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サージュの秘密?

ミューは、まだ泣いている。

その傍らにニュイは、寄り添っている。

 俺はサージュの覚悟を目の当たりにしながらも

やっぱどっか他人事で、

自分が、この話の中心に据えられているという事を

きっちり受け入れられていない。


「うーん。そうだわな。やっぱこうなっちまうわな。」


ガシガシと頭を掻いて、サージュは苦笑いをし、ペロッと舌を出した。


「よし、とりあえず休憩すっかぁ。茶とお菓子でも用意させよう。」と

机の端にある赤い石の付いた円錐に触れる。


 赤い石、俺の指輪と同じヤツだ。

じゃあ、あの円錐、通信、連絡手段の取れるアイテムか。


ちょっとカッコイイな、なんて思ってしまう。


「はい。」

 

 円錐が赤く光り、中に人が浮かびあがる。


 マジかっ! めっちゃカッコいいっ!


「あっ、悪いね。休憩すっから、お茶とお菓子、持ってきてくれっかな。」

「何をお持ち致しましょう?」

「んー。適当でいいよ。」


 そうサージュが答えた瞬間、

「オレンジペコォー。」と地獄の底から湧き上がる様な声がした。


 なんだ?何の音だと見ると

涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔でミューが訴えている。


「オーレンジィーペゴォオオ。」


 ペゴォオオって、ミューさん、もうそれ魔族の域だよ。

断末魔の叫びだよ。そんなに、飲みたかったんかいっ。


「ナッ、ナッジュゲーギィー。」


 ミューなんつった?

ナッジュゲーギィー? 新しいシューティングゲーム?

つか、鼻かめよ、鼻。


 俺はテーブルの上にあるナプキンを差し出す。

ミューはそれを無言で受け取り、勢いよく鼻をかむ。

そして、スッキリとした口調で

「オレンジペコとナッツケーキ。」と言い切った。


 ニュイに至っては、小学生の発言タイムのように

身を乗り出し、手を挙げて


「ボク、山桃のジュレミルクとアップルパイ! 」と言う。


 元気があってよろしい、といってやりたい所だが、

ニュイ、オマエさっき、それ飲んでたろーが。

どれだけ牛乳欲しとんねん。

いくらチビだからっつぅても腹壊すわっ。


 サージュは豪快に笑ってふたりの注文を通し

ミチルは?と聞いてくれた。

俺は何でもイイッスって答えると、

「煮え蛇の汁と岩蜘蛛のサンド。」と言われ

立ち上げ合って「食えるカァアア。」と絶叫してしまった。




 ほどなく注文した物が運ばれ、テーブルに広がる。

俺には、サージュと同じ、コーヒーとキイチゴのタルトが用意された。


 さっきまで泣いてたとは思えない笑顔で

アップルパイと紅茶を楽しむミューが、ウチの母親とかぶる。

 母ちゃん、オヤジと大喧嘩中でも、スイーツは笑顔で食ってる。

子どもの頃、そんな母ちゃんを見て兄ちゃんズが、

女は怖い、女は強い、って言ってたのを思い出す。


「お? ミチル、ナッツケーキのが、良かったか? 」


 サージュに、そう聞かれて俺は慌てて

「これ旨いっすね。キイチゴ初めて食べました。」なんて言う。

「そーだろ? 私もここのタルトは、これが1番好きさ。」

と、美味そうに頬張る。


・・・・・ん? 


 俺の中に疑問というか違和感が沸く。

さっきから、コーヒーとタルトを御堪能していらっしゃいますが

サージュ様、あなた確か、腹に大穴開いてませんでしたっけ?


 聞きたいが、聞けない。

聞いてもいいんだろうけど、聞きずらい。

腹に大穴開いてて、食えるんすか?

食った物、どうなるんすか?


 って、ちょっとまてぇえええ!

今、凄い事、気が付いたよ俺っ!

あんな穴おっぴろげて、なんでサージュ存命してるのっ?

オーマイガー! 


「それで、サージュ様、それ、いつアレになるんです? 」

「再生かい? 今回は穴がデカいからなぁ。」

「サージュ様の腹肉もってたの倒したら治るとボク思うけど。」


えええええええ?の、ええええ?


再生?再生って言ったか今?

再生するんか?それ。


 俺は口に含んでいたコーヒーを放物線を描くように噴き出した。


「きたねぇっ! 」

「あらあら!」


 てんやわんやするミューとニュイを無視して

「腹、再生って、なんすかっ? 」とサージュを見る。


自分でも止められなくなって、

せきを切ったように、矢継ぎ早にサージュに聞く。


「だいたい、あんな大穴開いてて、平気ってなんすかっ?

普通、穴あいたら、死んでますよねっ?」



 俺の失礼かもしれん質問に対し

サージュは、極めて普通に


「死人だからな。これ以上死なねぇわな。」とニカッと笑った。






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