2.出会い(3)
改稿しました(2020年11月16日)
次の日の朝、起きて朝ご飯をシロナさんと食べてから、畑に向かった。
シロナさんは、畑に行く際に玄関まで見送ってくれた。面倒見のいい人なんだろう。
畑には、担当者がいるらしい。
畑に着くと、緑色の髪と黒色の角をした偉丈夫がいた。
「お前が手伝いで来た奴か?」
「はい、白川索といいます。よろしくお願いします」
「俺は、リョクキだ、敬語は使わなくていい」
リョクキもブラスと一緒で敬語を使わなくて良いという。なので、お言葉に甘えて敬語はやめさせてもらう。
「わかった。それで、俺はなにをすれば良い?」
「取り敢えず、向こうの畑を耕してくれ」
といい、リョクキはクワを渡しながら左側を指した。
「わかった」
耕すべき畑の前に行き、作業を始める前に『検索魔法』を使い地球検索で、畑の耕し方に着いて調べる。
すると、20cmくらいをさっくり耕し、下の土と上の土を入れ替えるといいらしい。
正直本当に正しいのかは分からないが、この方法でやることにする。
耕し始めてから一時間程経つと、リョクキが様子を見に来た。
「ちゃんとやってるか?」
「ん?ああ、まだ半分しか出来ていないけどな」
「もう、半分もやったのか。意外と早いな。もう少ししたら休憩だ」
「ああ、分かった」
それから三十分くらいした後に休憩になった。それまでに大体三分の二ほど畑を耕せた。
休憩時間中、水分補給をしながら、一緒に畑仕事をしているリョクキ達と色々話していた。
その話の中、人族の俺がこの里にいることをどう思っているか聞いてみると、みんな口を揃えて気にしていなかったという。
皆の認識では俺は人族のはぐれ者となっているらしい。それに、シロナさんが信用しているというのも理由の一つらしい。
シロナさんはこの里にかなりの影響力を持っているらしい。
その他にこの里の周りについても話した。
その結果、この里の近くには神樹と呼ばれる大樹があり、そこから出てくる力によりこの里とその周辺に魔物は発生しないらしい。
そんな事を話していると、
「休憩は終わりだ。続きをやるぞ!」
「「「はい!」」」
と、休憩が終わり作業の続きをやることになった。
「サクは、今やってるところが終わったら、向こうの畑も耕してくれ」
リョクキが追加の仕事を指示した。
「わかった」
簡単に了承したが、明日は確実に筋肉痛だろうな。
再び畑を耕し、もう一つの畑に取り掛かろうとしたところで助っ人が現れた。
先程休憩中に話していた内の一人で、茶髪で黒い角をした男のラウンだ。
「手伝いに来たぞ!」
ラウンは常に元気いっぱいだった。
そのおかげかこちらもさっきより元気になった気がする。
「改めて、ラウンだ。よろしく!」
「ああ、白川索だ。索でいい。よろしく」
実は、休憩時間にも自己紹介はしたが、ここで改めてした。
「なあ、人族って、どんな生活をしているんだ?」
「俺は、ここの世界の人間じゃないからな。全く分からない」
俺がそう言うと、ラウンは驚いていた。
「どういうことだ?」
俺は、ラウンに俺がどうしてここに来たかを説明する。
「そうか、大変な思いをしたんだな」
「お、おお。そこまで深刻な反応されるとは思わなかった」
「いや!するだろう、普通!」
ラウンの反応の方が一般的なのだろうか。確かに、シロナさんも似たような反応を……していないな。
どちらかというと、俺が来た理由について分析してくれていた気がする。
「シロナさんは、そこまでの反応をしていなかったぞ。むしろ、俺がどうしてこちらに来たかとかを教えてくれた」
「おまっ!シロナ様と会ってるのか!?」
ラウンが驚いて手を止める。
「ああ、助けてもらったしな。治療が終わった後も世話になってる」
「そうなのか…。お前は、すごいな」
「ん?どういう……」
「こらぁ、ラウン!手を止めるなぁ!」
ラウンの言っている事がよく分からなかったので、どういう意味か訊こうとすると、遠くからリョクキの怒鳴り声が聞こえた。
「やべっ!」
ラウンは急いで手を動かす。
「サク、さっき何か言ったか?」
「いや、何でもない」
特に訊かなければいけない事でもないので、そのまま流す事にする。
「そういえば、ラウンはシロナさんと知り合いなのか?」
「ああ、何回か会った事はあるんだが、きちんと話した事はないな」
同じ鬼族でも、シロナさんときちんと話した事はないと言う。
(里長であるコクロウさんがシロナ様と言ったり、シロナさんには何かありそうだな。まぁ、詮索は失礼に当たるかもだし、気にしないでおこう)
そんな風に、ラウンを世間話をしながら畑仕事を進めると一時間で耕しが終わった。
今日の仕事はこれで終わりらしい。
「終わったな!これから飯食いに行くけどサクはどうする?」
とラウンが聞いてくる。俺も飯が食べたかったので一緒に行くことになった。
