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それでも、俺は主人公?

「オマエ、マジで引く。」

「いやぁ、弱いっ。びっくりする程、オマエさん弱い。」

「オマエ、ここに来て、気絶するか、ゲロ吐くかしかしてない。」

「メンタル、クソだな。よえぇのな。ミチル。」

「半端ない拒絶反応。メンタル弱いくせに。」

 

 前回の人形登場時同様、俺は口から液体吐き散らした後、

情けなくもミューに手伝ってもらいながら、それの後始末をしている訳だが、

さっきから黙って聞いてりゃ、あいつら、

ふんぞり返って、よくもまぁ、サージュとニュイ、言いたい放題言いやがる。

 

 かなり腹立つけれども、悲しいかなコレ事実だ。

もういいよ。何とでも言いやがれ。羞恥心とかねぇから、俺。

 気絶にゲロ吐きのローテーションであろうとも、俺は屈しない。

無理なもんは無理と俺は言いたい! 

受け付けられないモノは、受付られない。


「確かにだな、この人形、小汚いっうか、若干不気味である事は否めんが。」

「ホラー人形って、ミチル言ってた。」

「あぁ、それな。あいつ、裁縫下手くそだからな。仕方ないか。」

「でも、母王様、一生懸命作ったって。ボクもそう思うけど。」


 裁縫の力量の問題か?

こんな呪いのホラー人形、作れる方が凄いわ。


「しかしまぁ、兄はマーライオン、妹はホラー人形って、なぁ。」

「ちっとも、メルヘンじゃない。子ども達、トラウマになる。」

「闇絵本として、売り出すか。一部のマニアにはウケるかもな。」


 ウケるかっ。 どんなマニアだっ。


「ふたりとも、何て事、お口過ぎますよ。」


 ほれみろ。ミューに注意されてやんの。

言ってやれ、ミュー。この好き放題言ってる二人にバシッと言ってやれ。


「そんな不格好で、出来の悪すぎる妹人形だって、

母王様が、頑張って御作りになられた力作なんですよ。

見かけは、確かにアレで、アレがあるとは思いますが、不気味だろうと

呪いの人形にしか見えなかろうと、気持ち悪くて夢に出て来そうでも、

愛情こもっていると、私は思います。」


 ミュー、女王婆さん聞いたら泣くぞ。

それ、ちっともフォローになってないから。

それどころか、ニュイやサージュよりも、ひどい事言ってるぞ。


「そうだな。悪かった。」

「ボクも。ごめんなさい。」


 あやまるんかぁーいっ。


「それに、ミチルの事だって。」


 お? ミューさん、俺のフォローしてくれるの。

嬉しいっす。ありがとう。


「常にゲロ吐いて、気が付けば失神して、この国に来てから

何の役にも立ってなくて、ゲロと失神のせいで、そのたびに私、後始末や

介護やって、何ていうか、アレなんですけど、

でも、ミチルは、アレですから、アレなんです。」


 なんか、スイマセーン。ほんま、スイマセーン。

俺、まだ生きてていいですかぁ?


「そうだな。アレだな。」

「うん。アレ、だね。」


 アレってなんすかぁっ。

いや、もう、スイマセーン。


「しかし、アレだわな。確かにエグイかもな。」

「眼球びろーん、ってなってる。」

「暗闇にいきなり登場されたら、私でもビビるかもな。

まぁ、ミチル程のリアクションはとれんが。」

「リアクション派手だけど、毎回、登場するたび、ゲロられても困る。」

「確かに。」


 わかってます、あーもう、ホント、スイマセン。

俺だって、吐きたくて吐いてる訳じゃねぇつぅの。

受け付けないんだから、仕方ないんだよぅ。


「おい、ミチル。

オマエさん、さっきから一言も喋らないけど、どーしたよ? 」

「それどころか、こっち向こうともしないし。」


 俺が背を向け無言の理由、聞くかっ?

そっち向いたら、いるだろうヤツがっ。

そしたら、俺また吐くかもしんないだろうが。

 羞恥心無くても、これ以上、失態さらしたくないわ。

察しろよ、マジで。


「アレなんじゃないでしょうか? 」

「なに? 」

「こっち向くと、アレが、アレなんで、またアレしちゃう的な? 」


 アレで繋ぐ俺の現状。


「困ったねぇ。」

「困りましたね。なんか良い方法ないでしょうか? 」

「妹連れて行って、ミチル、置いとく。」


 ニュイ、それ、逆じゃね? メインは俺でしょうが。


「メイン。一応ミチルですから、それは出来ません。」

「じゃあ、どーすんの? 」

「どうしたものか、ねぇ。」


 三人の視線が痛いっす。 今は早く掃除、終わらせよう。


・・・・・俺、かなし。









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