、つい先程まで話すら聞いていなかった晴明。彼は立ち上がり頬を上気させ、完全にキャラを変えて高らかに告げる。



「この世の真理は―――幼女だッ!!」



 ………………。


 相変わらず駄目だこいつ、もはや手遅れ御愁傷様です。


「ほぼ膨らんでいないのに柔らかい胸! 小さく丸い尻! 愛くるしい寸胴の身体! 幼女! 嗚呼幼女! 幼女万歳!!」


 完全に常識の許容量を超えた事態に、石化する映姫嬢。しかし無意識の内にか、晴明からそっと距離を取る。


 ……我が友人安倍晴明は、ロリコンである。それも途徹も無く気合いの入った、実践派のロリコンである。

 彼の式は皆幼女の姿をしている。平安時代初めて会った時から彼は、幼女達を周りにはべらせていた。彼は幼女の姿をしたモノしか式にしないのである。人間を辞めたのも、末永く幼女と生きる為に違いないのだ。

 ただ彼は紳士である。自身に絶対服従となる式と言えど、同意がない限りは決して式にはしないし手も出さないのだ。


 そして以下は彼の発言―――『六歳から立派な女性、十二からは熟女、十五からは既に婆』―――。


 人間として、終わっている。


「ば―――馬鹿な! 貴様変態か!」

「変態と呼びたくば呼ぶが良い! 私の信念は小揺るぎもしないさもがもが」

「あーはいはい開き直ってんじゃねえよもう」


 映姫嬢が怯えているので、変態の後ろから『窓』より取り出した布を巻き付ける。封印式付きの無駄に上等な物である。


「……さて大天狗諸君、事情は良く分かった」


 興奮している晴明を手早く簀巻きにし、普賢坊と火乱坊の方へと向き直る。この目茶苦茶な状況、何とか納めねばなるまい。無理そうだが。


「要するにお前さん等二人は、自分と仲の良い大天狗を仲間に付けて、眷属皆巻き込んで、愛宕を巡る大喧嘩してた訳だ」

「……そうだ」

「だがなあ、お前さん等ちったあ人の趣味を受け入れるってえ事を」

「受け入れる? そんな余地は何処にも無い!」

「……うーむ」


 参ったな、と目を余所に向け、ふと他の大天狗達と目が合う―――何かに疲れた様な、彼等の目。

 ……その瞬間、この状況を終息させる方法を俺ははっきりと悟ったのだ。


「……其方の大天狗方からも、何か言ってやんな」

「……む?」

「わ、儂等か……」


 突然声を向けられてたじろぐ大天狗達。だがすぐに何か決心した様な表情になり、一人が口を開く。


「……なあ、火乱坊。もう終わりにしよう」

「な……何を言うのだ!?」

「良いじゃないか、このままで。今まで通り湯浴みや着替えを覗く程度で」

「そう言う訳にはいかん! 俺は」

「……これ以上はついていけない、と言っているんだ」

「な―――何故!?」


 一方普賢坊の方も。


「……長い付き合いのお主の頼み故協力して来たが……それももう、此処までだ」

「な、何だと……」

「喧嘩したくばするが良い……儂はもはや関わらぬ」

「何故だ―――」


 そして両方で。


「決まっている―――」

「決まっておろう―――」



「我は本当は髪が好きなんだ!」

「実は儂はうなじが好きなのだ!」



 髪フェチと項フェチであった。


「……それがしは耳が」

「な、なじられるのが」

「眼球舐めたい」


 次々と性癖を暴露するレベルの高い変態共。眼球て。映姫嬢はお経を唱えて現実逃避している。


「そっ、そんな……」

「儂は……お前達も同じこころざしを持って協力してくれているものとばかり……」

「我が眷属達は三日にも及ぶ戦いで既に疲弊しきっている……」

「これ以上、勝とうが負けようが何の益も損も無い戦いを続ける訳にはいかんのだ」


 この部分だけ抜き出して聞くと何やら重そうな話だが、実際の所フェチ集団の趣味論争である。


「……さあ、そう言う訳だ」


 ぶっちゃけ投げ遣り気味にぱんぱんと手を叩き注目を集める。この馬鹿騒ぎも何とか収拾が付きそうだ。