出て来たご飯は野菜炒め定食だった。食べていて気づいたがここには醤油もあるらしい。
畑の中に大豆があり、それを使っているとラウンが教えてくれた。ちなみにこれも何百年か前に来た勇者の仲間が伝えたそうだ。
食事をしながらラウンと話しているとリョクキも合流した。
そのまま話していると互いのステータスについての話になった。
――――――――――――――――――――――――
リョクキ 職:農家
Lv:30
HP:4200/4200 MP:1000/1000
ATK:500 DEF:250 SPD:100 INT:100 MND:150
LCK:50
スキル:『腕力強化Lv5』『作物鑑定Lv7』『農具取扱Lv7』『体力強化Lv3』『魔力操作Lv3』
固有能力:
称号:『忠義者』
ラウン 職:魔術師
Lv:15
HP:1300/1300 MP:2000/2000
ATK:100 DEF:100 SPD:80 INT:300 MND:230
LCK:20
スキル:『腕力強化Lv3』『作物鑑定Lv2』『農具取扱Lv1』『体力強化Lv2』『魔力強化Lv3』
『魔力操作Lv4』
固有能力:『空間魔法Lv1』
称号:
――――――――――――――――――――――――
二人のステータスはこんな感じだった。
「ラウンは魔術師なのに農業をしているのか?」
ステータスを聞いた率直な感想だった。
「俺が使えるのは今のところ固有能力の『空間魔法』だけなんだ。それも、できるのは特定の空間の中を認識するってだけだった」
「固有能力はまだ判明してない事が多い。だから色々試すしかないしな。……指定空間内の物の位置を変えるとか出来ないのか?」
地球で空間魔法といえば、瞬間移動だったり、空間ごと相手を切ったり、空間を破壊して攻撃したりと色々思いつくが、多分Lvが足りないと思った。
なら、空間内の小さな物を入れ替えたりするなら出来るかもと思ったのだ。
「!!…試してみる…」
そうして、ラウンは地面にある石と少し離れたとこにあるクワとを入れ替えた。
「できた!!!!できたよ、サク!!」
ラウンは満面の笑みで言った。
自分に出来る事が増えた事がすごく嬉しいらしい。しばらく、喜び続けていた。
そんなラウンを俺とリョクキは温かい目で見守っていた。
そんなこんなで昼食を食べ終え、畑での仕事を終えた後、俺は鍛冶場に来ていた。
「ブラス、来たぞ」
「おう、サク!よく来たな!」
そう、昨日ブラスに言われた通りに鍛冶場の手伝いに来たのだ。
「なにをすれば良いんだ?」
「取り敢えず、打ち終わった剣や盾とかを飾ったり、片付けたりしてくれ」
「わかった、空いてるところに飾って、余ったものをまとめておけば良いって事だな」
「ああ、そうだ」
何故か曖昧な指示でもすんなり理解できた。これもステータスの恩恵なのかもしれない。
そのまま、鍛冶場にあるものの整理をしている内に夜が更けていった。
そうして、今日やるべきことは全て終わった。
シロナさんの屋敷へ帰り、共に夕食を食べ、今日あった事を話していた。
「今日は、畑仕事をなさっていたのですよね?」
「ええ、それと、ブラスの所での手伝いですね」
「そうなんですか。里の皆さんとは、仲良くなれそうですか?」
シロナさんはそんな事を訊いてきた。俺が、里に馴染めるか心配してくれているのだろう。
「ええ、リョクキやラウン、一緒に畑仕事をしている皆とは仲良くなったと思います。特にラウンとは、年が近いからか、元々友人だったように仲良くなった気もしますね」
「そうですか、良かったです」
シロナさんは朗らかに笑った。その笑顔はつい見とれてしまうほど、可愛かった。
その後も、元の世界の話などをした。屋敷の中には、俺とシロナさんの笑い声が木霊していた。
ご飯を食べ終わった後、シロナさんと談笑してから、眠るために寝室に向かう。
布団に入り寝る前に自分のステータスを確認してみることにした。
――――――――――――――――――――――――
白川 索 職:指揮者
Lv:1
HP:100/100 MP:100/100
ATK:30 DEF:20 SPD:40 INT:50 MND:10 LCK:20
スキル:『言語翻訳Lv10』『農具取扱Lv1』
固有能力:『検索魔法Lv2』『指揮魔法Lv1』
称号:『転移者』『迷い子』『生還者』
――――――――――――――――――――――――
ATKが上がってスキルに『農具取扱』が増えていた。
「こんな簡単にスキルが増えるんだな。それにしてもやっぱりLvが上がらなくてもステータスは上げられるんだな。限度はありそうだけど」
俺は、ステータスの確認も終えたので寝ることにした。
面白い
続きが気になる
と感じましたら、評価や感想をお願いします。




