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ちなみに……

 ここで皆様に、とあるニュースサイトで掲載されていた心理テストを紹介します。

【質問】

あなたが街を歩いていると、綺麗な女性を見かけました。

思わず目で追ってしまうあなたを見た恋人が、あなたに「どうしてあの人を見ているの?」と尋ねてきました。

あなたはどのように答えますか?

次のA~Dのなかから選んでください。

A 「綺麗だったから思わず……」

B 「知り合いの人だと思った」

C「君も綺麗だよ」

D「別にいいだろ」

さあ、選んで下さい。


ポク



ポク



ポク



チン……じゃなかったチ〜ンです。

しっかり伸ばさないとR18になってしまいますからね。ましてや連呼しようものなら、さあ大変。

失礼致しました。


Aを選んだ方は浮気しやすさ20%です。

つまり、正直なあなたは一途で浮気する事はないでしょう。


Bを選んだ方は浮気しやすさ40%です。

明らかに慌てています。咄嗟に嘘をついたあなたは内心「綺麗な方だな」と思っています。こういう方は自分からは行きませんが誘惑に弱い傾向があります。


Cを選んだ方は浮気しやすさ60%です。

明らかに浮気慣れしてるきな臭い男です。「君も綺麗だよ」という事は「あの人も綺麗」という事です。つまり、二股をかける可能性が高いという事になります。


Dを選んだ方は浮気しやすさ80%です。

完全に開き直っているデリカシーの欠片もない男です。


C、Dを選んだパートナーがいる方は太宰探偵事務所が相談に乗ります。ちなみに相談料は1時間まで無料サービス致します。


◇◆◇◆◇◆


 「太宰さん。今回はありがとうございました。ちなみに今日はしっかりと心の準備をしてきました。あ、あとちなみに今日は実家から父も来てもらって子供の面倒を観てもらっています」

「さようでございますか」

 あいも変わらず、ちなみに……ですか?


 リビングで的外れな奥様のひらめきを聞いた10日後……再調査も終了し、報告の為に奥様に来所頂きました。着席、対峙するなりちなみにの連呼洗礼を浴びて、私は若干イラっとしています。


「奥様、まず最初に私は奥様にお詫びしなければなりません。ちなみに、これは調査結果のネタバレになります」

「え? と、言う事は……主人は……クロ……ですか?」

「はい」

 

 奥様による執念の女の勘は実を結びました――この表現は誤解がありますね。失礼しました。

 再調査は外食をしている店に的を絞り、従業員も含め徹底的に調査しました。


「ち、ちなみに……相手は……」

「はい。ちなみに、浮気相手は外食をしている店の女性従業員でした」

「そうですか……ちなみに年齢は?」

「相手は24歳。ちなみに奥様と同じ6月9日生まれです」

「え? すごい偶然ですね……あ、ちなみにさっきも言いましたが、心の準備はしてきましたから泣きませんので続けて下さい」

 そう言いながらも目に涙をためる奥様を見て、私はイラつきから冷静に戻りました。

「ご主人はこの再調査期間中に3度外食をしました。ちなみにお弁当に手をつけない日も3日間で間違えありませんか?」

「はい……ちなみに帰宅時間は同じでした……」

「そうですね。私共も確認しております――最初の外食時に調査員1名が客を装い二つ隣の席に着席しました。その時に、明らかに接客ではない雑談を二言三言ですが、笑顔でしていました。けれどもよく聞き取れませんでした」

「はい」

「そこで2回目からは、6名に増員し同様に客を装い、極力ご主人と同時に入店するように待ち構え対応致しました」

「はい……」

「そして、3回目にその場でメモを記入して渡すのを確認しました。内容は明後日の18時に二つ隣の駅前で待ち合わせというものでした」

「え? ちなみに明後日って今日から数えてですか?」

「はい。さようでございます。つまり、まだ不貞行為はしていません。恐らく明後日にするかと察します」

「……ち、ちなみに主人は明後日から二泊三日で出張と今日の朝、突然言ってきました……」

「なるほど。間違いないようですね。ちなみにどこへ行くと話されていましたか?」

「支社がある韓国です」

「……韓国ですか……奥様、ちなみにご主人の会社、韓国に支社はありません。タイ、ネパール、インドネシアにしかありません」

「……太宰さん……ちなみに……ちょっとだけ泣かして下さい」

「はい。お気持ちお察しします」

 私は立ち上がり奥様の背中をさすりました。ハンカチを折って涙をぬぐっていますが、涙の量に追いついておらず、ポタポタと机にこぼれ落ちています。

「だ、だざいざん……あ、あざっでになぜ不貞行為が……」

 私は背中をさすったまま話を続けました。

「奥様。ちなみに、浮気相手は学生時代の女性です」

「……え? まさか?!」

「はい。先日お聞きした、ご主人が奥様とお付き合いをした時に二股をかけていた女性です」

「……」

 その時、奥様の涙は一瞬にして干からび、表情も元に戻りました。

「その女性が店の従業員になったのも半年前です。ここからは推測になりますが聞いて下さい」

「はい」

「半年前、偶然にも彼女と再会したご主人――最初は終わった人、つまり過去の女性でした。そして今は、多忙な仕事や結婚している身。自重していたのではないでしょうか? それが最近になり急接近。昔話から始まり、それが……」

「わかりました」

「まだ不貞行為未遂ですので、私としては出張の嘘を追求する形で話をしてみたらどうでしょうか? そのように思いますが」

「いいえ。太宰さん、ここは泳がして下さい」

「泳がす? とは?」

「2日間調査を延期して、証拠写真をお願いします。ちなみに離婚しますので」

「え?」

 悲劇のヒロインから、一瞬にして復讐の化身に……まあ、気が高ぶっているのでしょう。

「離婚調停を起こします。ちなみに、主人と相手方にそれぞれ離婚慰謝料も請求します」

 

 ここで離婚について説明します。

 離婚には主に4つあります。

◯協議離婚

 夫婦間のみで話し合い、条件などを決め離婚届を提出します。一般的な離婚で、ほとんどの方がこれに該当します。

◯調停離婚

 家庭裁判所で調停委員が話し合い、離婚条件を決めて離婚成立を目指します。協議離婚が困難な場合です。

 ちなみにpusugaとかいうネット小説家も離婚調停をした経験があるそうです。

◯審判離婚

 調停が不成立となった場合に、家庭裁判所の判断(審判)によって離婚条件を決める事です。

◯裁判離婚

 調停が不成立となった場合や審判に異議が出た場合に、家庭裁判所に訴訟を提起して離婚する。最終手段となります。


 奥様はしっかりとした口調で調停を起こすと即答でおっしゃいました。クロであった場合、すでに決心していたのですね。

 先日過去の二股話を聞いた際に、そもそもなぜそんな男と結婚したのだろう? と思っていましたが奥様は自分の中で、ご主人と結婚してから浮気されたら離婚一択の決心――つまり、条件付きという縛りを自らに課していたのでしょう。


次回最終回です。







 





 

 


 

 

 


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