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猫の集い

作者: ネズミ王

 ある噂を耳にする。

 毎夜毎晩、人の少ない夜更けに猫達が集まるらしい。そこで猫たちは、何をする訳でもなく、日常にあった事を話すのだそうだ。

 そんな噂を聞き探し回っていると公園の隅に猫たちが集まっている。私はそれを公園のベンチでただ静かに眺めていた。

 1時間が過ぎただろうか、猫たちの言葉が少しずつだから理解出来るようになっていた。なんと不思議な体験であろう。

 その中の、一匹がこちらに向かって何かを言っている。

 (お前、そこでなにをしている?)

 話しかけられると思わなかったわたしは、慌てて答える。

 (いや、、何をしているのかきになって…すいません、帰ります)

 私は何を謝っているのだろうか?相手はねこだぞ?そう考える私とは裏腹にその猫は思いもよらない言葉を投げかける。

 (なんだ?暇なのか?一緒に話すかい?)

 私は驚いた。伝わるとも思っていない言葉が伝わり、猫にさへ私がどれだけ薄っぺらい人間かすぐ見破られてしまったのだ。

 そんな考えをよそに、私の体は、自然と猫の集まりの中に足を運んでいた。

 あぁ、何をしているんだろう。いくら寂しいとはいえ…だが興味が湧いていた。猫たちの会話に。

 猫たちは、取り留めない日常の会話をしていた。

 (あそこの、主人は俺達には優しい。餌をくれる!昨日の昼間石を投げられた。大丈夫か?)

 そんな会話の中、1匹の猫が私に向かって問いかけてきた。

 (人間よ。お前は何故そんな辛そうな顔をしてる?楽しくないのか?)

 私は答えれなかった。そんな私を見てか、猫たちは色んな事をしてくれた。ある、お店の主人のモノマネだったり、面白い話、実にユーモアな猫たちがいて、私は少し元気が出た。

 私は(げんきをくれた君達にお礼がしたい。何かできることはないか?)

 その問に猫たちは答えた。

 (人間様よ。私達を飼うのは構わない。だが人間の都合で捨てるのはやめておくれ?自分の言葉、行動に責任をもってくれ。それだけでいい。)

 そう言われたあと、私が返事をする前に私は公園のベンチで目を覚ました。

 あれは、夢だったのだろうか?辺りを見渡す。いや、夢じゃなかった。私のズボンには温もりがありその周りには猫の毛が落ちていた。

 ありがとう…

 その日から、

彼ら、猫の集いの噂を聞くことは無くなった。またあいつらは、私みたいな人間の所にいるのだろうか…猫たちの幸せを祈る。

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