アンデットってなんですと?
えらいのきたぁああっ。
どえらい事実、きたぁああ。アンデッドきたぁああっ。
シビトっつたね? 今言ったよね?
シビトって死人って事だよねっ?
何でもありなのは、もう慣れっこになってるけど
死人ってどーよっ? 何よっ? どーよっ? アンデットよ。
現状把握不可能。 思考回路一時停止。
「オマエさん、知らんかったんか? 」
知らない! 知らない!
「言ってませんでしたかぁ? 」
聞いてない! 聞いてない!
「見りゃわかんじゃん。バーカ。」
ニュイ、それは失礼だ。
「私自身、いつ死んだか忘れちまった位、前だからなぁ。」
いつ死んだかわからんとか、どんなボケだ。
もういい。なんか、もういいわっ。
俺、一気に疲れた。
深くソファーにもたれ掛かり、俺は天井を向く。
誰に似てるか、今わかった。
この軽いノリ、吞んでもないのにハイテンション。
俺の曾祖母に似てんだ。
・・・ってウチのばぁちゃん、生きてるけどな。
「まぁまぁ、いーじゃねっかぁ。ミチル、そう落ち込むなって。」
「誰が落ち込むかっ! ばぁちゃんが、死人だからって
なぁあーんで、俺が、落ち込まにゃならんのっ? 」
「ほら、オマエさん、血気盛んなお年頃だからさ、
私のほれ、アレ見て、なっ。」
「はぁっ?俺が、何見て、どれ見て、なんだってっ? 」
「歳の差をもろともしない恋が、芽生えたかと、なっ。」
「なっ? とか同意もとめてんじゃねぇわっ、
歳の差どころか、輪廻転生何百回だっ。」
俺は、肩でゼイゼイ息をする。
さ、酸素たりねぇ。
サージュは、「ナーイス、ツッコミィー。」と両の親指を立て
「さすがです。」とミューは拍手した。
「まっ、冗談はさておき、」
「ばぁちゃん、どこまでが冗談だ? 」
「ナーイス、ツッコミィー? 」
「あえて、そこかっ! 」
疲労困憊。ホント、うちの曾祖母と話してるみたいだわ。
俺の曾祖母 御年100歳。特技死んだフリと呆けたフリ。
毎朝6時に竹刀で素振り、おかゆをスープにパンを食う。
最強猛烈婆。俺の尊敬する人だ。
だからかな、曾祖母に似てるから
俺はサージュが、死人だって聞いても、恐怖感はなかった。
まぁ、強烈に驚いたけどね。つか、曾祖母死んでないけどね。
「でもなっ、私が、死人であって良かったんだよ。」
空になったコーヒーカップを指で弄びながら、サージュは笑った。
「あんな状況だったが、私は死人だったから、
影響を受けなかったんだ。お前たちが、来る少し前、」
俺達が大図書館に到着する少し前、
シェルターが、微量ながら熱を帯びてる事にサージュは気付いた。
熱はやがて目に見える光と化し、室内にいた何人かが、その光に触れ、
体調に異変を来たし、俺が見た場景の様に狂ったという。
そして、サージュに就いて行動してた部下の数名にも影響が出始めた。
「私が、なんともなかったから、建屋の地下にシェルターを沈められたのさ。
もしも、沈められなかったら今頃はと思うと身の毛がよだつよ。」
来る、絶対、来る。
このパターン、自画自賛からのポージングが来る。
何とか止めたい!
頼む! 誰か、何かアクション起こしてっ。
俺の思いが通じたのか、ニュイが手を上げ元気よく
「アップルパイおかわりっ! 」と言った。