最終話 ちなみに誤解は困ります
前回、離婚の種類に関して偉そうに語りましたが、それぞれの割合を紹介します。
令和5年度の調査で約87%の方が協議離婚を選択しています。残り10%が調停離婚、その更に残り数%が審判離婚と裁判離婚になります。前回紹介した、調停離婚を経験済みというpusugaとかいう輩に、私は聞きました。
「離婚調停はどうでしたか?」と。
最初別室で個別にそれぞれの言いぶんを聞き、30分後くらいに裁判官から子供の親権や養育費に関してなどの提案があり、お互いが合意すると同じ部屋で顔を合わせて署名――
そんな流れだったそうです。もう二度とやりたくないと話していました。当たり前ですがね。
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奥様は最後にこうお話しされ、事務所を後にしました。
「ちなみに、太宰さんのお察しの通りクロであった場合は離婚する事を決めていました。ちなみに学生の時は恋愛感情だけが先行していたので、二股の相手に負けたくない……そんなベクトルで物事を判断していました。ちなみに今は結婚生活を続けるって事は気持ちだけでない、色々なものさしで測らなければならない事を知りました。だから、ちなみに私は決断は早い方が……ちなみに、子供が小さいうちに……そういう選択をしました。ですので、ちなみに証拠写真お願い致します」
「かしこまりました」
奥様はクロだと判明したら即離婚の覚悟をしていたと話していましたが、やはりかなり動揺していますね。ちなみにがおかしな事になっていますから。
奥様が今後の夫婦関係の維持に関して、どのような選択・決断をするかは私は干渉や意見はしません。私の仕事は、シロかクロか? を調べる事。及びその根拠となる証拠を形にして残すのが仕事ですから。
三日後、順当にご主人と浮気相手が待ち合わせした現場、浮気相手が運転する車へ乗車、ホテルへの入店の三点セットの写真を撮影。奥様にお渡しし、今回の調査は終えました。
ちなみにその後は、浮気相手が賠償金の支払いを拒否した為に、弁護士を入れて審判離婚までいったそうですが、無事に離婚が成立。ちなみに賠償金は浮気相手50万、ご主人350万、月の養育費三万の支払いで和解成立したそうです。
そして和解成立から一ヶ月後、奥様からお電話があり、以下の会話を致しました。この内容をもって今回の離婚問題話は終わりと致します。
『太宰さん。ちなみに先日はお世話になりました』
『メール拝見致しました。ちなみに落ち着かれたようで何よりです』
『はい。ちなみに今は実家に引っ越しで同居しています』
『さようでございますか。ちなみにお仕事を始めたとメールに書いてありましたが?』
『はい。ちなみに地元の……実は探偵事務所で事務の仕事を……』
『え?』
『ちなみに、太宰さんのところみたいに浮気専門ではないですが』
『さようでございますか』
『あ、ちなみにもしまた上京したら太宰さんのところで雇って頂けますか?』
『……』
ちなみに全力でお断りさせて頂きました。ちなみにはもうお腹いっぱいですから。
〈完〉
あとがき
読んで頂きありがとうございます!
そうです。このシリーズは、私が調停までしたという経験をフル活用して書いている物語です。
もちろん実際はもっとドロドロしています。結婚するより離婚は十倍大変という定説がありますが、本当です。
だから皆様も決して浮気はしないようにして下さいね。
ちなみに勘違いされてる方がいると思いますが、私は浮気していません。お互い、口約束だけではなく形にしよう――そう考えたからです。今だから思うのですが、そういう考えがお互い一致した時点で、夫婦としての信頼関係は崩壊していました……と思いますね。人生色々なんですが前向きに創作活動頑張りますので、皆様も!