「人並外れた性癖が悪いとは言わん。けども、それを押し付けるなぁ宜しくない。暴力で解決しようなんざ何をか言わんや、だ……」

「そう、つまり幼女こそが」

「手前は黙ってろい」


 何時の間にか簀巻きから復活して来た晴明を遮断結界に押し込め、言葉を続ける。


「性癖とは押し付けるモンじゃねえ……受け入れ合い認め合い、しかし我が道をゆくモンなのだ!! ……ちなみに俺は脚が良い」

「……!」


 俺の言葉にくわっと目を見開く大天狗達。無駄に感銘を受けたらしい。映姫嬢は空の雲を数えている。


「……そう、か」


 何かを悟った様な表情で、普賢坊が俯く。


「済まなかったな、お前達……それに火乱坊殿も」

「いや……此方こそ。どうやら焦り過ぎていた様だ」

「これからは―――貴君等の嗜好も理解する様努めよう」

「ああ。末永く太郎坊殿を愛でていこうではないか―――!」


 仲良き事は美しきかな。こうして愛宕山の騒乱は幕を閉じたのである―――。



「―――と、言う事らしいぞ……愛宕」



 と。


 俯せに寝転んでいる愛宕へ向けた俺の言葉に、大天狗達の空気が凍る。


「……おう。しっかり聞いとったわ……最初っから最後までなあ」


 むくり、と身を起こす愛宕。そう―――愛宕はずっと目を覚ましていたのだ。


「た、た、た、太郎坊殿……」

「ななな何故起きて」

「……この鼬がな」


 最初に俺が愛宕の傍に腰を下ろした時。あの時俺は既に、認識遮断を行った上で愛宕を起こし、それ以降の話を聞かせていたのだ。


「や……八切殿! 何故斯様な真似を」

「いやァ常識的に考えて。当事者に話聞かせねえってなぁねえだろうよ」


 あっけらかんと笑う俺に、いきり立つ大天狗達……の前に、般若が立ちはだかる。


「……おいコラお前等。親父が生きとるってホンマか」

「そ、それは……」

「ホンマかって聞いとんねん早よ答えんかいこの糞ボケッ!!」

「はは、はいッ! 生きております!」

「……そぉ、か」


 愛宕は空を見上げ、唇の端を裂いた凶悪な笑みを浮かべる。


「そぉか、そぉやなあ……あの糞親父があの程度で死ぬ筈ないもんなあ……大陸の天狗様に喧嘩売って勝った、龍神様に喧嘩売って勝った、あの親父が死ぬ筈ないわなあ……」

「た、太郎坊殿……」

「ッあんのクッソ親父ィィィッ!! 何なコラ丁度ええから仕事辞めるて! 殺す! 帰って来たら……絶ッ対に、焼き殺すッ!!」


 ぐわぁ、と気炎を―――否、能力で生み出したか本物の火炎を上げる愛宕。ただその怒りが向かう先は、今何処に居るかも知れぬ父親だけではない。


「……おうコラお前等」

「ひぃ」

「あん時お前等は言うたな……女は嘗められるからこんな格好せえと……女は嘗められるからこんな喋り方せえと」

「……は、はい」

「でそのホンマの理由が……何や? あ? 可愛いから? 何、お前等巫山戯とんの?」

「―――こ」


 気丈にも。

 普賢坊はぐっと胸を張り、高らかに宣言する。


「後悔はしていないッ!」

「巫ッ山戯んなあああ!!」


 爆音。

 『火災を操る程度の能力』―――その名に恥じない正に火の災いが、普賢坊を飲み込んだ。


「お、俺がどんな思いでこんな格好しとる思てんな! この口調ももう染み付いて取れへんのやぞ! うわあああん!」

「後悔……する……ものか……がふっ」

「ふ、普賢坊殿ーッ!」

「お前等もやーッ!!」


 轟音。

 視界を覆わんばかりの凄まじい火柱が立ち上り、大天狗達を吹き飛ばす。


「知るか! もう知るかッ! 全員死ねッ失せろお前等あああ!!」

「ぎゃー!」

「ぬおおおっ」


 正に地獄絵図。灼熱地獄。今愛宕山の頂上は火炎に包まれている。山火事である。


「……いやー大変だなあ」

「い、言ってる場合ですか!」


 呑気に眺めていると、何時の間にやら復活したらしい映姫嬢がわたわたしている。


