あのそら
膝を抱えたまま 小さな星を彷徨う
孤独だった宙に 光っては消える
貴方の姿を映して 流れて行く空
追いかけては 戻れない感情
言葉にして呟く 冬の空気に冷たく昇る
思い描いた未来は 夢見るほどに届かなくて
目覚めない夜の向こうへ 羽ばたこうと決めた
空と海を隔てる この世界の間で
胸の中 押しつぶされそうなほど
何処までも自由で 涙に変わる
鈍色の空 雪雲の霙
天使みたいな羽根なんて 無くて
頼りない背中 温もりを感じたかった
見上げるほどに 白く白く霞んで
雪の結晶が 手のひらで溶ける
あの日見た夢の あの人の面影
映しているのは 想い出に光る 眩しい記憶
夏から遡って 春になれば
冬を知らずに 明日を飛び立つ
砂時計の砂丘から 世界を逆さまに覗いて
もう一度始めたい 夢見るのは自由だから
裸足に熱さを感じて 波打ち際を蹴った
足もとについた海水の泡 弾けて消えて
今居るのは 思い描いていた 遠い夏の日
貴方と居れば 見つけられると知って
雲間よりも遥か彼方へ 高く高く飛ぶ
そこに何も無くても
宙と星を結んで 小さく膝を抱えて
飛び込んだまま 呼吸を始めた
深い深い 眠りに落ちて
ずっとずっと 心臓の音が 聴こえていた