天体観測
約束の日は新月の夜。
近くの丘で彼女と待ち合わせをした。
『ああ、満天の星』
星降る夜にありきたりの言葉をひとつ。
早く来すぎた暇潰しの天体観測。
唯一知ってる星の神話は、待てども会えずの悲しい男女の恋物語。
『縁起でもない』
ちょっぴりセンチメンタルな気分に、追い討ちの突然の暗闇。
え?……暗闇?
「だーれだ!?」
背後から僕の目を隠す温かい手が、星のない宇宙をつくる。
この弾んだ声も温もりも、僕の大切な人のもの。
僕はその手をそっと握り返した。
ふたりの恋はまだまだこれから。
きっと星のように明るい未来。
END.
Thank You!