0.プロローグ
「アトリア・アルファード様(17)、役職は剣士で、ギルド登録しますか?」
「うん、頼む。」
「分かりました。」
トンッ‼
「これで、ギルド登録は、完了です。分からないことがありましたら、いつでも気軽に相談してくださいね。それでは、ギルドでの生活をお楽しみください。」
「あー、ありがとう。」
そして俺は、カウンターから離れ、広いギルド内を探検することにした。田舎から出てきた俺には、王都のギルドは、全く未知の世界だ。
こりゃ、うちの村の近くにある冒険者ギルドとは、比べ物にならんな。
「ねぇ君っ、見ない顔だね、もしかして新人さん?」
「ん?そうだけど、なんか俺に要か?」
俺を呼ぶ、明るい幼女の声に後ろを振り向くと、青い猫耳を生やした、猫耳幼女が、立っていた。
王都には、いろんな奴が、いるんだな。
「私がね、お兄さんにギルドの案内してあげるよ。」
「(ん~、ここで引き下がるのも大人気ないか。)はぁー、ありがとう。よろしく頼むよ。」
「やったー‼‼じゃあ私、精一杯がんばるね。あ、そういえば、まだ私、してなかった。私は、猫の『キャット・シー』ちなみに今年で、14才になったよ。よろしくね」
「俺は、アトリア・アルファード。歳は、君より3つ上だ。田舎からの出なもんで、分からんことが、多いかもしれんが、こちらこそ、よろしく頼む。」
ということで俺は、キャットの後ろについて行き、大食堂やクエストの受け方など、色々なことを教えてもらった。とにかく、俺がいた村のギルドよりも綺麗で広い。
「まぁ、これくらいだよ。それとさ、できれば私のパ―ティーに——————」
「あれ?君、初めて見る顔だね。」
キャットが、何かを言おうとした時、それを阻むかのように正面から、金髪の男が、1人の男と3人の女を連れて、俺に話しかけてきた。
これが、さっきキャットが教えてくれた、勇者パーティーっていうやつか。
「————————ふ~ん、君、いい剣を持っているね。どうかね?良かったら、俺たちのパーティーに入ってみないか?」
「ダリアッ‼‼何言ってるの、この人に最初に目をつけたのは、私なんだから、絶対にダメよ。」
「別にいいじゃないか、お前もこの新人をパーティーに入れようとしてたんだろ、やってることは、いっしょだ。それにどっちのパーティーに入りたいかなど、この新人が、決めることだ。」
その突然来た男は、俺に指をさしてきた。何かこれは、重要な判断を責められている、ということを分かりながら今、この場で俺は、判断をすることをしなかった。
「待て待て、まず、あんたらのことを教えてくれ、俺が、話しに追いついていけん。俺のことは……まぁ、言わなくても分かってるだろ。」
とりあえず俺は、この男に疑問をぶつけた。
ところで、キャットの言っていた『先に目をつけてたから……』が、もし通るのならば、最初に俺に目をつけてたのは、こいつらだ。なぜなら俺が、ギルド登録を始めたから、潜伏してて姿は、見えてなかったが、この男と同じ目線を感じていたからだ。
「確かにそうだな、俺たちは、お前のことを知っている。まぁ、不公平にする理由は無いし、俺たちのことを教えてやろう。俺は、このパーティーのリーダー『ダリア・キュロス』今年で、20になる。使える魔法は、『』と『』この2つだけだ。とりあえず俺からは、以上だ。」
「じゃあ次っ、私の番ね。」
ダリアの背中の後ろから、ひょこっと、小動物のように同じく金髪の女の子が、挙手をして出てきた。
「私は、『ギャザス・キャノーラ』神に選ばれし、召喚士よ。『神々の一撃』で、神を召喚することができて、攻撃させることが、できるわ。当然、神に選ばれた私にしかできないのよ。ちなみに年齢は、このパーティー中で最年少の16才、パーティーに入ってくれたら、あなたに神の祝福をささげるわ。」
「(終わったようだね)次は、僕だ。」
次は、ギャザスの後ろから、背が高く、大きなローブを身にまとっている長い赤髪の男が、現れた。
「僕は、『ギグ・マダラ』歳は、君と同じだよ。見ての通り、魔術師だ。特にこれと言って、得意な魔法は、無いかな。なぜなら、魔法は、全て完璧にマスターしたからね。魔法のことだったら、世界一知ってる自信があるから、魔法のことで聞きたいことがあったら……」
「あ、言い忘れてたけど俺、魔法使えないから。」
「え、そうなの?でも魔法で困ったことがあったら、何でも聞いてよ。(魔法使えない奴なんて、聞いたことねぇよ。)」
「ははっ、残念だったわねギグ。じゃあ最後に私ね。」
ギャザスと見分けがつかない、金髪で、三つ編みの女が、出てきた。
「『ラマーザ・ザンバラス』っていうのが、私の名前で、18才。弓が見えてると思うんだけど、その通りで、私は、弓使い。『必当』『無限』『爆裂矢』弓使い三大魔法をすべて扱えるわ。これで、剣士の君が、入ってくれたら、私たちのパーティーは、完璧なのよ。」
「まぁ、俺たちは、こんな——————」
「ちょっと待て、後ろにいる奴は、仲間じゃねーの?」
「あー、こいつは、訳ありなやつでね、名前は、無い。そして役職も与えてない。簡単に言えば、俺たちの奴隷だ。」
見たところ、その名前のない奴は、フードで顔が隠されていて、よく見えなかったが、片方に普通の耳。そして、もう片方には、とんがっている耳があった。
なるほど、違法を犯しているというわけか。名前の無いこいつは、ハーフエルフだ。
人間とハーフエルフが、関係を持つことは、理由は、定かではないが、禁止にされている。田舎育ちの俺でも知っている。
「おい、俺たちのことを教えてやったぞ。それを踏まえて、どちらの側に着く?俺は、お前が、どちらに着こうが、文句は、吐かない。これだけは、約束するぞ。」
「何言ってるの、お兄さんは、私に着くに決まってるもん‼‼」
「では、最後に……俺たちのパーティーランクは、世界一だ。」
「はっ、パーティーランクで、釣るつもりなの!?」
「釣る?人聞きの悪い、俺は、彼を評価したうえで、俺たちのような、優秀なパーティーに誘っているのだ。」
ふ~ん、うれしいことを言ってくれるじゃないか、この男。
「分かったよ、そこまで言うなら、今日一日だけ、あんたらのパーティーに入ってやる。この一日で、俺がいいと思ったら、よろこんでこのパーティーの一員になってやろう。そして、ダメだったら、キャットの仲間になる。これでどうだ?」
「ハーッハッハッハーッ、中々に面白い男だ。いいだろう、その条件、呑んだ。」
「——————くっ……お兄さん。一応これだけ持っておいて。」
「なんだこれは、お守り?」
「そうよ、それじゃあ、バイバイお兄さん。必ず、明日までに帰ってきてね。」
「あ、ああ」
そして俺は、そのお守りを胸ポケットに入れて、ダリアたちと行動することにした。
(どうか、生きて帰ってくることを……でないとまたダリアの手によって今年も——————)