「にに逃げなくて良いんですかこれ!?」

「俺ぁ狙われる理由ないですものよ。むしろ感謝されのわあぁ!?」

「きゃー!?」

「お前も失せろぉお!!」


 無差別であった。これは拙いと映姫嬢を小脇に抱え、結界に身を包みながら素早く退避を開始する。


「あははははッ! 燃えろ! 皆燃えろ! 全部失せてまえぇえ!!」

「うおお」


 愛宕が壊れている。背後で幾度も弾ける熱と光と音に身を竦めつつ、愛宕山上空を走り抜ける。

 ……あっ。


「晴明……」


 お前の犠牲は忘れない……何て。まあ殺しても死なない様なあいつの事、きっと逃げ延びている事だろう。

 とにもかくにも、今は退避である―――。


「……あの、八切さん」

「何です? どうでも良い事なら後に」

「その……さっきの脚が好きって」

「えっ」




 ―――この愛宕山の半分以上を焼いて唐突に消えた火災は、後に『第二の太郎焼亡』と呼ばれた―――かどうかは、定かでは無いけれど。

 風の噂に聞いた所では、愛宕はこの後も太郎坊として愛宕山を守り続け、立派に責務を務めたと言う。



 そして俺と映姫嬢は、まだしばらく同行を続ける。そう―――




 ―――俺達の旅は、まだ終わらない!


第一部・完


辰松先生の次回作にご期待下さい!

 

……何て。本当に第一部終了なだけですが。




今回は天狗の話、河童と肩を並べる有名妖怪。その中でも一際名の知れた鞍馬天狗―――は名前だけ、ちょっと知名度は劣るものの日本トップ天狗である愛宕山太郎坊をアレコレ致しました。


男装少女、良いよね。



あと、安倍晴明。

こっちは前回の眼鏡河童以上に誰も覚えていないであろう伏線もどきからやっと現れました。やっぱりアレコレされてます。


YESロリータ、NOタッチ。




今回のオリキャラについて。




愛宕山太郎坊


日本一の大天狗。の二代目。

『火災を操る程度の能力』。

『愛宕』は幼い頃の呼び名。命名父親。

姓(?)と合わせて愛宕山愛宕とおかしな事になるが、本人は太郎坊よりは可愛いと思い気に入っている。

ヤクザっぽい関西弁、男装俺っ娘。

しかしその実、魔理沙並(作者の勝手なイメージ)の乙女。

男装と口調は他の天狗に、実際の所微笑ましげな眼で見られている。

カリスマは無いが人望はあるんじゃないかなあ。




愛宕山の大天狗達七人


爺が普賢坊・天南坊・東金坊。

若いのが火乱坊・三密坊・光林坊・歓喜坊。

一部能力持ち。しかし七人中一番強いのは能力無しの普賢坊。

全員変態と言う名の馬鹿。愛宕の男装と関西弁の根源達。

サラシ、マゾ、項。

普通に助平、髪、眼球ぺろぺろ、耳。




愛宕山太郎坊(先代)


カリスマ的馬鹿。

滅法強い。

妻と共に世界旅行中。今は多分エジプト辺り。

ちなみに、妻は割と良識的な方。ただし酷い天然。

二人共出る予定は今の所無い。




安倍晴明


平安の陰陽師。

幻想郷の魔女達風に言うなら『陰陽道を使う程度の能力』。

出鱈目な強さ。普通にチート。ゆかりんのにばいくらいつよいよ! 多分。

性格は至って温厚。しかしロリコン。式は皆幼女。

変態と言う名の紳士。合意がなければ式にはしないし手も出さない(性的な意味で)。合意があれば手を出す(性的な意味で)。一応式達には好かれている。

幼女の為に人間を辞めた人間。幻想郷の種族魔法使い連中と大体同じと考えれば良し。ただし寿命は遥かに長い。

幻想入りしたら色々と危なそうな人。




以上。



※追記。

rapukaサマに鼬の絵を描いていただきました。

pixivにて「rapuka」で検索との事。

とりあえず凄まじく上手いです。勿体無いほどに上手いです。是非。




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