表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/71

説明の説明

 少し手こずったけど、巾着袋の扱いにも慣れてきて、

ミューも、これなら大丈夫と言ってくれた。

 

 後は、鳥籠の説明と仕事の詳しい内容の説明だけだな、と

思っていると、「そろそろ行こうか」 と

ニュイがミューに言っているのが聞こえた。


「行くって、ちょっと待って。今すぐ行くの? 」

「どうしました? 行くのがイヤになったのでしょうか? 」

 

 不安げにミューが聞いてくる。

ニュイは、「は? 行くのがイヤだとか、ふざけてんの? 」 と

俺を睨んでくる。


「いや、そうじゃなくて、イヤとかじゃなくて、」

「だったら、何? ミューを困らせたいの? 」

「だから、そうじゃなくて、俺まだ説明、全部聞いてないから、」

「は? やっぱオマエ、バカだね。説明したじゃん。アレが全部だよ。」

「やはり、難しかったのですか? 説明に説明付けるべきでしたか?」

「いやいや、説明に説明付けたら、余計ややこしいでしょう。」

「じゃあ、何? 早く言えよ。」


 正直、腹が立ったけど、聞くことは聞かなきゃと思い

ここは押さえて、まず鳥籠の事を聞いた。


「鳥籠、ですか?」

「何に使うの?とか、どうやって使うの?とか俺、まだ聞いてないからさ。」

「んーんと、ですねぇ。」


 ミューは唇の端をトントンと叩く例の癖をしている。

俺の推測が正しければ、この癖をする時のミューは思考タイム突入時。

 て、事は今、ミュー、か、考えてる? 何を?!

俺に説明する為に言葉を選び考えているのか、

それとも、まさか、知らないとか? いやいや、それはないだろう。

これも女王婆さんからの預かり物な訳だし、必要な物って言ってたし。


「それはですねぇ。」

「うん。」

「アレを、アレした時、アレするものです。」


 キター! アレアレ発言! やっぱ知らないんだっ。

鳥籠について知らないんだっ!

もし、マジで知らないのなら、

このクソ重たい鳥籠、ここまで運んできた俺の労力が報われん。

俺は突っ込んで聞いてみる。


「アレって何? 」

「どれ? ですか? 」

「いや、今、ミューが言ったアレ。何? 」

「アレはアレですけど。フフフ。意味が解りませんよぉ。なぞなぞですか?

 なぞなぞはちょっとぉ・・・苦手です。 」


ちげぇええ。なぞなぞなんかしてねぇわっ。

つか、知らんの確定じゃないかっ。


「鳥籠は使いますよ。ちゃんと。」

「だから、どうやって何に使うの? 」

「アレの時に。アレを、こう、アレするんです。」


アレの時って何の時?! アレって何?! 何少し恥じらってんのっ。

19歳の血気盛んな青少年に、恥じらいつつアレ連発すると

とんでもない内容が成立するよっ!


「だからぁ。」


進展ない状況を見かねてニュイが口を出す。


「だから、何? 」

「だから、重要な時に、」

「うん。」

「アレすんだよ。」


オマエもアレかぁぁいっ。


「どのアイテムも全部、母王様が、必要だと思ったから持たしてる。

 使い時になれば、使える様になるわ。」


何かもっともらしい事、言ってるけど

結局、お前ら知らないって事ね。

まぁいいや。巾着に入ってるから、かさも重さも気にならんし。

次いこう、次。


「じゃあさ、仕事について聞きたいんだけど。具体的に何するの? 」

「悪影響を及ぼしているモノを捜して、見つけて排除。劇中で説明しただろ。」

「だから、それだよ。悪影響を及ぼすモノって何? 」

「それは・・・」

 

 さっきまで強気だったニュイの口がこもる。

 

「それは、正直、私達にもわからないのです。

 私もニュイも、体験した事のない事態なので。」

「前例とか無いの? 」

「私の知る限りは。母王様が、御統治なさっておられた時にも

 この様な事はなかったと聞いてます。」

「手がかりになるもんもないの? 」

「わからないって言ってんじゃん。」

「排除するモノ事態わかんなくて、どうやって見つけるのさ。」

「知らないよっ。それが、オマエの仕事だろっ。」

「手がかりは、ありますよ。」


「あるの?! 」「あんのか?! 」

「え、ええ。手がかり、と言っても

 私が考えただけなのですが。」


 ミューが言うには、ここから左程遠くない場所に

王族が代々運営を担っている国営大図書館なる物があるらしい。

そこに、サージュって奴がいて、そいつに聞けば何かわかるかもって事だった。


「よし! のった! 行かなきゃわかんないなら、行こうぜ。なぁニュイ。」

「うん。行こう。ミュー。」


俺とニュイの盛り上がりに反してミューは

「ただ・・・」と言って顔を曇らせた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