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リーサルウェポンとダークマター

 なんだろーか。

俺、ニュイの地雷の位置が、イマイチわからない。

どこで反応して怒ってるのか、全く理解出来ない。

と、いうーより、こんな細っこい小さな体で、

あのパワーと破壊力。

こいつ何者だ? 武芸の達人かなんかか?

どう見ても、すこぶる可愛い女の子なのに。


俺の視線に気付いて、ニュイが、ぐっと顔を近づけてきた。


「ナニ? 何か言いたい事でも? 」


 心配そうに様子を見てるミューに配慮してか

小さな声で、しかし、しっかりドスの効いた声で

ニュイが、威圧してきやがる。


「え? 別にそういう訳じゃなくて。」


俺はいきなりの近距離に、少し焦って声がうわずる。

決してビビってる訳じゃない、はず。


「なら、ジロジロ見るな。クソうっとぉしい。」


あらら、ちょっと、コレ、俺カチンってきた。

さっき、ぶっ飛ばされたとこだけど、これは一言モノ申したい。

 しかし、俺は喧嘩したい訳じゃないから、

あくまでも注意したいのだから、平和的に、年上の余裕で、

クチのきき方を教えてあげようじゃないか。


 俺は幼稚園の先生気分で

「ニュイ、クチ悪いなっ。喧嘩腰で話すなよ。」

とおだやかに、努めて優しくニュイに言った。


「はぁ? 喧嘩腰? オマエなんか相手になるか。」


・・・鼻でわらった?!

俺、鼻で笑われた?!

こーんな、ガリガリのチビのガキに!

もう、ダメ、もう、平和的なんて言ってらんねぇ。

年上の余裕? んなもんあるか!


「ニュイ、てめぇ、」

「てめぇじゃない。ニュイ、だ。」


またも、睨み合いになる。俺もニュイも引かない。

再び一触即発状態。

やるんか! やってやらぁ! の二人の間合いに

何の躊躇もなく


「ふふふっ、ニュイとミチルは仲良しさんなんですね。」


と笑顔でミューが、入ってくる。


どこがっ? どこをどう見て、どう理解したら、

この状況が『仲良しさん』に見えるのっ?!

ミューさん、アンタの視点、異次元過ぎるわっ。


「仲良しさん、だよ。」


ニュイ! この嘘つき娘がぁああっ!

ごく普通の『仲良しさん』は、こんな短期間に何回も

一触即発ムードにならんからっ!


「仲良しさん、素敵です。もっと、もっと仲良しになって

お互い支えあって、問題を解決していきましょうね。

ビブリオテケムセイオンの為に頑張りましょうね。」


 嗚呼! ミューさんっ。なんてキラキラ全開の笑顔なんでしょ。

癒しパワー半端ねぇっす。綺麗で、上品で癒し系で天然。

ミューさん、サイコーじゃないっすか!

 見た事ないけど、天使とか女神のナナメ上いく美しさ。


「で、先程の私の話なんですが、聞いてましたか? 」

「あ、いや、これのせいで、よく聞こえなかったんだ。」


俺は抱えている鳥籠を軽く左右に振ってみせた。

ミューは、うんうん、と頷いて

「この音だと、聞く気がなければ、確かに聞き取りにくいかもですね。

気にしないで下さい。」と、優しく微笑んで言った。

 なんか、引っ掛かるワードが、あったよな気もするが、

気にしないでってミューが言ってんだから、俺、気にしない。


「それにしても。これ、全部抱えて、歩いてらしたのですか?」

「うん。全部必要だって言われたから。」

「重かったでしょ? 大変でしたね。」


優しっ! ミューは天使だ! 女神だ! 確定だ! 

ミューの労いの言葉に、俺の鳥籠運搬作業でのイライラが浄化されてく。

 ニュイ見習え! いやぁ、見習ってもオメェにゃ無理か。

 俺はニュイをチラッと見て、鼻でフフンっと笑ってやった。


「でも、これ、ずっと抱えて歩くのは、よろしくないかと。」


 指先で自分の唇の横を軽くトントンと叩きながら

ミューが、俺の立ち姿を見る。


「確かに、これらは、これから先で使用する必要不可欠な道具ですが、

必要がある時にだけ、アレすればいいと思いますよ。

だから、重たい、かさ張る物は、しまって下さいね。」

「しまうって、収納出来るの? え? まじで。」

「ええ。だって、今、手元にあっても邪魔なだけですし、

抱え込んで歩くのは労力の無駄ですし。」

「収納出来るなんて、俺知らなかった。誰も言ってくれなかったよ。」

「そうですか? 聞いてないんですね。」


ん、んーん? 俺の気のせいなんだろうけど、

なんかミューって、言い方おかしくない?

いや、気のせいだ。俺の解釈が、悪い。


「これらは全て、母王様から預かりし物です。

持って歩いて、落としたり、無くしたり、

また壊されでもしたら、目も当てれませんから、しまってくださいね。」


 ん? やっぱ、なんか言い方が。

ミュー、毒吐いてないか?

んな事ないか。ニュイじゃあるまいし。

俺の解釈能力が低いんだ。きっと、そう。


「おい、先を急ぐんだ。ボケっとしてないで、さっさとしまえよ。」


 高圧的にニュイが言ってくる。コイツ、絶対友達いねぇわ。

 しかし、さっさと俺も収納したいが、どうしたらよいのかわからん。

困る俺を見てニュイがミューに提案を持ちかける。


「ミュー、コイツ馬鹿だから、もう一回、初めから全部教えてやったら。」


馬鹿は余計だ。


「うーん。そうですねぇ。さっき言ったの聞いてなかったんですものね。

わかりました。面倒くさいですけど、

もう一回、今度は理解できる様に説明しますね。」


やっぱ、毒吐いてるよね?

毒気十分な位の語列だよね?

ハート弱ってたら致死量の毒だよね?


リーサルウェポン暴力噓つき娘と

内面ダークマターな天使

俺、やっていけるのかしら?


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